座布団の舞(ざぶとんのまい)とは、大相撲の取組において、横綱が格下の力士に負けた時に、観客が土俵に向かって自らの座布団を投げる行為のことである。以前は平幕力士が横綱に勝って金星となった時のみであったが、後に三役級(小結、関脇、大関)の力士が横綱を破った時であっても投げられる場合もある。例外として、横綱同士の時、また、横綱以外の力士でも、その力士の優勝が決まった時に投げられる場合、あるいは名勝負(三役級同士あるいは元三役対前頭との対戦も含まれる)と呼ばれる取組にも投げられる場合、物言いが付いている最中にも投げられることもある。明治時代には、ひいきの力士にご祝儀をあげる目的で、羽織や帽子などの個人を特定できるものを投げ、呼び出しまたは力士本人がそのひいきに、返却かたがたあいさつにいくことでご祝儀をもらうという習慣があった。当時これは「祝儀を投げる」の意味で「投げ花」と呼ばれたが、明治42年に大相撲常設館(初代両国国技館)が完成した際に正式に禁止されたため見られなくなった。現在の座布団投げは、それを引き継いだものという説もある。なお、投げ花に代わる形で導入されたものが、現在まで続く懸賞金である。現在では上記のような意味はなく、横綱に対する野次的な意味、勝った力士に対する祝福の意味、また、取り組みそのものに波乱が起きたという意味で座布団が舞うものと推測されている。特に金星が出た取組に多い。現在では千秋楽横綱同士の結びの一番ではどちらが勝っても賞賛が起こっていると推測されるため暗黙の了解として座布団が舞うことが多くなった。投げられた座布団が土俵上にそのまま残っているとその後の進行の妨げになるため、土俵上に落ちた座布団は呼出が直ちに土俵下へ払い落とす。本場所中において館内で座布団を投げる行為は「基本的には行ってはならない行為」である。投げられた座布団が他の客や土俵上の力士・行司、土俵付近にいる呼び出し・審判員の親方に当たって怪我につながる恐れがあるほか、館内上部の照明機材等に当たると大事故になる可能性もあるため、取り組みの間に随時流れる館内放送でも「座布団や物は投げないで下さい。座布団や物を投げて怪我をされた方がいらっしゃいますので絶対に投げないで下さい。」と他の館内における注意事項(地震発生時の行動や禁煙、館内飲食など)とともに説明している。しかし、伝統として受け継がれてきたためか全くと言っていいほど守られる様子はない。投げられた座布団が原因で怪我をした例としては、2012年5月場所初日に場内アナウンスをしていた行司の木村堅治郎(現・銀治郎)の後頭部に座布団がぶつかった衝撃で前歯がマイクに当たり口の中を切る怪我をしたものがある。2007年9月場所から、入場者に配付される取組表に、"「座布団や物を投げて人に怪我をさせた場合は、暴行罪・傷害罪に該当する場合があります。物は絶対に投げないようお願いいたします」"という注意書きが印刷されるようになった。ただ、実際多くの人が投げているため、誰が投げたかがわからず、罪を問うのは難しい。また、出羽海理事を中心に「飛ばせない座布団」の形状が検討され、2008年11月の九州場所から、マス席の座布団は、これまでの1人用の正方形4枚から2人用(縦1メートル25、横50センチ)の座布団2枚に変更し、さらに2枚をひもで結んでつなげた形に変わった。これにより、1人でも座布団に座っていれば座布団を投げられない仕組みになった。初日早々横綱白鵬が敗れる波乱が起こったが、一人でも座っていれば持ち上げられない上に座布団自体も相当な重さになり、全く座布団が飛ばない事態となって新型座布団の効果を立証した。ただし、この「新型座布団」は11月場所以外で当面使用される予定がない。同場所以降、観客の座布団投げを危険行為とみなして厳しく取り締まることになり、重さが2枚計4.8キロとなって投げられた場合の危険性が増したということで、同場所以降は、座布団投げが確認された場合は警察に通報するという非常に厳しい措置がとられた。よって、2010年九州場所2日目、前頭筆頭稀勢の里に、白鵬の連勝が63でストップされるという歴史に残る大波乱が起こった瞬間も一枚も座布団が舞わず、賛否両論も起こっている。しかし11月場所以外の「新型座布団」が採用されていない場所では依然として座布団が飛んでおり、国技館で行われた2011年1月場所の11日目に稀勢の里が再び白鵬を破った際は前場所とは対照的に大量の座布団が舞った。こうした現状のなか座布団の舞を形式美として尊重する相撲ファンも多く、投げられない仕組みの座布団よりも、当たっても怪我をしない仕組みの座布団を開発すべきだとの要望が多い。2013年11月場所において稀勢の里が白鵬を倒したときでは座布団の舞の代わりとして万歳が行われた。
出典:wikipedia
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