北海道教職員組合(ほっかいどうきょうしょくいんくみあい)は、北海道の公立小学校、公立中学校、高等学校、特別支援学校、幼稚園に勤務する教員および養護教員、事務職員、栄養教員・職員、実習教員、寄宿舎教員、介護職員等による労働組合・政治団体である。略称は「北教組(ほっきょうそ)」。日本教職員組合(日教組)に属している。北海道教育委員会(道教委)によると、公立の小中学校教諭を中心に約1万9,000人が加入し、組織率は34.2%(2009年10月現在)。道内の教職員組合の中では最大の組合員数を誇り、「管理職を除いた小中学校の教諭では7~8割が組合員」とされ、「非常に力が強い組織」と評されていたが、機会あるごとにバッシングにさらされ(後述の小林千代美に関連する選挙違反事件では逮捕者も出ている)、年々組織率は低下傾向にあり近年は30%台とされている。1990年、連合発足に伴い、共産党系支持者が中心となって、根室支部・釧路支部・宗谷支部・檜山支部が北教組からの離脱を決め、全教に加盟したことにより、共産党系支持者が一気に脱退している。2008年、道教委が、北教組・道高教組との間で取り交わしていた労使協定破棄を通告して以後、事実上、勤務条件以外の事項に関して交渉できない状態となっており、組合の要求実現能力が極端に低下している。「子どもを再び戦場に送らない」のスローガンのもと、教育現場の自律性と政治権力からの不当な干渉に対峙すると称する運動を行っているが、これらによって文部省(現在は文部科学省)や自民党、産経新聞などから極左的な政治活動を行う団体という指摘がなされている。道教委による各種調査の業務返上行為や道教委が展開する事業の一部への反対意思表明(後述調査拒否、違法ストライキ、自動体外式除細動器導入反対など)は、職務怠慢との指摘があるが、教職員の多忙化を防ぐため、教育現場の自律性を守るため、児童・生徒の健康を守るための活動であるとしている。北教組に限らず、組合員は組合活動ばかりやって、やるべき仕事をやっていないとの見方があるが、楽をするための組合ではなく、教育の専門職として仕事に専念できるよう子供とかかわる時間の確保を求めているとしている。また、組合員となっている教職員の多くは互助組織としての利便性を享受する目的で加入している面がある。かつて、北教組中央委員会は社会党の支持母体であったが、現在は民主党を主な支持政党としている。大衆組合ゆえ、組合員の中には、共産党支持者や革マル支持者、創価学会支持者も存在する。1975年の学校教育法施行規則改正により導入された主任制は、「教員に対する管理体制の強化であり、手当を支給し管理職意識を植え付ける事により、組合組織の弱体化を図るものである」と主張。1981年2月24日には、それまで支給された組合員の主任手当およそ1億1千万円を道教委に返還するものの、道教委はそれを拒否。互いに押し付けあうという騒動が起こっている。1989年、道教委と北教組によって主任制解決案の合意を見たが、その直後に当時の西岡文部大臣が、合意案の撤回を道教委に求め、結局北海道方式の主任制は実現に至らなかった。それ以降も北教組は組合員の主任手当相当額を毎月徴収し、道教委に返還する運動を2007年まで続けていたが何れも拒否されている。北教組側は「道教委に返還拒否された金は金融機関に預けている」と説明している。2013年、北教組中央委員会は、主任手当の活用に関して高校進学時に給付する「返還義務なし」奨学金制度をスタートさせた。これは「主任手当」を原資として、経済的に厳しい世帯の子どもたちの進学をサポートすることを目的としている。2014年入学者向けの募集人数は250人で、北海道内の高校に進学を希望する道内の中学校に在籍している中学3年生を対象とした。3月下旬より各対象者家庭に10万円を支給したとされる。希望者が募集人員を超えたため、希望したものの、支給がかなわなった家庭が生じた。主任の命課は、市町村の学校管理規則(校内組織)に基づき、通常入学式の前日までに行われる。校長の命課の後、組合員より命課返上の申し出があるが、実質的に各主任は位置づけられ、校長により主任が機能されている。主任制反対から派生したかつての国旗国歌強制反対の取り組みも形骸化しており、卒・入学式にかかわる提案は、教務(主任)や管理職からなされ、ほとんどの学校で「式次第」に「国歌斉唱」が含まれている。滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件をきっかけとして、北海道教育委員会が2006年12月、いじめの実態調査を実施したが、北教組の執行部が21ヶ所の支部に対して、調査の項目について問題があるとして調査に協力しないよう指導していたことが、2007年1月に報道された。その後も、いじめ実態調査への協力拒否を強く打ち出しているが、反対表明とはうらはらに、道教委によって完全実施されている。北教組中央委員会は、この手の調査の多くがそうであるように道教委はアリバイ的(道議会対策として)にいじめ調査を実施している面があり、実態がどうあれ、いじめの申告件数を減らすことを現場に求めるだけに過ぎないとしている。AED(自動体外式除細動器)の学校への配置について2007年定期大会で「一方的な導入に反対する」との方針を表明した。反対理由については以下の3例を挙げ、講習の強要などの問題が生じていることを理由に「一方的導入」に反対し、「いのちへの意識」を表明した。虫歯予防のために進めるフッ素洗口についても、日弁連や日本消費者連盟とともにユニセフの見解等をふまえ、集団フッ素洗口に反対している。集団フッ素洗口実施の県では、虫歯の保有率が低いとの調査があるが、フッ素洗口そのものの効果ではなく、虫歯予防活動の啓蒙が強いことの影響が考えられるとしている。2008年11月28日に機関紙「北教」で、「竹島問題は韓国の主張が正しく、島根県などが竹島の領有権を求める行為は、日本の侵略・植民地支配を正当化する不当極まりないものである」と厳しく非難、2009年12月28日には朝鮮日報の取材に対し、昨年「韓国側の主張が正当だ」という学習資料を配付した北教組の信岡聡書記次長が「(独島が)明確に日本のものだと主張できるだけの根拠は発見できなかった。生徒の正しい判断を助けるため、われわれが判断したことを学習資料に盛り込んだ」「日本の竹島領有権主張は、(日露)戦争中に用途が生まれ、主張し始めたものだ。明確に日本の領土だと主張できるだけの(歴史的)根拠を探し出すことはできなかった」「日本の教育には、“近隣諸国条項”というものがある。教科書を叙述する際、教室で生徒たちに教える際、近隣の国に配慮しなければならない、という原則だ。まだ解決していない問題を教科書に載せることは、この原則から外れている」と語った。(韓国に領有権があるとは主張していない)これら主張に対し、拓殖大学教授の下條正男は「竹島が韓国の領土で日本の領土でないという歴史的見解を示せ」という趣旨の公開質問状を示した。また、維新政党・新風とも連携し、北教組の竹島問題に関する見解など4項目からなる公開質問状を送付した。2010年3月4日、産経新聞の報道により北教組日高支部において国旗・国歌の一方的な入学式や卒業式への実施に反対する立場から「『日の丸君が代』強制に反対するとりくみについて」という取り組みマニュアルを配布していたことが発覚。同問題が国会で取り上げられ川端達夫文部科学大臣は「学習指導要領から国旗国歌を大事にと指導しており、北海道教育委員会と連携して指導する」と述べた。また、産経新聞は、北教組日高支部が国会で批判した議員を呼び捨てにして批判する文書を配布したとし、これを受けて自民党馳浩議員は国会でこの文書について「こういうのを蛙の面に小便というんです」と批判するなどして、北教組叩きに力を注いだ。特に1970年代から1980年代にかけて度々ストライキを実施しており、道教委から処分を受けている。処分を受けた一部組合員らは、「労働争議を禁じた地方公務員法は労働者の団体交渉権などを保障した憲法に違反している」として、処分の取り消しを求め提訴したものの、2006年7月8日、最高裁は「地方公務員の争議行為を禁じた地方公務員法の規定は違憲ではない」として訴えを退けている。その後、2008年には「政府が公務員にストライキ権を含む労働基本権を与えないのは条約違反だ」として、国際労働機関に提訴している。(ILOからは是正勧告が出されている)2009年の第45回衆議院議員総選挙において、民主党の小林千代美(北海道第5区選出)の選挙運動の中核となり、当選に大きく貢献した。2010年2月15日、本組合が「選挙対策費用」として小林陣営に1600万円を渡したことに関して、札幌地検が「政治資金規正法第21条違反の疑いがある」として、本組合本部や、選挙対策委員長を務めた本組合委員長代理の自宅マンションなどへのを家宅捜索をおこない、3月1日には本組合の委員長代理、書記長、会計委員と財政局長の4名を逮捕した。また、両罰規定により、団体としての本組合も起訴された。しかしながら、献金した手続きが順当であれば、労働組合が政党や政党支部、政治資金管理団体に献金することは違法行為ではない。1600万円とされた金額自体も選挙資金としてみればごく少額である。微罪と受け取れる側面もあったが、札幌地検は50名もの係官を派遣し、適宜検察のリークもあって、マスコミはこの事件に飛びついた。一連の検察の動きに対し、民主党潰しとの見方もある。これに対し本組合は「不当な組織弾圧」と表明し、事件には言及せず「外部からの問い合わせには一切答えないように」と道内支部に対しかん口令を敷いた。この事件に対して、北海道教育委員会は、教職員に加え保護者、住民に対して、北教組が教育公務員特例法に抵触する政治活動や学習指導要領に反する行為をしていないか、就業時間内に組合活動をしていないかなど多岐について情報提供を求める(公務員特例法に抵触しない政治活動について聞く項目もあった。北海道教育委員会・教職員の服務規程に関する調査報告参照)が、北教組は「政治的行為の自由を過度に規制するもので人権侵害。指導要領の徹底は教職員の思想・良心の自由、ひいては子どもの教育を受ける権利を侵害する」と反発し、道内の教職員計約6300人が北海道の4弁護士会に人権救済を申し立てた。1980年代においては起立時における「気をつけ」「休め」の号令を「石」「綿」という号令をしていたことがあった。その後保護者らによる教育委員会への是正措置を経て現在では「気をつけ」「休め」の号令が行われている。「教え子を再び戦場へ送らない」という原則と、日本国憲法第9条から、かつては自衛隊と軍隊はどう違うのか?と言う事を子供たちに考えさせている組合員もいた。自社さ連立政権時の村山元首相の自衛隊合憲表明を契機として、自衛隊の存在そのものを否定する見方はほとんど消失し、基地周辺の学校に勤務する組合員の多くは、様々な配慮をしながら教育活動を行っているとされている。
出典:wikipedia
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