遷移(せんい)とは、「うつりかわり」のこと。類義語として「変遷」「推移」などがある。自然科学の分野では transition の訳語であり、一般に、何らかの事象(物)が、ある状態から別の状態へ変化すること。さまざまな分野で使われており、場合によって意味が異なることもある。以下に解説する。物理学や化学では、物質がエネルギーを吸収(あるいは放出)し、状態が変化することを遷移、transitionと言う。なお、ある相から別の相へ変わる相転移 (phase transition) のことを「相遷移」とは言わない。量子論ではニールス・ボーアが遷移の概念を最初に導入した。ボーアの原子模型では、原子が光を放出・吸収したりするのは、原子がある定常状態からエネルギーの違う他の定常状態に突然飛び移る時だけである。この飛び移りを遷移という。量子力学では系の定常状態はハミルトニアンの固有状態であり、系の外部からの摂動が無ければ系は定常状態にとどまっている。外部からの摂動が加わると、系は新たなハミルトニアンの固有状態になっていないときは時間変化し、他の定常状態に遷移する。始状態formula_1に摂動が加わってからt秒後の状態をformula_2とすると、状態formula_1から別の定常状態formula_4への遷移確率はformula_5で定義される。時間依存を考慮した散乱理論によると、摂動formula_6が与えられて十分に時間が経過したときの単位時間あたりの遷移確率formula_7は以下のように表される。ここでformula_9はデルタ関数でエネルギー保存を表す。formula_10は摂動formula_6に対応したT行列である。一般的には摂動が小さいとして、摂動論によって求められた遷移確率を用いることが多い。この場合、T行列要素は次のように摂動展開される。摂動の一次の範囲まで(一次のボルン近似)では、遷移確率は次のように与えられる(フェルミの黄金律)。一次の摂動が選択律などで禁止されている場合や光散乱などを扱う場合には、より高次の摂動を計算しなければならない。二次の摂動まで含めた場合は、formula_16の遷移は仮想的な中間状態formula_17を経由する。この中間状態ではエネルギーが保存されなくてよいが、formula_18の状態が主要になる。この二次の摂動まで含めた場合の遷移確率は次のように与えられる。これらの遷移は、ヤブロンスキー図などを用いて表現される。流体力学では、層流から乱流に流れの状態が変化することを層流から乱流に"遷移"するという。群集生態学では、ある基質上の生物群集が時間的経過にそって、一定の不可逆な種組成の変化をしめす場合にこの言葉を使う。特に、植物群集を中心にした遷移は、生態系の発達にも関わって重要である。オートマトン理論として知られている情報工学の一分野では、遷移とはシステムの状態が変化することを意味する。有限オートマトンは矢印付きの弧でその遷移を表す一方、ペトリネットは特別なノードの要素として表す。状態遷移表、状態遷移図も参照されたい。
出典:wikipedia
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