西武20000系電車(せいぶ20000けいでんしゃ)は、2000年(平成12年)2月21日に一般営業運転を開始した 西武鉄道の通勤形電車。本系列は従来、主力車両として運用された101系電車のうち、初期に新製された車両(低運転台車)104両の老朽化に伴う代替を目的として導入された 。設計コンセプトは「シンプル&クリーン」とした 。なお、本系列は最終的に10両編成8本(80両)、8両編成8本(64両)の計144両が製作されており、101系の代替車両数より40両多くなっている。これは2000年度・2001年度に増備した2・3次車8両編成5本(40両)が池袋線中村橋 - 練馬高野台間の複々線延伸に伴う列車増発用として新製されたためである 。製造は日立製作所が担当し、構体は6000系50番台車と同様にアルミ合金製であるが、本系列においてはダブルスキン構造の大型形材を摩擦攪拌接合 (FSW) 工法によって組み立てるという、後に日立製作所が提唱した「A-train」シリーズに準拠した設計が採用され、内装を始めとした各部の組立工法をモジュール化することによって製造時における工数削減ならびに低コスト化が図られるとともに、将来的な内装リニューアル工事施工時におけるコスト削減にも寄与するものとした。ダブルスキン構造の採用によって車体強度が向上し、従来の車両と比較して車内外の騒音や振動が低減された。編成は10両編成(MT比:5M5T)および8両編成(MT比:4M4T)の二種類が存在する。8両編成は10両編成から中間車2両を抜いた構成で、補助電源装置である静止形インバータ (SIV) の容量が異なること以外は同一の仕様である。車両番号については編成構成によって異なり、10両編成では末尾を01から、8両編成では末尾を51からそれぞれ付番し、両者を区分した。先頭車の前面は、本系列が地下鉄乗り入れ運用を考慮しない自社線内専用車両であることから、貫通扉(非常扉)のない非貫通構造とした。前頭部は普通鋼製のモジュール構造で、20本のボルト結合により構体部分と固定されている。前面窓は大形の1枚ガラスを採用、窓周りを黒色を基本とし、窓下部にはコーポレートカラーである青色を配してアクセントした。構体部分はFSW工法の採用によって、見栄えや品質が向上したことから塗装を省略した無塗装仕上げとし、側面腰部には青・白の2色帯が客用扉部分を含めて配されている。前照灯は丸型のシールドビームを採用し、発光ダイオード (LED) 式後部標識灯とともに同一ケース内に収めたものを、前面腰部に左右一箇所ずつ配置した。2005年(平成17年)に増備された20108編成・20158編成においては前照灯に高輝度放電灯 (HIDランプ) を採用したが、後に他編成と同様のシールドビーム仕様に改造された。前面および側面の行先・種別表示器は、いずれもLED式の行先・種別一体表示型である。また、LEDの長寿命化を目的として走行中は側面表示を消灯する機能が実装されている。主幹制御器(マスター・コントローラー)は、力行4ノッチ・制動8ノッチ(非常制動段含む)仕様のワンハンドル式を採用した。マスコンハンドルは左手操作型で、山口線「レオライナー」の8500系電車において採用された両手操作型(T字型ハンドル)とは異なる。警笛は空気笛に加え、電子笛を併用する。運転台右側にはモニタ装置のモニター画面が設置してある。このモニタ装置は乗務員支援や機器監視・自動検査を行うもので、日立製作所製の高機能車両情報装置「ATI」が採用されている。力行・ブレーキ・放送や案内表示などの制御指令もこの装置を用いるため、大幅な配線削減が図られている。伝送速度は3.2Mbpsと高速伝送性能を備えている。乗務員室の仕切りは、客室から見て左から小窓・大窓(仕切り扉)・大窓の仕切り窓が3枚並んでいる。すべての窓に遮光幕が設置してある。車内はダブルスキン構体の一部であるマウンティングレールに モジュール化した内装材をボルトで固定する方法を採用している。内張りとなる化粧板は白色系を採用し、床敷物はグレーを基調とした濃淡柄とした。天井にはフェノール発泡体を芯材にアルミ板と化粧板で挟んだパネル材(複合材料)を使用し、従来の天井骨組みを省略することで軽量化を図っている。座席は1人分の掛け幅が460mmの片持ち式のロングシートであり、モケットは青色の区分柄バケットシートを採用。シルバーシート(現・優先席)のモケットは灰色で同じくバケットシートである。なお、西武の電車で優先席に灰色モケットを採用したのは2008年時点では本系列が最後であり、後に登場した30000系ではオレンジ色のモケットが採用されている。車椅子スペースは先頭車の乗務員室背後と その隣の中間車にも設置し、編成での設置数は4か所とした。車椅子スペース部には安全手すりと非常通報器が設置されている。この通報装置は乗務員と相互に通話が可能なもので、各車両に2台が設置されている。6000系、9000系に続いて自動放送装置(同じ石毛美奈子によるもの。)とドアチャイム、LED式の案内表示器を客用ドア上部に設置した。量産先行車と2次車の各2編成については窓ガラスに韓国・ハンファ化学製のものが使用されているが、その後製造された車両に関しては日本製のガラスを使用している。2008年頃より、他形式と同様に自動放送の内容にクリステル・チアリによる英語放送が追加されている。その後の4次車ではバリアフリーとして床面高さを1,180mmから30mm下げた1,150mmとしたほか、7人掛け座席部の中央にスタンションポール(縦握り棒)を1本新設した 。さらに5次車からは車内設備に大きな見直しがあり、バリアフリー設備を充実させている 。7人掛け座席部のスタンションポールを2本に増設、座席端部の仕切り形状を大形板に変更した。先頭車では車椅子スペース部に折りたたみ式座席を設置したほか、優先席部では荷棚・つり革高さを100mm低下させることで使いやすさの向上を図った。そのほか、床敷物の経年劣化を考慮して色調を濃く変更、座席下ドアコックフタ形状の変更など細かな点で変更が実施されている。制御装置には日立製作所製のIGBT素子(3レベルPWM 2000V/400A)を使用したVVVFインバータ制御方式を採用し、機器の低騒音化が図られている。制御方式は135kW出力の主電動機を4台制御する1C4M1群/2群制御であり、トルク制御にはベクトル制御方式を採用し、高い粘着性能が確保されている。装置には60km/h以上の速度域における加速性能向上機能と20km/h以上の速度における定速運転機能を持たせている。制動装置はナブテスコ製のHRDA-1回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。このほか、保安ブレーキと降雪時に使用する圧着ブレーキ(耐雪ブレーキ)を装備する。4次車からは全電気ブレーキ対応とされ、既存の編成についても後にソフトウェアの変更で対応改修が実施された。補助電源装置には三菱電機製のIGBT素子使用の静止形インバータ (SIV)を採用した。10両編成では180kVA出力、8両編成では140kVA出力品をそれぞれ編成で2台搭載している。空気圧縮機 (CP) はナブコ(現・ナブテスコ)製で、当初はレシプロ式のA1544B-HS-20-4形を搭載していたが、増備途中からスクリュー式のAR1444-RW20に変更された。集電装置はシングルアーム式のPT-7116-Bを採用し、一編成あたり10両編成においては3基、8両編成においては2基、それぞれ搭載する。台車は6050系50番台後期車とほぼ同じ構造のモノリンク式ボルスタレス台車を採用する 。1 - 3次車は床面高さ1,180mmに対応したSS150A・SS050Aを装着するが、4次車からは床面高さを1,150mmに下げたため、これに対応したSS150B・SS050Bに変更された。基礎ブレーキには片押し式のユニットブレーキが採用されている。さらに各車両には車輪の滑走を防止する滑走防止制御装置が設けられている。冷房装置は三菱電機製の集中式で、能力は48.84kW (42,000kcal/h) の装置を搭載している。当初はCU-72Jであったが、3次車からは冷媒に代替フロンを使用したCU-722へ変更された。なお、この装置は6000系のものとも互換性があるが、本系列のものはオーバーヘッドヒーター内蔵型である。車内の冷風吹き出しはラインフロー方式とし、補助送風機を各車7台設けている。本系列は、1999年(平成11年)10月に最初の編成が落成し、2000年2月21日の一般営業運転開始まで乗務員の習熟運転が実施された。営業運転開始時は新宿線のみの配置であったが、2002年(平成14年)9月9日からは池袋線においても配置、営業運転が開始された。8両固定編成は主に各駅停車、10両固定編成は主に優等列車を中心に使用されている。本系列には2・4・6両編成が存在しないため、新宿・池袋線からの乗り入れ時以外は多摩湖線・国分寺線・西武園線での運用はない。登場から長らく飯能 - 吾野間および西武秩父線への入線もほとんどなかったが、8両編成については2010年3月のダイヤ改正から2000系とともに土休日の池袋~西武秩父の快速急行に充当されるようになった。このダイヤ改正前では、毎年12月3日に埼玉県秩父市で開催される秩父夜祭や同市にある羊山公園の芝桜が見頃になる4月上旬から5月上旬にかけて、およびイベントのために臨時列車として、8両編成が池袋線飯能 - 吾野間および西武秩父線に入線した。2014年(平成26年)4月1日時点では10両編成8本(80両)と8両編成8本(64両)の計144両が在籍し、通常は池袋線(池袋 - 飯能)・豊島線・狭山線と、新宿線・拝島線で運用されている。パンタグラフはM1・M3・M4車に1基ずつ搭載される。2014年4月1日現在。2016年10月8日、池袋線所属20158編成の車体全体に松本零士の漫画『銀河鉄道999』に登場する主要キャラクターのイラストをあしらった「銀河鉄道999デザイン電車」として運行を開始。メイン運行は池袋線だが、スポット運行として新宿線で運行される場合もある。2009年5月から2014年12月まで3000系3011編成で運行されてきた初代デザイン電車の後任として、2019年3月頃まで運行される予定。
出典:wikipedia
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