5.56x45mm NATO弾(5.56みりめえとるナトーだん、)とは、北大西洋条約機構 (NATO) により標準化された小火器用の実包である。中間弾薬としての性格が強い、小口径高速弾である。NATO標準番号は STANAG 4172 で、別名NATO第二標準弾と呼ばれ、NATO加盟国の軍隊を中心に幅広く採用されている。通常弾の他、曳光弾、空砲弾、模擬弾がある。マガジンも規格化されておりSTANAG マガジンとして知られている。元々はアメリカ軍で制式化された後、小改良を加えたうえで、NATO及びその他アメリカ合衆国の同盟国と共通化し供給の利便性を図っている(詳細は下記参照)。米軍での制式呼称はM855。 陸上自衛隊でも、アメリカ陸軍との弾薬共通化のために、89式5.56mm小銃で採用された。また、62式7.62mm機関銃の置き替え用として配備が進んでいるミニミ軽機関銃も、この弾薬を使用している。日本国内では6mm未満の口径のライフルを狩猟に使用することが認められていない為狩猟用ライフルとしては許可されないが、競技用ライフルの口径としては民間でも広く普及している物の1つである。以前のNATO標準弾薬は、7.62x51mm NATO弾であった。これは、.30-06スプリングフィールド弾を置き換えるために.300サヴェージ弾を元にして作られたものである。しかし、標準が制定された時点で、連射時の反動が強すぎるという指摘が、特にアサルトライフルを中心にしばしば批判された(これらの指摘には正当性があることが後に判明した)。また、より小口径で軽量な弾薬には、各兵士の荷物の重量を抑えて携行弾薬数を増やせる利点があった。そこで、より小さい口径での弾薬共通化が実施されることとなった。1950年代後期に、アーマライト社やその他のアメリカ合衆国の銃設計者は、個々に小口径・高初速 (Small Caliber / High Velocity : SCHV) 試作アサルトライフルに、.222レミントンを使わせ始めた(.222は0.222インチを表す)。しかし、この弾薬は合衆国大陸軍司令部 (U.S. Continental Army Command : CONARC) の要求を満たさないことが判明した。そこでアーマライト社は、この弾薬の長さを延長して、ネック(薬莢の先端、弾頭を固定する部分)を短くした。これは.222レミントン・スペシャルとなった。同じ頃、スプリングフィールド造兵廠では、アール・ハーヴェイが.224スプリングフィールドとして知られる、レミントン弾の延長版を作った。スプリングフィールドはCONARCのコンペにこの弾薬を強く推した。この弾薬は後に民間用.222レミントン・マグナムとなる。コンペにおける.222口径弾薬についての混乱を解消するため、.222レミントン・スペシャルは.223レミントンと改称された。ウィンチェスターは、彼ら自身の商標登録関連の混乱を防ぐため、設計名を.224E1ウィンチェスターとした。ウィンチェスターは標準化を推し進めるために、.223レミントン・スペシャルから.224E2ウィンチェスターを製作した。結局、アメリカ陸軍が1963年にAR-15をM16として制式採用した際、.223レミントン弾が5.56×45mm弾として制式化され、その普通弾には"M193"の制式番号が付与された。しかしながら.223レミントン弾は、民間用のスポーツ弾薬としては1964年になるまで発売されなかった。1970年代に入ってから、NATO加盟国は7.62x51mm NATO弾に代わる、第二の小口径弾を選ぶことについて合意に達した。この頃にはすでに、アメリカ陸軍は5.56mm弾の運用を成功させていたが、アメリカの5.56mm弾の設計は取り入れないとされた。代わりに、ベルギーFN社のSS109が標準弾として選択されることとなった。アメリカ軍もこれを制式採用し、普通弾には"M855"の制式番号が付与された。SS109では.223レミントンよりも重い弾頭を使うことにより、銃口初速は遅いものの、遠距離における性能を高めた。弾薬の長さは57mm、直径は9.7mmであり、弾頭の長さは20mm、直径は5.56mm(0.223インチ)である。.223レミントン弾と5.56x45mm NATO(SS109)弾は同等の外形寸法であるが、前者は装薬が比較的少なく、後者の方が強力である。.223火器にNATO弾を装填・発射することは可能だが、ライフリング(旋条)のツイストレート(旋転率)が合わないため、賢明とは言えない。M16/M16A1に採用されていたライフリングのツイストは12インチ(12インチで一周する。数字が小さいほどピッチが強い。原則として重い弾丸ほどピッチを強くする)、M16A2/M4カービンでは7インチとなっているが、7インチのピッチでM855が最良の集弾性能を発揮するのは600ヤードであり、それより遠くても近くても集弾性能は低下する。採用が検討されていた当時、歩兵用としてより好ましいとして9インチ(300ヤードで最良の集弾性能)が提案されたものの、採用はされなかった。5.56x45mm NATO弾火器で.223弾を装填し発射することは、効果的ではないが安全である。特定の民間銃器メーカー(たとえばブッシュマスター社)は、どちらの弾薬も撃つことができるようにしてあるか、または同じ弾倉に両方の弾薬を混ぜて装填しても撃てるような設計をおこなっている。5.56×45mm NATO弾の通常弾(NATO名:SS109、アメリカ軍名:M855)は、理想状況下では軟組織に対しておよそ380-500mmの貫通力を示す。他の同様な尖突形状弾と同じく、軟組織内ではヨーイング(横方向へのブレ)を起こしやすい。しかしながら、820m/s以上の銃口初速で発射された弾頭は、軟組織内でヨーイングしたあと、弾頭下部の環状溝のあたりで割れ、断片は軟組織の内部を傷つけながら散らばる。この断片化は、弾頭の断面形状と銃口初速に大きく左右される。銃口初速は銃身の長さにより変化するため、銃身が短い銃器では、銃身が長い銃器に比べて殺傷能力が低下する。弾頭の設計が劣っていることについては多くの批判があった。特に、断片化を起こさない程度の速度の時の殺傷能力の低下が問題とされた。例えば、"M4A1カービン"の14.5インチ(約368mm)の銃身から発射された5.56x45mm NATO弾は、約150m先では750m/s以下にまで速度が低下し殺傷能力低下を引き起こす。より銃口初速の高いM16やM249軽機関銃でも十分な殺傷能力を維持できるのは200m程度までと言われる。短距離射程では効果的であり、屋内や市街戦で使用される際には、体内に残ったまま断片化する傾向が見られる。比較として、直径の大きい拳銃弾は目標を貫通して、更なる負傷者を出す可能性がある。しかし、断片化しない場合には、小さい弾頭は十分な殺傷能力を持たず、重要な部分に当たらない限り一発の命中では人間を無力化することができない。また、貫通力、たとえば鉄板などに関してもかなり弱い(7.62mm弾でさえも、この点は効果的でないとされている)。5.56x45mm NATO弾と市販の.223レミントン弾及び、それぞれの弾薬用の薬室は完全に同一の規格ではない。5.56x45mm NATO弾の薬莢は市販の.223レミントン弾より厚く、このため薬莢内のスペースは減少しているがNATO軍の圧力検査試験に耐える強度を持っている。NATO軍と米国SAAMI((The Sporting Arms and Ammunition Manufactures' Institute)での圧力試験は検査方法、機器が異なり、NATO軍で定められた5.56x45mm NATO弾の最大許容圧力の430MPaは、SAMMI規格の.223レミントン弾の最大許容圧力の379.21MPaより大きいが、C.I.P.(Permanent International Commission for Firearms Testing)では5.56x45mm NATO弾と.223の最大許容圧力は同一であるとしている。NATOの軍用規格で定められる5.56x45mm NATO弾用の薬室はリード部分(薬室の前端からライフリングまでの距離)がSAMMI規格よりも長く、SAMMI規格やC.I.P.規格で製造される市販の銃の薬室の規格は各社で異なっている。このため、5.56x45mmNATO弾規格の薬室から.223レミントン弾を発砲することに問題はないが、リード部分の長さのため.223レミントン弾規格の薬室から発砲した時ほどの精度は発揮できない。逆に.223レミントン弾用の薬室から5.56x45mmNATO弾を発砲した場合、その短いリードのため腔圧が高くなり銃への負担が大きくなるため安全上の問題が出る場合がある。(SAMMIでは.223レミントン弾用の薬室から5.56x45mmNATO弾は発砲しないよう注意している).223レミントン弾用の薬室を持つ銃でも、実際には5.56x45mm NATO弾に対応しているものあるが、その使用の際には製造元への確認や事前の試験が推奨される。なお、NATO通常弾(アメリカ軍名M855)は厚さ3mmの鉄板を貫通することができるが、徹甲弾(アメリカ軍名M995)は最高で厚さ6mmを貫通することができる。NATO加盟国での多くの小火器(特にアサルトライフル)が5.56x45mm NATO弾を使用する。NATO加盟国以外では、以下の小火器で使われている。
出典:wikipedia
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