大阪都構想(おおさかとこうそう)は、大阪で検討されている統治機構改革である。大阪府と、その域内にある政令指定都市である大阪市(または大阪市と堺市)を統合し、強力な広域行政体を設置することを目的とする。この場合、大阪市(または大阪市と堺市、または大阪市と堺市とその周辺の市)は廃止され、その領域には複数の特別区を設置するとされている。「大阪府と大阪市の二重行政の解消」という枠組みという点から、「大阪府・大阪市合併」または「府市統合」ということもある。2010年に橋下徹(当時は大阪府知事)が立ち上げた地域政党大阪維新の会は、この構想を党是ともいうべき最重要政策として掲げ、推進した。大阪維新の会がとりまとめた大阪都構想の最終案では、大阪市を分割して5つの特別区を設置するとされている。2015年5月17日に、大阪市でこの構想の是非を問う住民投票が行われたが、反対票が賛成票を上回り、否決されるに至った。この結果を受けて、「大阪都構想」の議論の場であった大阪府・大阪市特別区設置協議会は正式に廃止された。しかし同年11月の大阪W選挙勝利を受けて、大阪維新の会は大阪都構想の再挑戦を目指している。大阪市長の橋下徹が代表を務める地域政党大阪維新の会が、大阪府と大阪市の双方によってばらばらに行われてきた広域行政を一本化するとともに、「住民から遠い市役所から、『権限・責任』を住民に身近な区役所に移し、公選区・区議会のもと、地域のことを決定できるようにする」ことを実現させる為に掲げる構想である。モデルとされたのは東京都、グレーター・ロンドンなど。この構想の目的は、政令指定都市の大阪市を廃止して、中核市程度の権限と財源を持ち、公選制の区長を置く特別区を設置し、旧市の行政機能・財源のうち、広域行政に関わる部分を「大阪都」に、地域行政に関わる部分を「特別区」に、それぞれ移譲・統合することである。これにより、を達成しようというものである。大阪維新の会の最終案では、大阪市に代わって設置される特別区の区議会議員の数は、大阪市議会議員の議員の数と同数とされ、議員の増員はされない。区議の報酬は市議の報酬額から3割減額する、とされていた。なお、最終案では大阪市地域にはそれぞれ区議会が設置されるが、大阪府議会では、定数削減後の88議席中27議席が配分されることとなり府議会全体の約31パーセントを占めることとなる。大都市地域特別区設置法に基づき法定協議会が設置され、2014年7月23日に大阪都構想の設計書に当たる協定書(都構想案)が作成されたが、2014年10月27日に、自民党・公明党・民主党・共産党の反対により、協定書は大阪府議会・大阪市議会にてにそれぞれ否決された。しかし、その後、公明党が「住民投票を行うことについては賛成する」として議会での承認について賛成に転じた。2015年1月13日、改めて開かれた法定協議会にて協定書が承認された。そして、大阪市議会で3月13日に制度案を可決、大阪府議会でも3月17日、賛成多数で可決・承認された。協定書が大阪市議会と大阪府議会で承認されたため、大阪市選挙管理委員会は、住民投票を2015年4月27日告示、5月17日投票の日程で行うことを決めた。住民投票の対象者は、該当区の住民基本台帳に記録されている日本国民で、20歳以上であり、平成27年(2015年)1月2日までに大阪市内へ転入し、その届出をした人。5月17日の住民投票で大阪都構想は、即日開票の結果、僅差であるが反対多数で否決され、廃案となった。大阪都構想は20世紀の頃から議論が開始されたが、その最初は、1953年(昭和28年)12月の大阪府議会「大阪産業都建設に関する決議」で、大阪府・市を廃止して大阪都を設置し、市内に都市区を設置するとされた。また、1967年(昭和42年)10月に左藤義詮大阪府知事(当時)が「大阪府を20区にする、現在の大阪の22区を9区にする、衛星都市を11区にして20区にする、そして区長は公選にする。そして20区になりました場合には、名称は大阪都となるかどうかわかりませんが、そこから選出したところの議員をもって、区選出の議員をもって区政の参議会というものをつくる」とする構想が新聞で報道された。これについて政令市・大阪市の拡張を主張していた中馬馨大阪市長(当時)が反発し、対立した。また、2000年(平成12年)頃に、太田房江大阪府知事(当時)が大阪府と大阪市の統合を掲げた大阪新都構想を唱えて、2001年の「大阪府行財政計画」に「大阪都」という言葉が表現されている。この発言に対して磯村隆文大阪市長(当時)が大阪府を初めとする都道府県から独立した「スーパー指定都市」、「特別市」を主張し対立した経緯があった。しかし、これらの構想はいずれも具体化まで進展することなく消滅した。2010年3月に、橋下知事(当時)を代表とする「大阪維新の会」が発表した行政構想で、大阪府全域を「大阪都」とし、大阪市・堺市の政令指定都市を解消させ大阪府と一体化させるというもので、2015年までの実現を目指すものとされた。特別区については、東京都23区をモデルとしつつ、東京23区よりも独立性が高く、一般市よりも権限範囲の広い中核市レベルの自治体を想定し、20区内の水道・消防・公営交通などの大規模事業は、区内の固定資産税・法人税の税金などを収入を財源として都が行い、住民サービスやその他の事業は20区の独自性に任せるとされていた。20区の内訳は、現在の大阪市24の行政区を合併し8都区、堺市は7つの行政区を3都区に再編し周辺9市を特別区として大阪都20区に設置する。大阪都20区の首長は区長を設置し、区議会議員による区議会を設置。区長と区議会議員は選挙で選出する方式とする。2010年4月に設置された「大阪府自治制度研究会」や2011年7月に設置された「大阪府域における新たな大都市制度検討協議会」によって、都構想の議論が具体化していくなか、平松邦夫大阪市長(当時)の任期満了(1期目)に伴い、大阪市長選挙が実施されることとなった。このとき、当時3か月の任期を残していた大阪府知事の橋下徹が、大阪都構想などを争点とするために、知事を辞職して大阪市長選挙に鞍替え出馬をすることを表明したため、1971年以来40年ぶりに大阪市長選・大阪知事選が同日に行われるダブル選挙となった。大阪市長選は、「大阪都構想」の推進および「教育基本条例案」「職員基本条例案」の制定を主張する橋下と、これに反対する現職の平松邦夫(自民党支持、民主党・共産党支援)の一騎討ちとなった。また、大阪知事選には、大阪維新の会幹事長の松井一郎、元池田市長の倉田薫(自民党支持・民主党支援)ら7名が立候補をし、やはり大阪都構想推進派の松井と反対派の倉田という構図となった。両選挙は2011年11月27日に投開票され、大阪市長選は橋下徹が現職の平松邦夫に22万票以上の差をつける75万票を獲得し当選、大阪知事選は松井一郎が2位の倉田薫に約80万票の差をつける200万票を獲得し当選した。2012年8月29日、大都市地域における特別区の設置に関する法律(大都市地域特別区設置法)が、民主党・自民党・生活・公明党・みんなの党など与野党7会派が共同提出する議員立法で可決され、同年9月5日に平成24年法律第80号として公布された。大都市地域特別区設置法は、「総務大臣は、この法律の定めるところにより、道府県の区域内において、特別区の設置を行うことができる」と定めるものであり、従前、地方自治法において特別区の設置を都(東京都)に限定していたものを(地方自治法第281条第1項は「都の区はこれを特別区という」と規定していた)、他の道府県にも開いたものである。大阪府と大阪市は、2012年4月より「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会」を発足させていたが、同評議会を引き継ぐ形で大都市地域特別区設置法の成立に伴い特別区設置協議会(法定協)が設置され、都構想の設計書である協定書の作成が進められることとなった。2012年11月14日、市の公募区長プロジェクトチームが、大阪24行政区を再編し5区と7区の特別区にまとめる素案を、橋下市長へ提示し公表した。素案では、夜間人口30万人規模の7区案と、45万人規模の5区案を軸とし、税収上位2区である北区と中央区をそれぞれ分離もしく合体はする計4案となっている。2013年2月27日、第1回大阪府・大阪市特別区設置協議会が開催され、区割り案における25年後(2035年)の推計人口や鉄道網体系などが示された。更に第14回大阪府・大阪市特別区設置協議会(2014年7月3日)に橋下委員(大阪市長)から5区・分離案を修正する案(福島区を湾岸区から北区に変更、住之江区(咲洲・南港除く。)を湾岸区から南区に変更)が提出された。2014年7月23日に決定された法定協議会協定書では、この修正された「5区・分離案」が採用された。大阪都構想は、大阪市のみならず堺市ほかの大阪市周辺の市域をも対象とするものとして構想され、さらには、より広い関西州の形成(いわゆる道州制)をも念頭において構想されたものであった。しかし、2013年9月29日に実施された堺市長選挙において、堺市を分割する構想に反対する竹山修身が、大阪維新の会の候補者を19万8千票対14万票で破り再選を果たした事から、堺市が特別区に再編される事は事実上なくなった。なお、竹山修身は、橋下徹大阪府知事(当時)の全面的な支援を受けて2009年9月27日の市長選挙で堺市長に当選したが、2010年末ころから大阪都構想をめぐり橋下と対立するようになり、2011年2月16日、政令市の区長権限の強化はするが公選制の導入は考えないとの意向を表明し、大阪都構想に伴う堺市の分割には反対するようになった。2013年2月より、大都市地域特別区設置法に基づき設置された特別区設置協議会にて、都構想に関する区割案や財政調整制度など、都構想の本格的議論が開始されたが、区割り案の絞り込みについて大阪維新の会と他会派との間で議論が紛糾した。このとき、自民党委員から「法定協議会を開催すればするほど、都構想の必要がないことが明らかになってきている」、民主・みらい委員から「大阪市の解体・廃止はしない。すべきではない」、共産党委員から「都構想は百害あって一利なしだということがはっきりした」という、都構想そのものに対する反対論が述べられた。大阪維新の会は法定協議会で議決に必要な過半数を占めていなかったため、公明党の協力を得ることが必要であった。しかし、上記の2014年1月31日の法定協議会にて、公明党が維新の会の提案に対して反対に回ったことから、維新の会は法定協議会での決議を得ることができなかった。このような法定協議会での意見対立は、橋下市長らが目指す2015年4月の制度実現を困難にするものであり、大阪都構想の事実上の頓挫を意味するものであった。2014年2月3日、橋下徹大阪市長は「大阪都構想の設計図づくりがストップさせられた」「民意の後押しを受けなければならない」として、市長職を辞任し、出直し市長選を行うと発表した。これに対して、自民・民主・公明・共産の各党は、市長選に対する対立候補を見送るとの方針を明らかにした。2014年3月23日に行われた大阪市長選挙で、橋下徹は37万7472票(得票率87.51%)を得て当選したが、他方で投票率は23.59%と過去最低を更新するものとなった。維新の会は、2014年6月27日と7月3日に、過半数を占める大阪府議会の議会運営委員会で、府議会から選出されている自民党・民主党・公明党の法定協委員を維新の会の議員に差し替えて、法定協の過半数を確保した。そして、2014年7月3日に第14回法定協が実施され、市議会から選出された委員が全員欠席するなか、全会一致で維新の会の主張する「5区・分離案」(上記のとおり福島区、住之江区を修正したもの)が承認され、同月23日の第17回法定協により協定書が決定された。翌24日に大阪都構想協定書は国に提出され、同年9月1日に、総務大臣より「特段の意見はありません」との意見書が浅田均法定協会長に交付された。なお、この際に、与野党の対立で府・市両議会が混乱していることについて、「関係者の間で真摯な議論を」と求める新藤総務相名の助言書も交付された。協定書は、2014年10月1日に、松井知事と橋下市長により、それぞれ大阪府議会・大阪市議会に提出されたが、2014年10月27日に、自民党・公明党・民主党・共産党の反対により、協定書は大阪府議会・大阪市議会にてにそれぞれ否決された。しかし、その後、公明党が「住民投票を行うことについては賛成する」として議会での承認について賛成に転じた。2015年1月13日、改めて開かれた法定協議会にて協定書が承認されたことから、同年3月の議会での承認を経て、実現の是非を問う見通しとなった。2015年2月23日に大阪府議会、2月24日に大阪市議会に制度案(協定書)が再提案された。2014年10月に否決された内容とほぼ同じだが、今回は公明党が都構想の賛否を問う大阪市民対象の住民投票の実施を了承し、協定書を2015年3月13日の大阪市議会で可決、大阪府議会も3月17日に可決した。大阪市選挙管理委員会は2015年3月20日、住民投票の日程を2015年4月27日告示、5月17日投開票と決めた。3年前に成立した「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づいて、政令指定都市の廃止を問う全国初の住民投票となった。住民投票の対象は特別区の設置エリアである大阪市内で、4月2日時点の有権者は約211万人。大都市地域特別区設置法に基づき、投票率に関係なく結果は法的拘束力を持つ。賛否の呼びかけには公職選挙法が準用されるが、活動費用やビラ、ポスターの種類や枚数などには制限がなく、街頭運動も投開票の当日まで可能。2015年5月1日、大阪維新の会の支持者から大阪市選挙管理委員会に対して、世論調査を装った不審な電話が大阪市内で相次いでいる、という指摘がなされた。それによると、女性の声による自動音声で「今回、投票に行かない場合は自動的に賛成になるのはご存じですか」など「都構想に関するアンケート」として、電話で質問をしてきた、というのである。この指摘を受け、大阪市長橋下徹は激怒した。大阪市選管は、こうした電話があったことが事実だとすると、それは公職選挙法に抵触する可能性があるため、大阪府警への相談を検討している、とされた。2015年5月17日に行われた住民投票の結果、賛成票が有効投票の過半数を満たさず、反対票が多数となったので否決され、廃案に至った。今回の結果を受けて、橋下は松井と共に記者会見し、ことし12月までの任期は全うするものの、次の市長選挙には立候補せず、政界を引退する意向を表明。また、この結果を受けて、大阪維新の会の関連団体である維新の党代表・江田憲司は18日未明、「責任を痛感している」などとして党代表を辞任する意向を表明。その後、維新の党は19日午後に開いた両院議員総会で、江田の代表辞任を了承し、新代表に前幹事長の松野頼久を選出した。一方、反対派各党の大阪支部の幹部のコメントは以下の通り。特別区設置についての住民投票での否決の結果を受けて、大阪府・大阪市特別区設置協議会の廃止の議案を、大阪市長橋下徹が2015年5月29日、大阪市会に、大阪府知事松井一郎が2015年6月2日、大阪府議会にそれぞれ提出し、大阪市会は2015年6月10日に可決、大阪府議会は2015年6月11日に可決し、最後の議決の日である2015年6月11日限りで、正式に大阪府・大阪市特別区設置協議会が廃止された。大阪都構想の対案として、自民党などの野党会派が提案した「大阪戦略調整会議」が設けられ、3度に渡って会合が開かれたが、各会派が自分達の主張を繰り返すばかりで、実質的な協議には入れず、事実上破綻した。そうした中で、11月22日(日)の大阪ダブル選挙を迎え、共に大阪維新の会のメンバーで大阪府知事選挙に立候補した松井一郎と大阪市長選挙に立候補した吉村洋文がそろって、対立候補に大差を着けて当選した。本項では、大阪維新の会が中心となって進める大阪市域への特別区設置について、長所と短所、およびそれぞれに関わる論争点を記載する。大阪都構想が実現すると、広域行政を大阪都、基礎行政を特別区が担うことになる。これにより、などの効果が期待される(推進派の意見)。大阪府と大阪市による非効率な二重行政の実態は、従来から指摘されてきた。府市議会の過半数の会派(維新・公明・自民)は、非効率な二重行政を解消する必要性を認めている。(ただし共産党は、行政機能を広域と基礎に区分けする考え方に賛同しておらず、二重行政という言葉はレッテル貼りに過ぎないと主張している。また、個々の事例が「非効率な」二重行政に当たるかどうかについては意見が分かれる。)2011年、松井一郎大阪府知事と橋下徹大阪市長が誕生してからは、知事・市長が方針を決定することにより、二重行政の解消が進められている。しかし現行制度には、知事と市長の合意が取れなかった場合の調整制度が存在していない。このことから橋下は、現行制度を維持する限り、利害が対立するような問題に対する合意形成は困難で、再び二重行政が生じる可能性が高いと主張している。一方、今後も府市の連携協議を一段と押し進めることで二重行政を解消出来る、との声も大きく、対立を深めている。地方の任意である現行制度に代わり、2016年より、安倍内閣によって改正された地方自治法に基づく、総務大臣による裁定の仕組みのある「指定都市都道府県調整会議」がスタートする。これに対し橋下は、役割の異なる都と区の協議は無駄ではなく、また深刻な対立になりにくい政治のメカニズムがあるとの考えを述べている。2014年に、大阪府・市法定協議会が、「特別区設置(都構想実現)」後の各特別区の長期的な財政状況を試算した結果、都構想の財政効果は約95億円/1年だという。大阪市環境局が担っているゴミ収集や交通局の地下鉄・バス事業を民営化すれば、約200億円/1年の財政効果が見込める。一方、都構想の実現に伴う財政効果額の試算は、前提によって大きく結果が変わるため、論争がある。橋下は、大阪都構想について、大阪都・民間会社・特別区の三者に対する役割分担と捉える考えを主張している。これは、広域行政を「政策」と「事業」とに分けて捉え、原則として、広域政策は大阪都に、広域事業は民営化して民間会社に、基礎行政は特別区に分担しよう、という考えである。実際、大阪市では地下鉄・バス事業、水道事業、ゴミの収集・輸送、幼稚園・保育所など様々な事業の民営化を目指して、取り組みが進められている。(2014年7月時点では、いずれも市議会で反対され実現はしていない。)大都市局は、橋下市長のこの考え方に従い、地下鉄・バス事業、水道事業、ゴミの収集・輸送など幾つかの事業の民営化による効果を含めた、都構想の財政効果額の粗い試算を公表した。この試算では、再編コストは財政効果額と、土地売却などの財源対策により対応が可能であり、平成45年度までの累計で約1400億円(移行日変更等を加味した新しい試算では約2700億円)の財源活用可能額が得られる、と推計されている。大阪都構想が実現すると、公選区長と議会を置いた特別区に、中核市並みの権限と財源が移譲される。これにより、などの効果が期待される(推進派の意見)。橋下徹大阪市長は、大阪市の行政における課題として、住民自治の不足(民政赤字)を挙げた。大阪都構想が実現した場合、充当事業は、大阪府:特別区=50:50 の比率となる(平成24年度一般財源ベース)。税は、大阪府が賦課徴収し、充当事業がある大阪府と特別区に配分される。橋下は、「仕事に見合った財源は必ず分配するというのが、今回の都構想の大方針です」「仕事に見合ったお金はきちっと配分しましょうということですから、今やるサービス分の財源はきちんと確保できることは間違いありません。」と都構想の意義について語った。2014年、安倍内閣は地方自治法を改正(2016年施行)し、政令指定都市の都市内分権を進め、住民自治を強化する「総合区」制度を創設した。自民・公明・民主の市議会各会派はこの制度の導入に前向きである。大阪市における区長権限の予算は平成24年度から合計約50億円→220億円(780億円)→270億円(820億)と年々増加してきた(括弧内は義務的経費を含めた数値)。大阪府市議会の主な会派(維新・公明・自民・共産)は、大阪市内の住民自治を強化する必要性を認めているが、意見は分かれている。自民は、区長権限の強化。共産党は、市民の声を反映する仕組みづくりを提示している。橋下は、僕の任期中に、現行の公募区長に渡した以上の権限を、(現行の)区長に移していくことは難しい、との考えを述べている。大阪都構想が実現すると、広域行政が大阪都一つに統合される(広域行政の一元化)。これにより、などの効果が期待される(推進派の意見)。近年、国際的な都市間競争が激化する中、大阪の経済は低迷してきた(ただし、それほど低迷していないとする分析もある)。低迷には様々な要因があるとされるが、大阪維新の会は、有効な対策を講じられなかった「府市の関係」に問題があったと分析している。橋下は、大阪における都市の集積(人口、事業所数など)が市域外まで広がっている事実を挙げ、都市の集積と広がりにあわせた広域行政の一元化の必要性を訴えた。一方で橋下は、府市の関係だけが大阪経済の低迷原因であるとは言いきれず、大阪都が実現したとしても、政策が伴わなければ大阪の経済が良くなるとは思わない、とも発言している。府市の自民党は、都構想と大阪の経済には何の因果関係も無く、現行制度の下で良い政策を進めることが重要である、と主張している。都構想に反対の立場の間でも、広域行政の一体性をどう捉えるかについて、様々な考え方がある。例えば、府市の自民党は、首長と議会が参画する「広域戦略協議会」を設置することで、府市の連携協議を進め、広域行政における一体性を高めることを提案している。民主党は、広域行政の一体化はせず、府市それぞれの政策エンジンのパワーで、多様なニーズに対応する、としている。共産党は、行政機能を広域と基礎に区分けする考え方に反対しており、戦略的な集中投資などでは「ゼネコン政治」の失敗を繰り返すだけだ、と批判している。現行で二重行政と言われているものは、選挙で選ばれた知事と市長が協調せず独自に動く事で起きているが、都構想下でも知事と区長の間で同様の事が起こり、さらに現行では府市間の調整で済むものが、都構想下では各区選出の区長間の調整が新たに必要となり、党派や方針の違いがある場合はより調整が困難になる。大阪府市大都市局の試算によると、再編コストは、特別区設置に伴う庁舎建設・システム改修などのイニシャルコスト(初期コスト)は約600億円~680億円、システム運用経費などのランニングコストは年約15億円~20億円と推計される。反対派からは、住民自治について、現行制度の下でも都市内分権を進めることで住民自治を強化出来る、という意見が、幾つか上げられた。都構想反対派は、「民営化は、現行制度の下でも実現が可能。特別区設置が実現したとしても、同時期に民営化が実現出来るかどうかは定かで無い。その効果額は再編コストへの補てん財源として利用出来ないかもしれない。」と主張している。反対派からは、保有財産や税収、歳出規模の異なる複数の特別区が誕生する。自民党大阪府連は、「橋下が“大阪は、道州制で関西州が誕生しても、入らない可能性もある”と発言したこと」などを理由に反対。「(都構想の実現によって)道州制という統治機構改革の根底が崩されてしまうことになりかねません。」「大阪だけが勝手を言っては議論も進みません。」と批判している。自民党大阪市議は、 「既存の自治体を複数の特別区に分割することは、基礎自治体の財政力・行政能力向上を目的とした平成の大合併に逆行する。府下の基礎自治体数が43から50程度に増加することで、府内全体で行政効率が悪くなり、施策の整合性も取りにくくなる」との懸念する。2014年1月17日、第12回特別区設置協議会(法定協)にて、自民党大阪府議議員団・大阪市議議員団から、「法定協を開催すればするほど都構想の必要性がないことが明らかになってきている」としたうえで、大阪市を解体せずそのまま残す「1区案」(広域的な行政サービスを大阪府に一元化し、大阪市は、中核市に格下げして自治体として存続させるというもの。)が提出されている。自民党大阪府連からは、「都構想が成立すると大阪市議会議員の職がなくなる。」との悲鳴が漏れた。しかし、自民党本部は、自民党大阪府連と一定の距離を置いた。特別区設置には大きな再編コスト(イニシャルコストとランニングコスト)が伴う。これにより、などの悪影響が懸念される(反対派の意見)。対策として、広域事業の民営化を含む財政効果額の利用と、土地売却などの財源対策による補てんが検討されている。都構想が実現しても、大阪都と特別区の間で協議等による時間と労力の無駄遣いが生じる、特別区設置により自治体の数が増えることで、現状以上に合意形成が難しくなる、と主張している。都構想が実現すると、大阪市が行ってきた基礎行政を規模の小さな特別区が担うことになる。これにより、共産党は、これらの是正措置が大がかり過ぎるため、理解を得られない可能性があるとの懸念を表明している。橋下は、現状でも大阪市によって行政区間の大きな格差が是正されており、住民に見える形にすることは住民自治に資する、との考えを述べている。民主法律協会が、橋下市長が市職員に対して「公務員という肩書で職場内での個人的な見解の表明」や「権限を有さない立場での無責任な発言」を慎むようにと発言し、この橋下発言に留意を促す文書が、各職場の管理職に宛てに配布されているとし、橋下市長の「箝口令」を批判している。これらの批判を受け、大都市局は2014年7月、一部事業(地下鉄・バス事業とゴミの収集・輸送)の民営化を再編効果に加えない前提での粗い試算も公表した。しかし、この試算は実際には野党の試算と大きくかけ離れたものだった。大都市局の試算によると、公共施設などの普通財産承継による特別区間の格差は最大で約25倍になると見積もられている。大都市局は、この対策を実行することにより、区の格差は約1.4倍にまで是正されると試算している。これにも野党側は大きな誤りだと指摘している。大阪維新の会は、特別区設置の後、専門性の確保やサービスの公平性・効率性の確保が特に求められる事務(全体の約6%)について、一部事務組合による水平連携で実施することを検討している。大都市地域における特別区の設置に関する法律の成立により、以下の手続きが整備された。各人物の肩書はいずれも見解を述べた当時のものである。大阪府市については、大阪都構想のほかにも、以下のような種々の改革案が唱えられている。
出典:wikipedia
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