アントニー・アンリ・ヴァンデン・ボーレ（Anthony Henri Vanden Borre, 1987年10月24日 - ）は、ザイール（現コンゴ民主共和国）・リカシ出身のサッカー選手。ベルギー代表。リーグ・アンのモンペリエHSC所属。ポジションは右サイドバック及び右サイドハーフ。ベルギー出身の父とコンゴ人の母の下でザイールのリカシに生まれたヴァンデン・ボーレは、父の故郷ベルギーへ渡たった後、8歳の時にRSCアンデルレヒトの下部組織に入団し、同じくベルギー人とコンゴ人との混血である友人のヴァンサン・コンパニと共に研鑽を積み、2004年3月のシャルルロワSC戦で16歳と141日でプロ初出場を飾ると、10月には契約を2007年まで延長した。2005-06シーズンは、2005年9月13日のUEFAチャンピオンズリーグ 2004-05でチェルシーFC相手に中盤でボールを奪取してからポストに弾かれる惜しいシュートを放つ等で国外の多くのクラブから注目を集めていたが、2006年2月に契約を2010年まで延長。2005年9月21日に、KSVルーセラーレとのリーグ戦 (5-1) でプロ初得点を挙げた。アンデルレヒトでは、同胞のヴァンサン・コンパニと共に将来を担う選手と考えられており、クラブの象徴的な選手ポール・ヴァン・ヒムストから「これまで見てきた中で最大の逸材」と称賛されていたが、コンパニとは対照的に集中力の欠如や負傷によってアンデルレヒトでのキャリアは常時上手くいったとは限らず、また、髪を自身の名前の頭文字である「AVB」に剃ったのを含めて幾つかの些細な問題を起こしていたことで、報道機関とコーチ陣の両方から悪童と認識されていた。2007年3月7日に推定移籍金最低300万ユーロ程でイタリア1部のACFフィオレンティーナと2年延長オプション付きの3年契約を締結し、10月7日のユヴェントスFC戦でジャンパオロ・パッツィーニに代わり後半から初出場を飾る。フィオレンティーナでの出場機会が恵まれない中、同1部のジェノアCFCと共同保有となり、2008年1月19日にパパ・ワイゴと交換でジェノアへ移籍した。この移籍に絶好の機会を与えられたと語ったヴァンデン・ボーレは、3月8日のユヴェントス戦 (0-2) で78分から初出場を飾る。以後、数度の出場機会を得られたことでシーズン終了後に故郷の取材で改めてジェノアに感謝し、残留の意思を告げ、それに呼応してチームは、2008年6月にフィオレンティーナから保有権全てを獲得したことを発表した。完全移籍をした2008-09シーズンこそ、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の下で25試合に出場したが、2009-10シーズン開幕前に構想外となり、チームによって他クラブへの受け入れ先を探されていた。2009年8月13日にイングランド1部のポーツマスFCへ2009-10シーズン終了までの期限付き移籍をし、8月19日のバーミンガム・シティFC戦で初出場を飾り、9月22日のカーライル・ユナイテッドFCとのフットボールリーグカップ (3-1) で初得点を挙げた。2010年2月6日のマンチェスター・ユナイテッドFC戦 (0-5) ではオウンゴールを記録。それから2ヶ月後の4月3日のブラックバーン・ローヴァーズFC戦 (0-0) で2度の警告によって退場となり、試合後に主審を非難したが、覆ることなく1試合の出場停止となる。同シーズンのポーツマスは、FAカップで躍進して決勝戦に駒を進める一方でリーグ戦では不振に喘ぎ、最終的に2部へ降格し、自身もなかなか定位置を掴めずなかった。シーズン終了後に就任したスティーヴ・コッテリル () 監督は、ヴァンデン・ボーレの滞在の延長を望んでいたものの、その後、ドイツ1部の1.FCケルンへの移籍の噂が浮上したこともあって断念した。期限付き移籍満了に伴ってポーツマスからジャノアへ戻った後、頻繁に移籍市場での退団を予測された末に2010年9月1日に移籍金35万ユーロでKRCヘンクと契約を締結したことが発表された。この動きは失敗したと翌日に報じられていたが、最終的に9月7日に移籍金非公開でヘンクと2年+1年契約を締結。なお、同契約は2011年1月1日からのものであり、それまでは親善試合や2軍以外の試合に出場することは禁じられている。その後、公式にヘンクの選手となり、1月22日のKVコルトレイク戦 (3-2) でケヴィン・デ・ブライネに代わり78分から初出場を飾る。レギュラーシーズン最終節サークル・ブルッヘ戦 (0-1) で2度の警告によってプレーオフの1試合は出場停止で欠場したものの、殆どの試合に出場してリーグ優勝に貢献した。翌2011-12シーズンは、マリオ・ベーン新監督の下で定位置を掴んでUEFAチャンピオンズリーグ 2011-12のグループリーグ等でプレーをしていたが、2012年1月15日のSVズルテ・ワレヘム戦で78分に交代の指示を受けたことに不満を持ったヴァンデン・ボーレは、交代する際に監督を無視して相手選手のハビブ・ハビブ () とハイタッチをすると、さらに試合終了後にベーン監督を批判する問題行動を起こした結果、2軍行きが告げられ、2月中旬まで処罰が解かれることはなかった。その後、レギュラーに返り咲き、4月14日の古巣アンデルレヒトとのプレーオフ (3-1) で移籍後初得点を挙げる活躍を見せるも、延長オプションは行使されず、同シーズン終了に伴い契約満了により退団することが3月31日に発表された。ヘンクを退団して自由契約の身となると、古巣アンデルレヒト含めて国内外のクラブから関心を寄せられる中、2012年10月17日にウクライナ1部のSCタフリヤ・シンフェロポリと2012-13シーズン終了までの契約で合意に達したと報じられたが、あくまでも交渉中であり、正式に契約を締結したわけではなかった。タフリヤ・シンフェロポリとの交渉が破談となり、ヘンクを退団してから半年もの無所属状態が続いた後、2013年1月29日に古巣アンデルレヒトのゼネラル・マネージャーから機会を与えられ、2012-13シーズン終了までの契約で5年ぶりの復帰を果たす。2度目のアンデルレヒトでは、同僚達に暖かく迎えられてU-21チームで訓練を開始し、3月4日に2軍の試合へ出場して本格的に復帰を果たすと、それから1週間後の3月16日のKAAヘント戦 (1-1) でロナルド・バルガス () に代わって後半から初出場を飾った。同シーズンは、この1試合の出場、それも僅か12分のみだったにも関わらず、マルチン・ヴァシレフスキとデニス・オドイ () が退団し、右サイドバックを務めるの選手がギヨーム・ジレのみと手薄だったことで6月18日に契約を2年延長させることに成功した。2016年7月8日、リーグ・アンのモンペリエHSCに買い取りオプション付きの期限付き移籍をすることが発表された。コンゴ民主共和国とベルギーの市民権を持つヴァンデン・ボーレは、負傷離脱したオリヴィエ・デ・コック () の代役として2006年4月23日にエメ・アンテュニス () 監督によってベルギー代表に初招集され、4月28日のトルコ戦 (2-3) でエリック・ドフランドル () に代わって16歳186日で初出場を飾り、1911年にが記録した16歳19日に次ぐ最年少出場選手となる。それから1年後の2005年6月4日のセルビア・モンテネグロ戦 (0-0) で初先発出場した。以後、A代表でプレーしながら年代別代表としてUEFA U-21欧州選手権2007と北京オリンピックにも出場した。2011年11月のルーマニア戦を最後に代表から遠ざかっていたが、その後のクラブでの活躍から、右サイドバックを務めるトビー・アルデルヴァイレルトの控えとしてジレやトーマス・ムニエ () 、ローラン・シマンを抑えて2014年2月27日にマルク・ヴィルモッツ監督によって招集され、3月6日のコートジボワール戦で約2年半ぶりに復帰を果たすと、5月13日に発表された2014 FIFAワールドカップのメンバー入りをした。

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