『ミニヴァー夫人』("Mrs. Miniver")は、1942年の米国映画。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作。米国アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞(ウィリアム・ワイラー)、主演女優賞(グリア・ガースン)、助演女優賞(テレサ・ライト)、脚色賞(アーサー・ウィンペリス、ジョージ・フローシェル、ジェームズ・ヒルトン、クローディン・ウエスト)、撮影賞(白黒部門。ジョーゼフ・ルッテンバーグ)の6部門での受賞の他、この映画の製作者シドニー・フランクリンにアーヴィング・タールバーク記念賞が贈られている。この映画は、『カサブランカ』(1943)と並び第二次世界大戦中に連合国側、枢軸国を問わずたくさん作られた、いわゆる戦意高揚映画と呼ばれる類の作品である。また、この年は日米開戦の翌年であり、この年の作品の多くは日米開戦以前に企画された作品ばかりで、1939年のナチス・ドイツの対英仏開戦以来反ナチス・反ヒトラー映画が数多く作られてきた。時代は第二次世界大戦初期のイギリスの田舎町。そこに住むミニヴァー家の人々の日常をミニヴァー夫人(グリア・ガースン)を中心に描いている。この作品のメッセージとしては、ヨーロッパ戦線初期のナチス・ドイツへの敵愾心と英国への米国側への支援が込められている。英国人を主要キャストに置き、丁寧で流れるようなシナリオの巧さとワイラー監督の演出の好調ぶりを裏付けるような作品になっている。なお、この作品の日本公開は戦後の1949年9月である。1939年夏。陽気で美人なミニヴァー夫人(グリア・ガースン)が買い物包みをいくつも抱え、急ぎ足で歩いている。彼女はロンドン郊外の小さな村に住む建築家クレム氏(ウォルター・ピジョン)の良き妻であり、オックスフォード大学で寮生活を送っている長男ヴィン(リチャード・ネイ)、まだ幼いジュディ(クレア・サンディス)とトビー(クリストファー・セヴェリン)の三人の子を持つ優しい母でもあるが、少々浪費癖があるのが玉に瑕。今日も我慢できずに街の高級店でかなり値の張る帽子を買ってしまった。夫への言い訳を考えつつ停車場に降り立った彼女を、人の好いバラード駅長(ヘンリー・トラヴァース)が呼び止める。彼が丹精した自慢の薔薇の花に「ミニヴァー夫人」という名前をつけさせて欲しいという事と、その薔薇を村で開催される花の品評会「ベルドン・カップ」に出品したい、という申し出だった。実は「ベルドン・カップ」の主催者は村で名門の誉れの高いベルドン家の当主ベルドン夫人(デイム・メイ・ウィッティ)であり、品評会の中でも特に薔薇の栽培部門は彼女の独擅場だった。村の人々は名門である彼女に遠慮して、薔薇部門については誰も出品しない事が暗黙の約束事だったのである。そんな事情もあって駅長の申し出に驚くミニヴァー夫人だったが、彼の薔薇の見事な出来映えを見て、申し出を素直に感謝し了承する。翌日。ベルドン夫人の孫娘キャロル(テレサ・ライト)が、今年は駅長が自信作を薔薇部門に出品するという噂を聞きつけミニヴァー家を訪れる。キャロルはこれまで薔薇の栽培部門で一等賞を受けてきた事が老齢のベルドン夫人にとっては何よりの誇りであり、今年もぜひ祖母に一等を獲らせたい、できれば駅長に出品をやめるようミニヴァー夫人から頼んでほしい、と申し入れてきた。ちょうど夏休みで帰省中のヴィンはその身勝手な言い分に反発してベルドン夫人の階級主義を批判、キャロルと大激論になる。しかし若い二人はこれがきっかけで互いに意識し合い、その夜のダンスパーティーでヴィンはキャロルに謝罪し急接近、たちまち恋におちてしまう。やがて英国はドイツに戦線を布告し、第二次世界大戦に参戦する。ミニヴァー家の家政婦グラディスの恋人も出征した。ヴィンは空軍へ志願、近くの飛行隊へ配属される事となり、キャロルと正式に婚約する。クレムも村の人々と共に付近を巡察したりと忙しい。ミニヴァー夫妻は飛行編隊が上空を通るたびに、ヴィンの合図であるエンジン音を聞き、息子の無事にほっと胸をなで下ろすのだった。気位の高いベルドン夫人は駅長の薔薇の一件へのわだかまりもあり、また、ヴィンが空軍に志願した事でキャロルが未亡人になってしまうおそれもあって二人の婚約に難色を示すが、ミニヴァー夫人の説得でついに折れ、若い二人は村の人々の祝福を受けて結婚式を挙げる。ダンケルクから退却するイギリス兵の救助に駆けつけたクレムが一時消息不明になったり、村に不時着したドイツ軍パイロットがミニヴァー家に侵入したり、さらには空襲の激化など、戦争による一家の危機があったが、やがて「ベルドンカップ」が無事に開かれる。薔薇の栽培部門の審査は、甲乙付け難いふたつの出品作に難航するが、主催者に遠慮してか、審査員たちはベルドン夫人の薔薇を一等に選び、その審査結果を彼女に伝える。ベルドン夫人は結果発表の場で大英断を下し、バラード駅長の「ミニヴァー夫人」を一等に、自分の薔薇を二等とした。来場者たちは駅長とベルドン夫人に惜しみない拍手を贈る。ところが束の間の平穏も一転、敵機来襲の報せに来場者たちはそれぞれ避難。ミニヴァー夫人とキャロルはヴィンを航空隊基地へ送るが、その帰り道、二人の乗った車を敵機の機銃掃射が襲う・・・。数日後、廃墟と化した教会では礼拝が執り行われていた。品評会の日の空襲によって、多くの人々が犠牲となった。憔悴し切ったベルドン夫人の傍らにヴィンが寄り添う。ヴィカー牧師(ヘンリー・ウィルコクソン)は村から犠牲者が出たことを悼み、必勝を村民に呼び掛けて、犠牲者を弔う意も込めて皆で賛美歌を奉唱する。空襲によって穴の開いた教会の天井から、味方の航空隊が飛行していくのが見える。人々はこの先如何なる困難が襲おうとも、勇気を持って乗り越えていこうと各々の胸に堅く誓うのであった。
出典:wikipedia
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