MELCOMとは、三菱電機が自社製コンピュータに使用していた商標。"Mitsubishi ELectronic COMputer"から。三菱電機はBendix G-15を輸入し、その使用経験を元にコンピュータの開発に着手した。まずトランジスタ式の試作機としてMELCOM LD1を開発した。これを元に1960年、最初の製品MELCOM 1101を発表。G-15の最小アクセスコーディングを参考にした磁気ドラムメモリを主記憶とするシステムで、科学技術計算を指向していた。1101 は学習院大学をはじめとして20台が設置された。この流れを直接受け継ぐシリーズとしてMELCOM 9100シリーズがある。科学技術計算用コンピュータとして1971年まで新たな製品が投入されている。なお、LD1は大阪大学に寄贈されている。事務用途のコンピュータの需要の高まりに応えるため、三菱電機はTRW社と1962年に技術提携契約を結んだ。ちなみにこの際に合弁会社「三菱TRW」を設立しており、現在では三菱スペース・ソフトウェア株式会社となっている。この技術提携により TRW 530 というコンピュータをMELCOM 1530として1963年に製品化した。マイクロプログラム方式の初期の実装であり、マイクロコードは主記憶上に配置されている(これをストアド・ロジック方式と称する)。1966年以降のMELCOM 3100シリーズは 1530 のアーキテクチャを継承し、ソフトウェア面ではCOBOLなどの高級言語を充実させ、ハードウェア面では磁気ディスク装置をサポートするなどしていった。情報処理量の増大に伴ってTRW 530のアーキテクチャではアドレス空間やマルチタスクなどの面で顧客の要望に応えられないことから、SDS(Scientific Data Systems)社から技術導入することになった(ちょうどSDS社がゼロックスに1969年に買収され、XDS(Xerox Data Systems)社と名乗っていたころと思われる)。同社のSigma 7と低価格版のSigma 5を MELCOM 7700およびMELCOM 7500として製品化した(1970年)。7000シリーズは8ビットをバイトとするバイトマシンで、32ビットワードを基本とする。タイムシェアリングシステムを実現するために割り込み機能が強化されている。なお、ゼロックス社はXDS(SDS)を1975年に廃止し、その知的資産はハネウェルに売却された。通産省の指導により三菱電機は沖電気と提携することになったが、沖電気はメインフレームからは撤退状態であり、そのままMELCOM 7000シリーズの後継機を開発することになった(三大コンピューターグループ参照)。1974年、MELCOM COSMOシリーズが発表された。仮想空間を拡張したため、従来(7000)互換モードと移行用モードを用意して移行を容易にしている(ステータスレジスタの設定で切り替えられる)。TRWとの提携により、1962年、TRW 330をMELCOM 330制御用計算機として製品化した。後継のMELCOM 350(1966年)を経て、MELCOM 350/50シリーズでは工場全体を制御するシステムとして4台のコンピュータを共有メモリ装置を介して接続可能とした。オフィスコンピューターとしてのMELCOMシリーズはPCを用いたクライアントサーバーシステムが全盛の時代となると、それに対応すべくDOSやWindowsマシンを端末に利用できる端末エミュレート機能(ap-BIND、PC-BIND)が使用できるようになり、やがてWindowsPCサーバーを内蔵したRX7000シリーズへと発展していった。そのRX7000シリーズも当初はオフコン部分とPC部分が分離されていたが、やがてWindowsNT上でオフコンOSのDP-UXを動作させるようになり、PCと融合していった。RX7000シリーズはその後Entranceシリーズと名称を変えている。OSはDPS4、DPS10、DP-UXなど。DPS10以降はUNIXカーネルを用いており、一般的なUNIXに近似したコマンドが使える。開発言語としてはCOBOL系の簡易言語であり、IBMのRPGに酷似したPROGRESS2が一般的だった(C言語やCOBOL言語も利用可能だったようである)。GREO(グレオ)と呼ばれるソート専用回路を搭載していた。リレーショナルデータベース機能も搭載しており、ファイル定義から簡易に入力画面や帳票を作成出来るEDUETというツールが良く利用されていた。第五世代コンピュータプロジェクトでは、三菱電機は逐次推論マシンの製造を担当し、MELCOM PSIの名で製品化した。翌年には小型化と高性能化を実現したMELCOM PSI IIも製品化している。これらはプロジェクト関連研究施設で使用された。MELCOM資産による各種システムは現在でも多々存在しており、これらの稼動基盤としてEntrance/CENTRAGEシリーズが提供されている。
出典:wikipedia
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