日豪関係(にちごうかんけい、)では、日本とオーストラリアの二国間関係について述べる。オーストラリア人にとって日本のイメージは、近年の経済進出の脅威とともに。しかし、日本の経済進出という脅威は1990年代に入り日本が不景気に入ったことで少なくなっていった。同時に、オーストラリア政府と財界のトップは、日本が輸出市場に不可欠であり、オーストラリアの将来の成長とアジア太平洋地域の繁栄に必要な存在であると見ている。オーストラリアと日本は、1976年に日豪友好協力基本条約を締結した。友好協力基本条約締結30周年を迎えた2006年3月に出された共同声明において、オーストラリアのアレクサンダー外相と日本の麻生太郎外相は、互いの関係を「同じ民主主義の価値観、互いの尊重、深い友好、そして同じ戦略的見解」にもとづく「これまでより強い」「協力関係」にあると宣言した。オーストラリアと日本は、アジア太平洋経済協力(APEC)、ASEAN地域フォーラム(ARF)そして東アジアサミット(EAS)を含む、様々な地域のフォーラムを強化するため、共に働きかけていくことに同意した。だが、捕鯨問題においては長年対立しており、捕鯨反対派のオーストラリアは調査捕鯨を行っている日本に対し、懸念の意を表明している。かつてオーストラリアは1919年のパリ講和会議で日本政府が提出した人種的差別撤廃提案を廃案にすることに成功し、日本の国際協調外交を転換させる契機を作ったことがあった。1960年代〜70年代、オーストラリアの貿易は、それまでのイギリス連邦中心からアジアが中心の貿易に変わっていき、その中でも日本は特に主要な取引相手となった。オーストラリアにとって日本は現在最も大きな輸出市場であり、また日本にとってもオーストラリアは、アメリカ、中国に続く輸出国第3位にあげられる。オーストラリアは日本に対して貿易黒字となっている。日本にとってオーストラリアは食糧と原料資源の大きな調達国でもある。1990年、日本の輸入量の5.3%がオーストラリアからのものであった。オーストラリアは、日本にとって石炭、鉄鉱石、羊毛、砂糖の最も重要な供給源である。また、オーストラリアはウランの供給源の一つでもある。これらの供給資本の幾分かは欧米資本や日本からの直接投資によるインフラ整備により形成されている。日本が農業に対する保護政策を行っていることから、オーストラリアは牛肉、バター、リンゴを含む農産物を日本に輸出する際には高い関税や「標準規格」品目規制などの障壁に直面しており、オーストラリアは日本との自由貿易協定(FTA)を含む日豪経済連携協定(EPA)を包括締結することを望んでいる。日本とオーストラリアは、双方ともアメリカと極めて緊密な軍事関係を構築しており、その関係から防衛首脳の会談も他国と比べて頻繁に行われている。自衛隊がイラクに派遣されたときには、サマーワでオーストラリア軍と共に復興活動に従事した。2007年2月15日には、外務・防衛当局の審議官級協議が行われ、自衛隊とオーストラリア軍の共同演習などを今後行うという方針を確認した。2007年3月には、ジョン・ハワードオーストラリア首相が来日し、安倍晋三首相と「安全保障協力に関する日豪共同宣言(日豪安保共同宣言)」に署名、PKOの共同訓練、核・ミサイルなど大量破壊兵器遮断とテロ対策、国境を越えた犯罪予防協力など9項目での協力が成立した。両国の外交・防衛閣僚による定期協議(2プラス2)の実施も盛り込まれ、これにより日本にとってオーストラリアはアメリカを除いて初めての安保分野の協力国となった。2014年4月には武器輸出三原則の改訂を受け、防衛装備品の共同開発の協議が進んでいる。潜水艦の共同開発などが考えられている。2014年4月7日には、トニー・アボット首相が、外国の首脳としては初めて日本の国家安全保障会議に出席、日豪の安全保障面の結びつきの強さをアピールした。2014年6月には日本とオーストラリアは、潜水艦の研究や防衛装備品の輸出、共同研究について実質に合意した。日本が同様の協定を結ぶのは、アメリカ、イギリスに続いてオーストラリアが3カ国目である。オーストラリアは、日本の集団的自衛権の行使容認の方針を支持している国の一つである。日本の集団的自衛権の行使は、日豪の協力関係の強化に繋がるとしている。かつてオーストラリアは日本人に人気のある観光地の一つであったが、近年ではその旅行者数は激減している。旅行先の多様化や一過性ブームの終焉、反日国であることが要因と見られるが、豪製品の質の低さやお土産のユニークさに欠けることなども原因とされている。オーストラリアへの旅行者は、日本だけでなく世界的に減少しており、2008年度のオーストラリアへの外国人旅行者は過去20年で最少になる見通しである。この中で、日本人旅行者は2007年度から約30%減という大幅な減少となっている。一方、オーストラリアでは日本はスキーリゾートなどの旅行先として人気がある。オーストラリアにとって、日本は季節が反対である北半球の国の中で最も近く、時差もほとんどない。このようにオーストラリアが夏の時に、気軽にスキーを楽しめることもあり、雪質が良い代表的なスキーの名所である北海道や長野県などに人気が集まっている。一方で、一部にはマナーをわきまえない旅行者も多く、オーストラリア人によると思しき落書きが見つかった事例がある。日本とオーストラリアは、捕鯨に関する対立がある。日本は捕鯨文化も持つ国として、ノルウェーやアイスランドと共に国際捕鯨委員会(IWC)で商業捕鯨の再開を目指すなど捕鯨賛成派の主導的役割を担っている。一方、オーストラリアはニュージーランド等と共に反捕鯨の急先鋒とも言える存在であり、2008年10月には世界自然保護会議において、ピーター・ギャレット環境相により、捕鯨国に対して動議で採択された案よりも厳しくするように訴えた事もある。2007から2008年にかけての反捕鯨政策は、日本が調査捕鯨において年間50頭のザトウクジラを捕獲しようとした件で、南極のザトウクジラはオーストラリア近海に回遊し、そのホエール・ウォッチングで年間で約150万人の観光客を集め、2億2500万ドル(約265億円)の経済効果を上げている為であり、これは国益の絡んだ経済問題としての様相を呈している。2010年5月31日、オーストラリアは日本による第二期南極海鯨類捕獲調査の国際法上の違法性を主張し、日本を国際司法裁判所に提訴した。2012年1月現在裁判は継続中である。詳細は南極海における捕鯨事件を参照。もっとも、反捕鯨政策を推進していたケビン・ラッド首相が支持率低下のため2010年6月に失脚し、後任のジュリア・ギラード首相が2011年にシーシェパードの妨害活動を度々非難しており(後述)、ラッド政権時の様に過剰に反捕鯨政策に重点を置いてはいない。近年、オーストラリアの白人の間では日本の調査捕鯨に反対する世論が高まり、環境問題に関して過激な思想を持つ団体の支持を公然と行う者が現れたり、本来オーストラリアの主権が及ばない海域で日本船に対して、日本やノルウェーなどの捕鯨船に対する発砲や爆破、当て逃げ行為といったシーシェパードの一連の破壊活動をオーストラリア政府が黙認している状況である。特にラッド政権になってからは、「日本の調査捕鯨を国際法廷に訴える」と言った公約を掲げ、エコテロリストであるシーシェパードの活動を半ば支援・黙認する方向性を取った事と、安全保障協力に関する日豪共同宣言の先送り等の日豪関係の急速な悪化が懸念されており、日本が主要貿易国(輸出に関しては1位)であるだけに、野党及びオーストラリア国内の各誌からラッド政権への非難が起こった。反捕鯨政策で支持率を得ていた為、更に力を入れたものの、環境政策などから支持率が急落し、2010年6月にラッド首相は辞任し、ギラード政権になった。そして、2011年1月にギラード首相は日本の捕鯨船への妨害行為を行う、シーシェパードに対して警告を発した。オーストラリアの第28代目のトニー・アボット首相は、日本との関係を「アジアにおける最良の友」「世界史の中で最もお互いに恩恵を受けてきた二国間関係の1つ」と評価している。
出典:wikipedia
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