LE-Car(エルイーカー、Light Economy-Car)は、かつて富士重工業が製造した軽快気動車群の愛称。本稿では、発展形であるLE-DC(エルイーディーシー、Light Economy-Diesel Car)についても記述する。1980年代から90年代にかけて、日本国有鉄道の特定地方交通線を転換する等して相次ぎ開業した第三セクター鉄道や、輸送量の極端に少ない閑散区間を抱える鉄道会社(私鉄)等において多く採用された。中には、名古屋鉄道や近江鉄道のように、既設の電化区間をこれに置き換えた例もある。1962年の南部縦貫鉄道キハ10形レールバスの製造から20周年を機に、1982年に富士重工業が閑散線区向け車両として独自に開発したLE-Carをルーツとする。同車は台枠こそ鉄道車両用に新たに作ったものだったが、長さ11.6mの車体はバス車体メーカーでもある同社のバスボディをベースとし、エンジンも主力架装先の日産ディーゼル(現:UDトラックス)製のバス用ディーゼルエンジンを搭載したものであった。特筆すべき点として、車軸(車輪)は車体への直接懸架(二軸単車)方式から、分岐器などの曲線通過性能を向上した空気ばね式1軸台車を開発してボギー車の形態に変更、また動力伝達には大型気動車同様の液体式変速機を用いることで、総括制御による2両以上の連結運転を可能とした。1984年には、車体長を12mとした改良形のLE-CarIIが試作され、名鉄広見線で走行試験を行った。これが実際に営業用車両となったLE-Carシリーズの基礎となった。LE-CarIIベースの二軸車両ではラッシュ時等に輸送力不足となるため、その後は車体長15m級の2軸台車を使用した形に移行し、さらにより本来の鉄道車両に近づけた構造のLE-DCへと発展していった。また、これと並行して、機関出力を向上した改良型の追加や、真岡鐵道のように、地元の企業で製造された機関を搭載する車両も登場し、旅客収容力や性能は一般の気動車と遜色のないレベルに達した。しかし、富士重工業は、2002年、鉄道車両事業からの撤退を発表し、これらの技術は新潟トランシスと日本車輌製造に譲渡された。LE-CarIIシリーズの最初期型にあたるもので、1984年から1986年にかけて製造された。車体長さは12.5mで、車体形状は当時富士重工業で製造されていたR15型バス用ボディに類似するが、前面非貫通形(試作車タイプと5Bタイプと5Eタイプの違いがある)と貫通形、ライトケースの違いを含め納入先によりさまざまなバリエーションがある。また、側面窓は路線バス並の2段窓仕様と観光バス風の一部引違い半固定式(Jベンドガラス)のものがあった。エンジンはバス用、出力180PS/2200rpmの日産ディーゼル製PE6Hディーゼルエンジンを搭載し、台車は一軸台車を2つ履き、一方を駆動台車、もう一方を付随台車とする。老朽化によりほとんどが廃車となり、2010年11月現在、稼働可能なのは現役の紀州鉄道に残る2両と動態保存車で、樽見鉄道から有田鉄道に譲渡された1両、名古屋鉄道からくりはら田園鉄道に譲渡された1両の計4両のみとなっている。※以下、カッコ内の年は製造初年を示す。従来の二軸車ではラッシュ時に輸送力不足となり連結運転を行う必要性が生じていた。しかしこれでは不経済であるため、1985年から車体長さを15.5mに延長したLE-Carが製造された。これに伴い台車も一軸台車をやめ、二軸ボギー台車となった。二軸車と同様、一方が駆動台車、もう一方が付随台車である。エンジンは日産ディーゼルPE6HTに変更され、出力230PS/1900rpmに向上している。前面一枚窓の非貫通形(2軸車のバスタイプではなく専用のマスクでライトケース角型)と、貫通形(ライトケースや前面窓周りのデザインの違いなどバリエーションがある)がある。側窓は2段窓の名鉄キハ20形を除き観光バス風の下段引き違い、上段固定式となっている。非貫通形は乗務員用扉なしの運転席センター配置、貫通形は乗務員用扉を装備する。以降、貫通標準型前面の前面窓周りのデザインが若干変更され、前照灯・尾灯が丸型から非貫通形と同様の角型となった。1987年から製造されているもので、車体工法がバス車両工法から軽量鉄道車両工法に変更された。これによりLE-Carに比べて屋根が深くなっている。LE-Carでは前面貫通形と非貫通形が存在したが、LE-DCはほとんどが前面貫通形となっている。1988年からは前面窓が側面まで回りこんだパノラミックウインドウとなった車両が製造されている。初期のものは一部を除き、LE-Carと同様の上段固定下段横引き窓や側面の折り戸が引き続き採用されたが、1994年に登場した長良川鉄道ナガラ200形以降の新形式はすべて上段固定下段上昇窓(ユニット窓)、引き戸となっている。エンジンは従来と同じ日産ディーゼルPE6HTであるが、出力は250PS/1900rpmに向上された。1998年の明知鉄道アケチ10形以降はエンジンが日産ディーゼルPF6HTとなり出力が295PS/2100rpmに向上し、前面は貫通形でパノラミックウインドウ、側面は窓が上段固定下段上昇窓で扉が引き戸という仕様に統一されている。以下は1998年以降の新形式で、すべて前面貫通形、パノラミックウインドウ、側面引き戸、上段固定下段上昇窓、エンジン出力295PS/2100rpm。富士重工業が鉄道車両製造から撤退した後、技術は新潟トランシスに譲渡されたため、LE-DCとほぼ同じ形態の車両が同社で製造されている。
出典:wikipedia
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