オートミール()とは、燕麦(エンバク)を脱穀して調理しやすく加工したものである。アングロアメリカでは燕麦を押しつぶすかカットした加工品をオートミールと呼ぶ。また、粥状に調理したものを指す。それ以外の英語圏では燕麦を挽いた粉製品を意味する。全粒穀物であるため栄養が豊富で、水や牛乳、豆乳で煮て粥状にして食べたり、料理の副材料として用いられることもある。軽く煮るだけで粥状になり食べることができるので、朝食用のシリアルに用いられることも多い。粥状にして食べる場合は、好みで塩、砂糖、バター、ジャムなどを加える。 中華粥のように味をつけたり、具を混ぜ込んで調理することもある。梅干を加えるなど和風に味をつけてもいい。塩だけで調味する場合は、粘り気のある白粥のような味であるので、朝食に焼いたソーセージなどと一緒に食べられることが多い。日本においてはさほどポピュラーではないが、昭和天皇の洋食タイプの朝食にはいつも供されており、映画『日本のいちばん長い日』によると、1945年8月15日の朝食もオートミールであり、思いのほか質素な食事であると作中で言及されている。オートミールに、砂糖や蜂蜜などの甘味料と植物油をからめてオーブンで焼けば、グラノーラができる。オートミールを水または乳でふやかし、果物やナッツを混ぜたシリアル食品がミューズリーである。菓子の材料として、パン、クッキーやケーキの生地に混ぜ込まれることも多く、オートミールが配合された生地は、しっとりとして歯ごたえのある食感を有する。オートミール・クッキーやオートミール・マフィンは、代表的なアメリカの「おふくろの味」の一つである。その他、ビール、化粧品、石鹸、外用薬品、肉の缶詰などにオートミールを添加することがある。オートミールから、特に水溶性食物繊維に富む外皮のみを取り出したものを「オートブラン」(oat bran) といい、アメリカなどでは水溶性食物繊維の王様としてよくスーパーマーケットなどで販売されている。近年、オートミールは健康食品として注目されている。オートミールは燕麦の糠(胚芽など)の部分が無精製で含まれる全粒穀物であるため、精白した穀類よりも食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富である。食物繊維が食品100g中10g前後と、他の穀物や野菜と比べても非常に豊富に含まれる。水溶性食物繊維、不溶性食物繊維ともに豊富である。オートミールを食べることによって血中コレステロール濃度が低くなるという研究結果が数多く報告されている。エンバクの水溶性食物繊維の大部分はβグルカンである。エンバク由来のβグルカンについて血中コレステロール値上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、血圧低下作用、排便促進作用、免疫機能調節作用などが欧米を中心に多数報告されている。また、燕麦に含まれるβ1,3-グルカンは心臓病を発症するリスクを低くする。アメリカ合衆国では、1980年に食生活指針が策定された前後で、健康への関心が高まっていた。1984年10月にケロッグがアメリカ国立癌研究所 (NCI) に認定を受け自社製品に食物繊維の多い食品はある種のがんを予防すると表示した。その後、他のメーカーもこれに追従し、このような表示が氾濫していった。結果として、食物繊維を多く含むシリアル食品を食べる家庭を200万世帯増やした。1980年代後半、オートブランがコレステロール値を改善するとしてブームになり、1989年にピークを迎えた。ブームは1990年代初めには衰えたが、1997年1月にアメリカ食品医薬品局がオートブランやロールドオーツ(後述)を多く含む食品を低脂肪の食事と組み合わせて摂取すれば心臓病にかかる危険が低くなるという表示をつけることを許可した後、オートミールその他の燕麦製品の人気が再燃した。ロールドオーツは、食物繊維を多く含むため消化吸収を緩やかにし血糖値を安定させるはたらきを持つため、激しい運動をする人、特にウエイトトレーニングをしている人に人気がある。ボディビルダーの中には、アミノ酸や蛋白質のサプリメントをオートミールに混ぜて摂取する人が少なくない。東欧や北欧などヨーロッパの寒冷な地方では、 古くからオートミールのポリッジ(粥)が平民の主食とされた。 たとえば、東欧の家庭的な粥料理であるカーシャはしばしばオートミールで作られている。スコットランドの冷涼な気候と比較的短い日照時間は小麦よりも燕麦の栽培に適しており、スコットランドでは燕麦は小麦よりも健康的で栄養価が高いと広く考えられている。スコットランドでは、燕麦を粗い粉に挽いてオートミールが作られる。製品の挽き具合は、「粗挽き」(coarse) 、「ピン」または「ピンヘッド」(Pin (head)) 、「細挽き」(Fine) に分けられる。アイルランドでも、オートケーキやブラックプディングを作る習慣がある。オートミールは以下の種類に分けられている。アメリカ合衆国では、チリコンカーンにとろみをつけるのにオートミールを用いることがある。オハイオ州シンシナティとその周辺では、オートミールと豚の挽肉を混ぜたという食品がよく知られている。ヴァーモント州は、一人あたりのオートミール(ポリッジ)の消費量が全国一である。ヴァーモント州の農家の伝統にもとづいたオートミールは、スティール・カット・オーツを用いることがほとんどであり、オートミールを煮る前の日の晩にオートミールを冷水、塩、メープルシロップに浸けてふやかしておき、朝の農作業が始まる前にナツメグとシナモンを加えて(ショウガの粉末を加えることもある)とろ火にかけ、90分近く煮込み、農作業が一段落したところでクリーム、乳、バターを加えて食べた。農業人口が大幅に減少した現在では、調理時間は30分から10分に短縮されている。また、低温調理用家電のを使ってオートミールを一晩中煮込むこともある。尚、アメリカではオートミールの調理に日本の炊飯器が活用されることがある。テキサス州の近くにはオートミールという名の小さな町があったため、毎年の「労働者の日」(9月の第一月曜)の週末にオートミール祭りが催される。オートミールのポリッジは、子供向け教育番組『セサミストリート』に登場するバートの好物である。
出典:wikipedia
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