アワ(粟、学名、"Setaria italica")は、イネ科エノコログサ属の多年草。雑穀類。五穀の一つに数えられる。東アジア原産で、高さは1 - 2メートル。エノコログサを原種とするといわれ、エノコログサとの交雑もよくおこる。穂は黄色に熟し、たれさがる。温暖で乾燥した風土を好み、生育期間が3 - 5ヶ月と短いために、高地や高緯度地域でも栽培することができる。C4植物でもある。粒の質から粳アワ(うるちアワ)と糯アワ(もちアワ)、収穫の時期から夏アワ、秋アワなどの品種に分けられる。中国の華北・中原において、黄河文明以来の主食は専らアワ(粟米、谷子)であり、「米」という漢字も本来はアワを示す文字であったといわれている。また、隋唐で採用された税制である租庸調においても、穀物を納付する「租」はアワで納付されるのが原則(本色)であった。これに対して、華南では稲米は周の時代から栽培が盛んになった。青海省民和回族トゥ族自治県の喇家遺跡では、およそ4000年前のアワで作った麺が見つかっており、現在、世界最古の麺といわれている。だが、連作や二毛作を行うと、地力を損ないやすいことや、西域から小麦が伝わってきたこととも相まって、次第に主食の地位から転落することになった。しかし、現在でも中国ではアワ粥などにして、アワを食べる機会は多い。また、「鉄絲麺」という、最古の麺と同じような麺類を作る地方もある。日本では米より早く栽培が始まり、縄文時代の遺跡からも発掘されることがある。また、新嘗祭の供物としても米とともにアワが用いられ、養老律令にも義倉にアワを備蓄するように定められており、『清良記』などの農書にもアワについての解説が詳細に載せられているなど、古くから、ヒエとともに、庶民にとっての重要な食料作物だった。だが、第二次世界大戦後には生産量が激減した。日本でもかつてはアワだけを炊いたり、粥(アワ粥)にして食べていたが、現在は、米に混ぜて炊いたり、アワおこしとしたりするほか、クチナシで黄色に染めて酢じめしたコハダなどの青魚とあわせたアワ漬を正月料理として食べる程度である。また、主食用であったうるちアワよりも、菓子や餅(アワ団子や粟餅など)、酒などの原料として用いられてきたもちアワの方が多く栽培されている。家畜、家禽、ペットの飼料としての用途の方が多い。小麦など他の穀類と混ぜて利用されることもある。パンには、強力粉7に対してアワ粉3の割合で混ぜるとよく膨らみ、色が美しい。麺類では薄力粉と半々、天ぷらの衣に加えるのもよい。飯には、白米に混ぜると美味ではないから、アワ1合、大麦2~3合、サツマイモ100匁、生のジャガイモ30匁を炊いて、別にジャガイモを下ろしておいて沸騰したところに加えるとよい。アワ粉を白玉粉のように丸めて熱湯で茹でて、野菜を取り合わせて酢味噌などにもする。糖質70%、蛋白質10%を含み、ビタミンB群を含む。鉄、その他のミネラルや食物繊維も豊富なため、五穀米などにして食べる方法が見直されている。小さいものの喩え・表現として、「粟」の字を用いる場合がみられる。『平家物語』(高野本)では、日本自体を「さすが我朝は粟散(ぞくさん)辺地の境」と記し、『太平記』でも、「いわんや粟散国の主として、この大内を造られたる事」とし、自国が中国やインドなどの大国と比べて、アワ粒を散らしたような小国である(中華思想とは逆の辺境国)と自覚して記述している例がある。
出典:wikipedia
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