毎月分配型投資信託(まいつきぶんぱいがたとうししんたく)とは、収益の決算を1か月ごとに行い、その度に分配金(配当金)を出す投資信託をさす。なお、マネー・マネージメント・ファンド(MMF)や中期国債ファンドも1か月決算なのでここに該当するが、一般的には株式投資信託において毎月分配を行うものを指すことが多い。毎月分配型投資信託は、日本においては1990年代後半より設定されるようになった。当初は先進国の債券に投資し、安定的な分配を目指すものが多かった。その後、リスクの高い低格付債や新興国の債券に投資し高いリターンを狙うもの、高配当の株式に投資するもの、不動産投資信託(REIT)に投資するもの、それらを組み合わせて投資するバランス型ファンドなども現れている。2000年代に入り、団塊の世代が退職を迎える時期になって、毎月年金代わりに分配金を受け取れる事をメリットと感じた高齢者を中心に、大量の資金がこの種の投信に流入するようになった。国際的な金利低下を背景に、安定的に債券で収益を上げる事が出来るようになった(金利が低下すると債券価格は上昇する)ことも、それに拍車をかけた。2015年2月時点で、日本で最大の純資産総額を有する毎月分配型投資信託は「新光 US-REITオープン 『愛称:ゼウス』」となっており、その額は約1兆5000億円になっている。①下落相場に強い毎月分配型投資信託は、文字通り毎月決算日があるため、下落相場では運用会社に「損切り」を極めて早く行わせる効果がある。1年決算の場合は先行きの見極めを運用会社が誤れば、「損切り」のタイミングが遅れ、大きく基準価格を下げてしまう。無論、機関投資家が下落相場を見逃すわけはなく、投資資金を一斉に引き上げるべく大量に解約を行うために基準価格の下落に拍車がかかる。毎月分配型投資信託に投資する機関投資家は少ないため、基準価格の下落速度は無分配型や1年決算型の投資信託より極めて小さい。「全く売却せずに運用益を受け取る」のが目的の素人には、非常にありがたい。②下落相場での加速度的な複利効果がある下落相場では毎月分配型投資信託も基準価格が下がる。しかし、分配金を再投資していれば「口数」が増え、「ナンピン買い」の効果がある。再投資に手数料が不要なのも魅力である。また、事実上の「分配利回り」の上昇をもたらすメリットもある。ただし、その後に上昇相場に転じなければ文字通りの「蛸配当」になり、「分配金の切り下げ」や最悪の場合、償還(運用中止)もありうる。①上昇相場での複利効果が低い毎月分配型投資信託は、文字通り毎月決算日があり、基本的に運用損益を原資に分配金を出す。分配金に対しては20%の所得税・住民税が一律に課せられるため、上昇相場においては、運用成績が同じ1年決算の投資信託よりも複利効果が得にくい。2014年現在、運用益が大きい投資信託の大半が1年決算の投資信託である。なお,下落相場を経て長期保有していた場合は,分配利回りが50%以上になることもある。②蛸配当と分配金切り下げが起こる場合もまた、運用に失敗し運用損益がマイナスになった場合、信託財産の一部である「分配準備金」を切り崩して分配金を出す「蛸配当」を行うこともある(分配を中止する場合もある)。さらに,「分配準備金」が残りわずかになった場合は「分配金の切り下げ」を行う(「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」は2014年1月17日の決算から分配金を35円から20円に切り下げた)。「分配金の切り下げ」が起こると解約が相次ぎ、投資している債権や株式を運用会社が売却して投資資金を返金せざるを得ず、運用成果が大幅に下がる。*グローバルソブリン(毎月分配型)は分配金切り下げ直後の2014年2月17日決算の第194期に有価証券売却損を17,118,638,928円も出し,繰越損を大きく増やした。*例えば下表の条件で投資を行った場合、12か月経過時点でこの投資信託を換金すると、毎月分配型では分配時に既に課税されているため10477円がそのまま受け取れる。無分配型では売却益600円の20%である120円が税として差し引かれ、10480円が受け取れる。