ヤマブドウ(学名:)は、ブドウ科のつる性落葉低木樹である。果実を生食あるいは果実酒にしていたが、近年、ワイン、ジャム、ジュースの原料として活用する動きがある。従来、野山で自生しているものを収穫することから、ほ場で栽培することを始める地域がみられ始めた。日本語古語ではエビカズラと言い、日本の伝統色で山葡萄の果実のような赤紫色を葡萄色(えびいろ)と呼ぶのはこれに由来している(※正確な色などについては当該項目を参照のこと)。つる性の低木落葉樹である。随は褐色で、若い枝や葉にはくも毛がある。蔓(つる)は、葉に対生する巻き髭で他の植物等に巻き付き、高く上る。葉は10- 30cm程の大きさで互生し、柄元に窪みのある五角形様で裏面に茶褐色の毛が生える。秋には、紅葉する。初夏に開花し、花は葉に対生する花柄に黄緑色の小花が多数着花する。萼(がく)は輪形で、花弁および雄しべは5つ、雌しべは1つからなる。
雌雄異株で、雌しべは健全であるが、発芽能力のない花粉しか持たない雄しべを有する雌花(正確には機能的雌花)しか咲かない雌株と発芽能力のある花粉を持つ雄しべは有するが、雌しべの柱頭および花柱が退化しているため、受粉・受精ができない雄花(正確には機能的雄花)しか咲かない雄株に分かれる。果実は雌株のみに着生し、雄株は花粉提供のみである。
マスカットなどの栽培品種と違って、1樹だけでは果実が成らない。そのため、雌木と雄木を混植する必要がある。雌花の花粉は空虚花粉ではなく、細胞質が詰まっており核も存在するが、発芽溝がないために花粉発芽ができない。そのため、訪花昆虫は雌花の蜜のみではなく花粉を食べるために訪花する。
また、雄花の退化した子房内には胚珠が存在し、開花の2週間前くらいに植物ホルモン処理をすると、退化雌蕊が発達して両全花(両性花)になり、自家受粉して種子が得られることが知られている。果実は球形で秋に熟し黒紫色になる。甘酸っぱく、生食できる。品質は安定しないが、日本の在来種として見直す動きがある。変種に、葉の裏面が無毛のタケシマヤマブドウ"Vitis coignetiae" var. "glabrescens" がある。冷涼地に自生する野生種で、サハリン島(ロシア)、南千島、日本列島(うち、北海道、本州、四国)、および、鬱陵島(韓国)に分布する。日本では近年、ワインの原料としても注目されており、他種との交雑など品種改良の動きも見られる。また、韓国の全羅北道では製品化されている。生食のほか、ジャム、ジュース、シロップ漬けなどに利用される。また、実を乾燥させ、ドライフルーツ(干し山葡萄)としても食される。近年、ヤマブドウを原料としてワインを醸造・販売する地域が出てきた。北海道十勝地域の池田町では、1963年、果実酒試験醸造免許を取得し、翌年、ヤマブドウを原料とした「十勝アイヌ山葡萄酒」を醸造、第4回国際ワインコンペティションにて銀賞が授与された。これをきっかけに、山形県、岩手県、岡山県など日本各地でもヤマブドウによるワイン醸造が始まった。
栽培化にあたり、系統選抜や栽培種などとの交配による品種改良もみられる。例えば、山形県では、大きな果房をつけ、裂果も少なく病気も強い「Y」「Y」「Y」系統が選別された。また、岩手県では、「涼実紫(すずみむらさき)一号」などが選別され、品種登録もなされた。山梨大学では、ワイン用品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンと交配した「ヤマソービニオン」を育成、栽培されている。岡山大学大学院の研究グループのマウス実験でヤマブドウの果汁には皮膚がんの発症を抑制する効果があることが確認されている。ヤマブドウは、一般的なブドウと比較して、リンゴ酸が5.5倍、ビタミンB6が3倍、鉄分が5倍、カルシウムが4倍、そしてポリフェノールが3倍も含まれている。特に、ヤマブドウ果実の種子や皮に有効成分であるポリフェノールが多く含まれ、その機能性には、天然の抗酸化成分が多く含まれており、糖尿病などの病気や老化の予防に大いに期待されている。主成分であるプロアントシアニジン、レスベラトロール、アントシアニン、カテキンなどの豊富なポリフェノールが大量に含まれており、このヤマブドウ果実搾汁粕から熱水抽出したエキスにはAGEs生成阻害作用が報告されている 。糖尿病を誘発させたラットにヤマブドウポリフェノールを配合した餌を1ヵ月間食べさせた実験では、肝臓中3DG、AGEsの生成抑制が確認されている。なお、日本の酒税法(酒税法第7条、第54条、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項)では、ヤマブドウは「ブドウ」と見なされる。このため、ヤマブドウをリキュールおよび果実酒に使用すると酒税法違反となる。ヤマブドウの樹皮(蔓)は、日本では籠を始めとする収納用品などの材料として古くから利用されてきた。北海道のアイヌは、ヤマブドウの樹皮でシトカプ・ケリ(葡萄蔓の靴)と呼ばれる草鞋を編んで履いていた。ゴムのように粘性の高い強靭な繊維からなる日本産のヤマブドウの樹皮は、それだけに癖の強い性質でもあり、加工しないままでは極めて使いづらいため、なめし加工を施すことで利用可能な状態にする。現代では籠バッグの(少なくとも日本製のものでは、)最も一般的に使われる材料であり、製品は「やまぶどう籠バッグ」「山葡萄かご」などと呼ばれて市販されている。樹皮のところどころに自然のままに残る皮目を、あえて加工せずに野趣あふれるデザインとして活かす場合もある。長野県北部にはヤマブドウを使った伝統の民間療法が残っている。茎をつぶして、虫刺され時に塗る。葉は噛んで蜂刺されに塗り、果実は貧血によいと言う。
出典:wikipedia
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