『総統の顔』(そうとうのかお、原題:"Der Fuehrer's Face")は、ウォルト・ディズニー・プロダクション(現:ウォルト・ディズニー・カンパニー)が制作したアニメーション短編映画作品。公開は1943年1月1日。1942年度アカデミー短編アニメ賞受賞作品である。第二次世界大戦中にドナルドダック・シリーズ第43作として製作された短編映画で、当時の独裁国家をアニメで風刺したプロパガンダの要素が強い作品となっている。その舞台となる町は作品中では『ナチランド』として描かれ、ヒトラーの独裁政権下に置かれていた当時のドイツ国をイメージしている。元々は『Donald Duck in Nutzi Land』というタイトルだったが、1942年に先行して発売された主題歌のレコードがヒットした為に改題された。この主題歌の歌詞や劇中のセリフの一部は、ドイツを揶揄する為に敢えてドイツ語風に崩して書かれている。レコードは複数発売されているが、中でもスパイク・ジョーンズによるものが最も知られる。オープニングは、ヒトラーがこよなく愛したワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』が流れて物語は始まる。ドイツの小さな街で、朝から軍人ら ― スーザフォンの東條英機、ピッコロのヘルマン・ゲーリング、トロンボーンのヨーゼフ・ゲッベルス、バスドラムのベニート・ムッソリーニ、スネアドラムのハインリヒ・ヒムラーの枢軸国の要人からなる楽器隊が行進をしながら演奏し軍歌を歌っていた。街は雲や木、電柱、標識、柵などありとあらゆるものがハーケンクロイツを模したもので、そこからほど近い、簡素な家に暮らす主人公のドナルドは曲につられる形で寝ながらナチス式敬礼をとる。家のすぐそばを軍人が通ると、ドナルドはうるさく感じてロールスクリーンを下げたが、銃剣で破られベッドから起こされる。ドナルドは起床早々朝からアドルフ・ヒトラー、昭和天皇、ベニート・ムッソリーニの絵に敬礼させられ、二度寝したくても水をかけられそれは叶わない。パジャマから軍服に着替え、朝食には金庫に隠し持っていたコーヒーに、「ベーコンエッグの香り」という物質のニオイをかいでオカズにし、配給で提供されたのこぎりで切らなければならないほど木のごとく固い食パンを前歯でかじって食べていた。そこに軍人から『我が闘争』の本を見せつけられ、さらには家に軍隊が押し寄せ、ドナルドはお尻を蹴られながら兵器工場へ向かう。連行先の工場では、1日48時間のシフト制で砲弾をライン生産するものであった。ドナルドは砲弾の組み立てにかかるが、途中大量のアドルフ・ヒトラーの肖像も砲弾と一緒に生産ラインに流れてきたためその一つ一つに律儀に敬礼し、指先程度の小さな弾から体を超える大きな弾まで組み立てていく。途中愚痴をこぼすと四方から銃剣を突き付けられ、ドナルドは怯えながら許しを乞う。さらに総統の栄誉を称えるプロパガンダの放送を聞かされながら作業を続けていく。しばらくして歓喜力行団の名目で休憩となり、アルプスの山が描かれた絵をみるものの、総統のためにもっと働けと言われて休憩はそそくさに終わる。その後、放送で演説を聴かされ続け、大量の砲弾がラインに流れてきて混迷のあまりドナルドはもう立てないと叫び、体が震えて倒れる。頭がおかしくなったドナルドは、空想の世界に飛び込んでしまい、様々な砲弾が行き交う世界に迷い込む。しかしそれは夢で、星条旗のパジャマを着て眠るドナルドがいた。目覚めると窓際から伸びていた物影を敬礼するヒトラーと勘違いし、一瞬挨拶をしようとするものの、振り向くと輝く自由の女神像のミニチュアが立っていた。喜びのあまりそれに熱烈なキスをし、像を抱きしめながらアメリカ国民であることを心の底から喜ぶドナルドであった。エンディングは軍歌とともにヒトラーの顔の戯画があらわれ、そこにトマトが投げつけられて、"THE END"の文字へと変わり物語は終わる。現地アメリカ合衆国では公開から半世紀以上他の媒体で公開や販売をすることはなかったが、2004年に初めて"Walt Disney Treasures: On the Front Lines"のDVDボックスに本作が収録され、翌2005年にもドナルドの短篇映画集 "Walt Disney Treasures: The Chronological Donald, Volume Two"にも収録された。なお、日本では映画の公開およびDVD・VHS等の販売はなされていない。
出典:wikipedia
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