陸上空母離着陸訓練(りくじょうくうぼりちゃくりくくんれん、)、通称 FCLP は、アメリカ合衆国海軍の用語で、空母艦載機が行う、陸上滑走路を空母の飛行甲板に見立ててタッチアンドゴーを繰り返す飛行訓練をいう。FCLPの訳語としては、陸上空母離着陸訓練のほか、陸上艦載機着陸訓練、もしくは陸上模擬着艦訓練などが当てられる。なお、日本では夜間に行われるFCLPを特に夜間離着陸訓練(やかんりちゃくりくくんれん、)、通称 NLP と呼ぶ。この用語は、アメリカ海軍では特に昼夜の訓練を区別していないものの、在日米軍が日本の基地で行うFCLPに関する騒音問題は夜間におけるFCLPが特に問題視されているため、アメリカ海軍と日本政府の間で夜間に行われるFCLPを指すために特に定めたものである。滑走路長が300m程度しかない空母への離着陸は高い技術を必要とする。現代の空母艦載機は昼夜を問わず出撃する可能性がある。そのため空母艦載機パイロットには夜間離着陸訓練が義務づけられている。パイロットの錬度を維持するためには、一定の頻度で空母艦載機の発着訓練を行う必要がある。空母の入港中には空母甲板上での離着陸訓練が出来ないため、陸上基地の滑走路を使用して夜間離着陸訓練を行われる。訓練は特に空母の出港直前に集中して行われ、滑走路の周囲を複数の機体が旋回しながらタッチアンドゴーが繰り返される。バージニア州バージニアビーチのオセアナ海軍航空基地では、米軍の再編による所属航空機の増加と、F-14から排気音の大きいF/A-18への機種変更によって、周辺住民からFCLPへの苦情が大幅に増加し、住民団体から訴訟を起こされている。アメリカ軍では代替の遠隔地訓練場 (Outlying Landing Field, OLF) を用意し、FCLP訓練を移転させることで住民の負担を軽減させている。遠隔地訓練場の条件として、配備基地から50海里(93㎞)以内の8,000フィート(2,400m) の滑走路を備える基地が条件とされている。日本ではアメリカ海軍第七艦隊の空母ミッドウェイが横須賀基地を事実上の母港とし、厚木海軍飛行場を艦載機の基地として利用するようになった1973年10月以降からアメリカ海軍の空母搭載艦載機の訓練に伴う騒音問題が取り上げられるようになってきた。当初はNLPは三沢基地と岩国基地において行われていたが、厚木から距離が離れているため、1982年から厚木で、翌年からは横田基地でも行われるようになった。2001年度以降は、岩国、横田、三沢基地ではNLPはおこなわれていない。アメリカにおける事例と同様に、F/A-18の配備によって騒音問題はさらに深刻化し、国の担当者が「人の住むところではない」とのコメントを漏らすまでになった。住民が起こした複数の訴訟では、国の責任は認めるものの、日米安保条約によりアメリカ軍の活動に制約を加えることはできないとの判断が下されている。騒音問題の抜本的な解決のため、NLPの厚木からの移転が模索された。1983年からは三宅島において大型ジェット機が発着可能な新規空港を建設し訓練も移転させることも本格的に検討されたが、島の住民の7割が反対する中で予備調査としての気象観測ポストの設置にも機動隊が出動して逮捕者が出るなど大騒動になり、実現しなかった。1991年8月からは硫黄島航空基地に暫定的に移転された。厚木では依然として、昼間の艦載機訓練、悪天候を理由としたNLP、戦闘機以外のNLP、NLPにはカテゴライズされない艦載戦闘機の夜間訓練も行われている。厚木から1000km離れている硫黄島における訓練に、在日米軍は不満を抱いており、1985年の日米首脳会談では、厚木から100海里 (185km) 以内に訓練用基地を用意したいとの要望がおこなわれ、以後も同様の要求がおこなわれている。広島県佐伯郡沖美町(現在の江田島市の一部)の町長は2003年に、瀬戸内海最大の無人島である大黒神島に滑走路を建設し、NLPを誘致する計画を打ち出したが、激しい反発にあい7日後に町長が辞任し計画は解消された。在日米軍再編の一部として、空母艦載機の岩国基地移転が検討されている。岩国市では受け入れ賛成派と反対派が対立して、最終的な決定は下されていない。防衛省では、艦載機の岩国移転を視野に入れて、岩国から400㎞離れた鹿児島県西之表市の馬毛島にNLP訓練を移転させることを検討している。
出典:wikipedia
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