落とし穴(おとしあな)は、罠の一種である。陥穽(かんせい)とも言う。そのありようから転じて、他者を陥れる策略なども「落とし穴」「陥穽」と呼ぶ。穴を掘りそれを隠蔽することにより、穴の上を通ろうとする人や獣を落とそうとするもの。適当な大きさの穴を掘った後に残った土を取り除き、ある一定以上の重量がかかると、簡単に折れてしまうような木の枝を組合わせて穴の上に被せ、景色との違和感がないように草や葉をその上にばら撒いて隠蔽するというものが基本である。狩猟や戦争、遊び、いたずらなどに用いられる。日本列島では縄文時代早期から晩期頃において獣や小動物を捕まえる狩猟の方法として落とし穴(陥し穴)がさかんに掘られていた。非常に深く溝状に掘られたり、逆茂木を穴の底に立てたりして、獲物が動けないように工夫したものが多い。それぞれ、まとまって複数並んで列をなすことが多く、このことは集団で狩猟獣であるシカ(ニホンジカ・エゾシカ)やイノシシ、カモシカを追い込んで穴に落とし、捕獲したことをあらわすものと考えられる。概して遺物をともなわないケースが多い。このような大がかりな狩猟、しかも待ち伏せ狩猟が行われたことは、早期以降の縄文時代が本格的な定住生活の行われた時代であったことを傍証している。これらの落とし穴は、考古学においてはTピット、すなわち"trap"としてのピットと呼ばれる。なお、北海道ではイノシシやカモシカが自然分布しないため、落とし穴は専らエゾシカを対象とした構造になっている。戦場でのブービートラップとしても使用される。例えば、ベトナム戦争においては南ベトナム解放民族戦線がゲリラ戦法の一つとして行っていた。穴を掘った後に草葉などで覆うのは同様であるが、罠にかかったアメリカ兵を殺傷すべく穴底に木の枝や竹などの尖った部分を上にして備え付けてあった。落とすと同時に木や石によって、対象を圧死させる仕掛けを「押し」といい、『広辞苑 第六版』(岩波書店)にも記載されている。文献上、『古事記』『日本書紀』から確認でき、「押機」と表記されており、宇陀の豪族である兄宇迦斯(えうかし)が神武天皇を欺いて、落とそうとするも、弟の弟宇迦斯(おとうかし)が帰順してこの仕掛けを教え、逆に脅された兄宇迦斯自身が落ちて圧死している。昆虫採集の方法として、虫を捕まえるためのトラップを仕掛ける場合があるが、その代表的な方法に、紙コップなどを地面に埋めた落とし穴式のものがあり、ピットフォールトラップと呼ばれる。食虫植物には、ウツボカズラやサラセニアなど、葉につぼや筒状の穴を作り、そこに落ち込んできた虫を消化するものがあり、そのような方法を落とし穴式と呼んでいる。虫を集めるように入り口に蜜がでたり、虫が落ちやすいように入り口に逆棘があったり滑りやすくなっていたりと人工のそれにも似た仕組みをもつ。また、ラン科やウマノスズクサ科の花にはやはり落とし穴のような仕組みがある例がある。これはやって来た虫をとじ込め、脱出時に花粉媒介や受粉を行なわせるようになっているものである。昆虫では、いわゆるアリジゴクの巣がこれに近い。物理的な存在ではない「落とし穴」もある。例えば、ある者が別の者を陥れる策略の比喩として使われる。また、「陥穽」と言う時は特に、何かが致命的な欠点を持っていることや、あるいはその欠点から重大な問題が発生することの指摘が行われる場合が多い。また、単に「盲点」という意味で使われることもある。
出典:wikipedia
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