インクルージョン教育(インクルージョンきょういく、英語:Inclusive Education)とは、初等教育や中等教育段階において、障害を持った子供が大半の時間を通常学級で教育する実践。インクルーシブ教育とも。ジーニアス英和大辞典では、「統合教育」と訳されているが、「インテグレーション」の翻訳語である統合教育と区別するために、「包括」と訳される。障害者権利条約第24条においては教育を受ける権利として『インクルージョン教育体制』の実施を初等、中等教育のみならず成人教育、生涯学習の段階においても締結国に求めている。フランク・ボウは、統合と「完全な包括」の違いを強調した。インクルージョン教育においては、少数派である障害を持った子供は、同世代の障害を持たない仲間たちと隣同士で学習する。アメリカ合衆国では、教育者が一般的な統合教育を実践するならば、アメリカ全障害児教育法の下で特別教育を受ける権利を認められる子供は、1週間のうち2/3以上を通常学級で学習することができる。彼(女)らは、実際にずっと通常学級にいなければならないというわけではなく、作業療法、理学療法、言語療法などの応対を受けるために「取り出し」の対象になることもある。対照的に、完全な包括の下では、個別障害者教育法の対象となる子供たちは、文字通り1日中、通常学級に在籍することになる。必要な応対は「入り込み」を通じて行われる。つまり、専門家が教室にやってきてそこで支援を行うのである。ボウは、完全な包括ではなく、統合教育が障害を持ったほとんどの子供たちにとって妥当な取り組みであると考えている。またボウは、知られたところでは自閉症、知能障害、難聴の子供、複合障害児など、子供たちの中には、統合教育でさえ、適切な教育を提供できないかもしれない者がいることも認識している。しかし、スタインバック夫妻によれば、通常学級に在籍することは人権である。彼(女)らは、高等学校まで学校は障害を持ったすべての子供たちに完全な包括を提供できるように再構築するべきであると考えている。アメリカ連邦政府の教育省によれば、個別障害者教育法の実施に関する最新の調査では、該当する子供の約半数がほとんどの時間を通常学級で過ごしている。但し、障害種別に見ると、その割合は非常にばらつきがあることが分かる。言語障害を持った子供の90%以上が包括的な教室に在籍している。しかしその一方で、通常学級に通う自閉症の子供たちは、わずか29%に留まっている。これらのばらつきは、個別障害者教育法の要求に応じたものであろう。つまり、教育的対応は、子供がどこに在籍するべきかではなく、それぞれの子供に固有な必要性によってなされるべきであるという考え方である。障害児と同じ教室になったことがあり、担任教諭などの圧力によりいわゆる「お世話係」にさせられるなどされた者が、「迷惑を被った」などとして将来大人になった時に障害者排除の思想を持つ場合がある。このケースでは、かえって障害児本人の心理的負担が増大する。このように、インクルージョン教育が一概によいとは言えない。一方で、政府にとっては大きなメリットがあると言われる。障害者施設の費用は、通常学級の3倍掛かるとされているため、インクルージョン教育を進めることにより、障害者団体を味方につけることができると同時に障害児に掛かる国費をも節約することができるからだ。しかし、何の専門性もない教員にとってこれは難題である。教育実習で2週間程障害者施設に行くが、それ以外で障害者のことは教わらない。また、障害児は幼少期に必要なことを教わらなければならないが、通常学級でこれを習得することは困難であり障害者の社会進出に多大な影響がでることが予想される。こうした障害児の被りうるデメリットを避けるため、障害者権利条約第24条第2項(c)においては、「個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。」が明記されているのである。包括的な教育とは、すべての子どもたちに開かれた教室、学習施設、教育制度を意味する。包括的な教育の下では、すべての子どもたちが学習し、参加することが保障されている。これを実現させるためには、それぞれの子どもたちが持つ多様なニーズを考慮し、すべての子どもたちが学校生活のすべての部分に関わることができるよう、教師、学校、制度が変わらなければならない。また、包括的な教育では、学習や参加の妨げとなる学校の中や周りに存在するあらゆる障壁に気づき、その障壁を極力取り除くようにしていく。包括的な教育とは、現状では排除されている集団も含めて、すべての子どもたちが主流の学校制度の中に有効に参加し、そこで効果的に学習できるようになることを目指す行程である。排除された子どもたちを通常学級に在籍させるだけで、これらを達成しているとは言えない。包括的な教育は、いくつかの原理や実践を基礎とせねばならない。
出典:wikipedia
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