『市塵』（しじん）は、藤沢周平の長編時代小説。1989年に講談社から刊行された。『藤沢周平全集』（文芸春秋社）第22巻所収。正徳の治の事実上のプラン・メーカーとして、貨幣改鋳、朝鮮通信使待遇問題、徳川家継の保育問題、密航した宣教師シドッチの取調べなどに関わった新井白石が、家継の死去とともにすべての政治的実権を喪失した後、再び市中の人として学者に戻ってゆくまでを描いた作品である。甲府藩侍講であった儒学者新井白石は、主君・徳川綱豊（のちの徳川家宣）が将軍になるに伴い、幕府の政治顧問として幕政の桧舞台に立つ。

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