エルロチニブ (Erlotinib) はゲフィチニブと同様、上皮成長因子受容体 (EGFR) のチロシンキナーゼを選択的に阻害する内服抗がん剤。分子標的治療薬のひとつである。非小細胞肺癌患者に対し、ゲフィチニブが示せなかった延命効果を示した。IUPAC命名法ではN-(3-ethynylphenyl)-6,7- bis(2-methoxyethoxy)-4-quinazolinamineと表記され、分子量は393.436 g/mol。エルロチニブ製剤中にはエルロチニブ塩酸塩として存在し、分子量は429.90 g/molである。エルロチニブ製剤は切除不能又は再発した非小細胞肺癌および膵臓癌に対する治療薬として用いられる。製造元は米国OSIファーマシューティカルズ (OSI Pharmaceuticals Inc.)、販売元は米国ジェネンテック社 (Genentech, Inc.) で、商品名は「タルセバ (Tarceva)」。タルセバ錠は3種類の用量の剤形があり、エルロチニブとして一錠25 mg、100 mg、150 mg(エルロチニブ塩酸塩としてそれぞれ27.3 mg、109.3 mg、163.9 mg)を含有する。2004年11月19日米国食品医薬品局 (FDA) は非小細胞肺癌に対する治療薬として本薬剤を認可し、さらに2005年11月2日膵臓癌の治療薬としてゲムシタビンとの併用療法において承認した。日本では中外製薬が2006年4月14日厚生労働省に販売製造承認申請を行い、2007年10月19日に承認された。上皮成長因子受容体 (EGFR) は正常細胞および癌細胞表面に発現し、細胞の発達・増殖に関与する。エルロチニブはゲフィチニブ同様EGFRの働きを阻害して癌細胞の増殖を抑制する。ゲフィチニブ同様、癌細胞がEGFR遺伝子変異を持つ場合、腫瘍縮小効果が高いと報告されるが、臨床効果とEGFR遺伝子変異は相関しないという報告もある。エルロチニブ150 mg内服後のバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)は約60%で、最高血中濃度到達までの時間 (Tmax) は4時間。血中蛋白結合率は93%、分布用量は232リットルである。代謝は主に肝代謝(チトクロームP450 3A4、一部CYP1A2も関与)により、83%が糞便中、8%が尿中に排泄される。半減期は36.2時間。血中濃度が定常状態に達するまでの期間は連日内服で7 - 8日要する。喫煙者はエルロチニブのクリアランスが24%速く、非喫煙者がエルロチニブ150 mg内服して得られるAUCを得るためには、喫煙者では300 mgの内服を要する。既治療非小細胞肺癌を対象にした第III相無作為化比較臨床試験にて、エルロチニブはプラセボと比較して生存期間中央値を2ヶ月間延長させ(エルロチニブ群6.67ヶ月、プラセボ群4.70ヶ月、"P" <0.01)、延命効果が証明された。また奏功率(腫瘍の最長径が30%以上小さくなった患者の割合)は8.9%、無増悪生存期間は2.2ヶ月で、これらについてもプラセボ群を上回った。また、多変量解析では、腺癌、非喫煙者、EGFR発現が腫瘍縮小と相関していた。作用機序の同じゲフィチニブは延命効果を証明できなかったが、その違いとして、エルロチニブが最大耐用量 (MTD) を投与されるのに対し、ゲフィチニブはMTDの3分の1量が投与されるという用量の違いによる可能性が指摘されている。
出典:wikipedia
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