ヅダ (ZUDAH) は、2004年から2006年にかけて公開されたOVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』を初出とし、ガンダムシリーズの宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー、U.C.)系作品群に登場する架空のロボット兵器。人型機動兵器「モビルスーツ(MS)」のひとつ。「ジオン公国軍」の試作型MSで、「ザクI(旧ザク)」の競合機種として開発された機体。性能ではザクIを上回っていたが、欠陥による事故が原因で競合に敗北したとされる。後に改良が加えられ、主要人物たちが所属する「第603技術試験隊」によって評価試験が行われる。漫画『機動戦士ガンダム 黒衣の狩人』でも、主人公の搭乗機として活躍する。宇宙世紀0071年、ミノフスキー粒子散布下の戦場での有視界での近接戦闘の有効性が明らかになったことを受けて、ジオン軍当局は連邦軍との物量差を打破しうる新兵器の開発をジオニック社、ツィマッド社、MIP社に委託した。これに応えてツィマッド社が得意の推進装置分野の技術を活かし宇宙空間での機動性と推力を重視して設計・開発したのが「EMS-04 ヅダ」である。大出力スラスターとAMBACを併用して急激な姿勢制御を可能とする「広帯域推進技術」が盛り込まれており、そのために「水星エンジン」の試作を経て完成した「木星エンジン」が搭載された。これによりEMS-04は当時としては破格の運動性を獲得した。宇宙世紀0075年初頭、本機はジオニック社の提出した「YMS-05 ザク」(後のザクI)と共にジオン軍での制式採用を賭けたコンペティションに臨んだ。格闘性能試験・飛行性能試験それぞれにおいてザクを凌駕し、軍上層部の一部からも「ヅダ勝利」の声が上がっていたが、飛行性能試験の場で空中分解事故を起こし機体を喪失、テストパイロットが死亡してしまう。大推力、高加速、AMBACシステムを併用した急激な方向転換で機体構造に大きな負荷がかかったのが原因であった。また、1機あたりの生産コストがザクの1.8倍近くに上り、国力・資源に限界のあるジオンにとってこの高コストは軽視できない問題であった。選考の結果、コストも安く信頼性・汎用性が高いザクが制式採用・量産化が決定された。なお、このコンペ並びに選考結果については、ジオニック社と政権の癒着や裏工作があったとテストパイロットのデュバル少佐が主張しているが、真相は明らかにされていない。だが、ザクの量産開始後も本機の開発中止命令は出ず、一年戦争が勃発し戦場が地上に移ってからも開発は続けられた。オデッサ作戦の直前の10月、すでに制式採用が決定していた新型エンジンに換装し、新世代の素材、制御システムを採用した「EMS-10 ヅダ」が完成した。この新型エンジンはドムおよびリック・ドムにも採用されたものである通称「土星エンジン」と呼ばれもの、あるいはその改良型であったとも言われている。このEMS-10はEMS-04とは外観が若干異なっており、特に肩、胸部、腰の装甲形状とバックパック、盾に格闘用のピックが付加されている点に違いがみられる。また機体構造にも大幅な改良が施され、劇中ではEMS-04とは全く別の機体であると喧伝されていた。圧倒的なまでの加速性能は当時のMSの中でも群を抜いており、最大推力ではRX-78 ガンダムをも凌駕した。エンジンは背部に露出しており、バーニアノズルの向きを変えるだけで失速することなく急激な方向転換が行えた。また、隊長機と2・3番機、予備機は、モノアイスリットの形状などそれぞれ頭部パーツに若干違いがある。しかし、EMS-10の実態は、戦況が逼迫しつつあるジオン公国が自軍や国民に対する戦意高揚および地球連邦軍に対する欺瞞、すなわちプロパガンダのために流した誇張情報である可能性が高い。試験中にEMS-04と同様の事故を起こしており、マイ中尉の調査によればEMS-10のエンジン暴走時の数値が、かつてEMS-04のエンジン事故で起こった際の数値と酷似している。その上「改良点」も詳細不明で、スペック上もスラスターの最大推力は全く同一であった。この事実から改良は行われていなかったか、ごく細部でしか行われていなかったのではないかと推測されている。後に連邦側のプロパガンダ放送によってEMS-10の素性が暴露され、EMS-04から設計が変わっていないことが発覚した。また、前述の理由からエンジンに至っては本当に「土星エンジン」に換装されていたかどうかすら疑問も持たれている。なお、ヅダの劇中での登場シーンは宇宙空間のみであり、コロニー内や地球上での活動能力の有無は不明である。しかしながら、エンターブレイン『機動戦士ガンダム MS IGLOO 完全設定資料集』には「ジオン公国軍はU.C.0071、国内の企業に「ミノフスキー粒子環境下の有視界戦闘」に対応した軍用汎用MSの開発を発注した。ジオン公国軍当局が、これらの兵器に求めた性能は、としてのふたつであった。」とされておりその依頼を受けてツィマッド社はこの際EMS-04を開発している。そして、前述の通り宇宙世紀0075年初頭、ジオニック社の提出した「YMS-05 ザク」(後のザクI)と共にジオン軍での制式採用を賭けたコンペティションにEMS-04で臨んで、結果、選考で不採用となり敗れているが、その要因に機体の地球上の適性の有無が含まれていない。また、EMS-10はEMS-04を改良した機体であり、一年戦争が勃発し戦場が地上に移ってからも開発は続けられ、オデッサ作戦の直前の10月に完成した機体である。かつて空中分解する欠陥を晒しコンペでザクに敗退したヅダ(EMS-04)は、4年の歳月の間に改修を重ね、新型ヅダとして完成した。形式番号EMS-10が与えられた新型ヅダの登場と、その高性能ぶりはジオンのプロパガンダ放送でも誇らしく喧伝された。その最終評価試験を行うため、4機がテストパイロットのジャン・リュック・デュバル少佐とともに第603技術試験隊所属の支援艦ヨーツンヘイムに配備されるが、評価試験中に3番機がエンジンの暴走を起こし空中分解、機体とテストパイロットのオッチナン・シェル中尉が死亡した。原因は中尉が命令を無視し高加速を行ったことにあるとされたが、欠陥を解消したはずのヅダが改修以前のヅダ(EMS-04)と同様の事故を起こしたことに関係者は不審を抱く。折りしも連邦側のプロパガンダ放送でEMS-10の素性が暴露され、EMS-04から設計が変わっていないことが関係者に知れると同時に、本来なら軍上層部とツィマッド社の機密事項であるはずの情報が地球連邦軍に筒抜けであることも明らかになった。この情報漏洩に関してデュバル少佐は、MS開発を巡ってツィマッド社とライバル関係にあるジオニック社の差し金であると主張しているが、いずれにせよ、マルティン・プロホノウ艦長らは試験の続行が危険と判断し試験中断の判断を下す。その折、オデッサ作戦で地上を追われた多数の友軍がHLVで宇宙空間へと敗走してくる。彼らはより多く人員を乗せるために燃料搭載量を減らしたといわれ、大気圏を脱して以降は地球周回軌道上を漂うことしかできず友軍による回収を待たねばならなかった。連邦軍はこの機を捉えて据え物斬りにかかり、HLV側も搭載していたザクJ型を放出して果敢に反撃を試みるが、そのほとんどは陸戦仕様で宇宙空間では姿勢制御もままならず、ボール相手に満足な反撃もできぬまま一方的に撃破されていく。この状況を目の当たりにしたモニク・キャディラック特務大尉は、独断で評価試験の再開を名目とした救援活動を下命する。友軍の救援を2番機と予備機に任せ、陽動に徹するデュバル少佐の1番機はまずボール2個小隊6機のうち少なくとも4機を撃破、さらに加勢に現われたジム6機のうち2機を直ちに撃破し、残りのジムをHLVから引き離すべくデュバル少佐は連邦軍の挑発に挑発で返して高速機動に誘い込み、3機を空中分解に至らしめるが、1番機もエンジンが暴走して空中分解し、搭乗していたデュバル少佐も死亡した。その後ジオン本国から評価試験の中止と残存機のヨーツンヘイム護衛の搭載機として配備する旨の指令が伝えられたが、これは数度にわたる空中分解事故を要因とする事実上の「不採用決定通知」であり、護衛機転用の名を借りた体の良い廃棄処分でもある。しかし最終決戦となったア・バオア・クー攻防戦にて予備機は左腕を破損したに留まり、2機とも終戦まで残存した。機体の不採用が決定した後の戦闘が皮肉にも、機体の性能の高さを証明する結果となった。なお、友軍救出活動時にキャディラック特務大尉が予備機のパイロットを務めたことが確認されているが、後に彼女がヨーツンヘイムに乗艦している状態で予備機が出撃している映像もあり、ヒデト・ワシヤの他にもヅダを運用するパイロットがヨーツンヘイムに乗艦していると考えられる。漫画版『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』では、友軍を救出した後、試作モビルスーツ ゲム・カモフの技術試験のために第603技術試験隊に配属されたエンマ・ライヒ中尉が、操縦技術を見せるために護衛機として転用されたヅダに搭乗し戦闘を行っている。『黒衣の狩人』においては、乗機のザクを喪失したウォルフガング少佐の補充機体として登場する。一年戦争末期、大気圏ぎりぎりを担当するパトロール部隊はろくな補給をうけられず、ウォルフガングは組み立て途中で工場に放棄されていたヅダを使用することになった。EMS-04かEMS-10かは不明だが、土星エンジンを搭載し、MS IGLOOに登場するEMS-10と細部のデザインが異なっている。また、ウォルフガング少佐のパーソナルカラーである黒色に塗装され、シールドには狩人隊のエンブレムであるウサギを咥える狼を意匠化したマーキングが描かれている。作中では、ウォルフガング少佐の技量によって、大気圏上層部にごく浅い角度で機体を突っ込ませて水切りの要領で上層部を跳ねながら移動する機動を行ない、ヅダの加速性能と相まって通常のMSを凌駕する機動性を見せ、弾薬の補給を満足に受けられない状況下でもジム改をはじめとした連邦軍MS3機を撃破、連邦軍艦船の対空砲火をかいくぐり艦橋に肉薄するなど高い戦果を挙げている。また、ウォルフガングはヅダが爆発事故を起こす運用条件を把握しており、その要素は物語の終盤において重要な役割を果たすことになる。小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場する宇宙用MS(型式番号:EMS-10F)。一年戦争後期に開発されたヅダの改良型であり、土星エンジンのリミッターを強化することによって暴走の発生を抑制することに成功しているほか、様々な改良が加えられており、一部にはギャンのパーツも使用されている。武装として135mm対艦ライフルを改良小型化した95mm狙撃ライフルを装備。制式採用こそされなかったものの、少数ながら生産された機体は複数の部隊で運用されており、宇宙世紀0083年時のジオン残党組織「ファラク」でも1機のヅダFが使用されている。
出典:wikipedia
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