


プラセンタ(Pharmaceuticals made from Placenta)は、胎盤から抽出した成分を含有する医薬品またはサプリメント。医薬品としては更年期障害や乳汁分泌不全、慢性肝炎などに使用される。美容目的としても使用される。サプリメント・化粧品としても関連商品が広く流通している。ただし、プラセンタ(Placenta)は「胎盤」を意味する英単語であり、本項で解説する「プラセンタ」は、「胎盤を原料として製造された医薬品および健康食品」という意味であり、適切な英単語が存在しない。医薬品として使用されるプラセンタはヒトの胎盤から製造され、微黄色澄明の水性注射液である。日本で保険収載されている製品として「メルスモン」(MELSMON)および「ラエンネック」(LAENNNEC)がある。ヒト胎盤由来成分として、多種の微量成分を含有するが、有効成分とされる成分は特定されていない。リジン、アラニン、アスパラギン酸などのアミノ酸が主成分。ホルモンやタンパク質は精製時の処理で完全に取り除かれ含有されない。特定生物由来製品のため、投与前にリスクを含めた患者への説明が必要とされ、アンプルの製造番号の少なくとも20年間の保管管理が必要とされる(平成15年7月30日改正薬事法)。メルスモン(MELSMON)は1956年に販売開始され、1959年に薬価収載されている。効能効果は、更年期障害と乳汁分泌障害で、共にフラセボと比較して有意な症状改善効果が確認されている。マウスでの動物実験では、抗疲労作用・創傷治療促進作用なども確認されている。販売はメルスモン製薬株式会社。1日1回2mLを毎日又は隔日に皮下注射して使用する。原料は日本国内の妊婦より出産時の排出された胎盤であり、提供者の海外渡航歴等の問診の他に、血清学的検査によってウイルス・細菌の感染症スクリーニング検査を実施し、更にHBV-DNA、HCV-RNA、HIV-1-RNAについて核酸増幅検査(NAT)等を実施して問題なかった胎盤使用する。原料は、塩酸加水分解法によって101℃以上、1時間以上の塩酸加熱処理及び121℃、60分間の高圧蒸気滅菌を実施され、ウイルス等の不活性化処理が行われている。ラエンネック(LAENNNEC)は、1974年に販売開始され同年薬価収載されている。原料および製造方法、滅菌処理方法はメルスモンに準じるが、効能効果は、「慢性肝疾患における肝機能の改善」となっている。124例を対象としたCross Over法による二重盲検試験では、ラエンネックの投与により血清トランスアミナーゼ(GOT、GPT)値が有意に改善することが確認されている(1984年に薬効再確認済)。ラットでの動物実験では、肝再生促進作用・肝障害抑制作用・抗脂肝作用、肝線維化抑制作用が観察されている。含有される胎盤由来抽出成分はメルスモンと大差ないが、ラエンネックは1日2-3回投与することが出来る(皮下注)。ペプシン(ブタ、胃粘膜由来)、乳糖(牛乳由来)を製造工程で使用するref name="LAENNNEC"/>。プラセンタを創部に局所注射すると、創傷治癒が促進されることが知られており、美容外科・形成外科領域で使用されている。歯科領域でも、プラセンタが使用されている。プラセンタはヒト歯肉線維芽細胞(HGF)のI型コラーゲン産生量に影響を及ぼすことが知られており、歯周病や抜歯後の治癒促進、口内炎などへの応用されている。これらの領域へのプラセンタの使用は、日本では保険診療として認可されておらず、自費治療(自由診療)となる。上記の2製剤は高度な病原体不活性化処理が行われており、現在までに本剤により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)やエイズ等の感染症を引き起こしたケースは報告されていないが、生体組織を原料としている以上、未知の病原体を含む感染症を伝播されてしまう可能性は完全にゼロではない。アレルギー体質の患者へは慎重投与となっている。併用禁忌薬は特に挙げられていない。副作用として最も多いものは注射部位の発赤・疼痛で、投与例の3.7-7.1%に観察される。悪寒、悪心、発熱などが0.1-5%未満の頻度で見られる。サプリメントや化粧品としても、「プラセンタ関連商品」が流通している。原料としてはヒトの胎盤ではなく、牛や馬・豚・羊といった家畜の胎盤が使用されている。日本ではかつてサプリメントの原材料として牛の胎盤が使われていたが、牛海綿状脳症 (BSE) が確認されたことから安全性が疑問視され、その後は牛以外の家畜の胎盤を使用している。羊も牛と同じ反芻動物であることよりBSEのリスクが懸念されている。滅菌処理は60度程度の低温処理であり、「メルスモン」や「ラエンネック」のような高度の処理は行われていない。そのため、家畜の性ホルモンや、飼育時に使用された残留抗生物質が検出されたという報告がある。胎盤抽出成分を混合した塗布薬が化粧品として販売されている。きめ・毛穴・発赤部分において改善効果を認める報告もあり、皮膚炎症の改善効果やメラニンの生成抑制効果、ターンオーバーの促進効果の可能性があることが示唆されている。スーパーオキサイドを低減し、しわの原因となるコラーゲン分子の光老化架橋形成を抑制する効果もあり有望な抗老化素材とする発表もある。アンチエイジング効果についても評価する声がある。家畜の胎盤抽出成分を混合した食品が、健康食品・サプリメントとして販売されている。しかし、胎盤抽出成分(プラセンタエキス)に含有されるとされるペプチドホルモン、酵素、成長因子、サイトカイン等は、経口摂取して消化管で消化・分解されてしまい、仮にプラセンタエキスに効果があると仮定しても、経口摂取ではその効果が期待することは難しい。俗に、「更年期障害によい」「冷え性によい」「貧血によい」「美容によい」「強壮・強精によい」などと言われているが、ヒトにおける有効性は確認されていない。ただし、男性の性機能改善効果があったという報告もある。また健康食品・サプリメントでは、上記の家畜の胎盤を原料にした製品の他に、魚の卵巣膜の抽出成分を含む商品を「海洋性プラセンタ」・「マリンプラセンタ」と称したり、植物の胎座(placenta)の抽出成分を混合した商品を『植物性プラセンタ』等と称することもあるが、胎盤を原料としていないので全く関係ない別の食品である。プラセンタ関連の健康食品・サプリメントで、薬剤性肝炎、薬剤性肺炎、接触皮膚炎や全身性斑状強皮症を起こすなどの健康被害も報告されている。プラセンタエキスを含む健康食品により成人型アトピー性皮膚炎が悪化したケースもある。
出典:wikipedia
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