寒風山(かんぷうざん)とは、秋田県男鹿市にある成層火山。標高355m。山頂部は滑落で2つに分かれていて、安山岩の採石が行われている。男鹿三山の一つとして数えられる場合もある。寒風山は古くは、妻恋山(つまこいやま)あるいは羽吹風山とも呼ばれていた。菅江真澄は『男鹿の秋風』で、これは男鹿という地名から牡鹿の「妻恋」から名付けたのではないかとしている。山頂には八尺ほどの九輪の石塔があり、1804年に菅江真澄によって絵が描かれたが、1810年の男鹿大地震によって崩壊している。この塔は加賀の船頭がこの近海で暴風雨にあい、富山の神霊に祈り助かったことから建てられたとされている。この塔が建っていたため寒風山は塔の峰とも呼ばれ、山頂付近は薬師山、薬師長根とも呼ばれる。山頂付近には、五ヶ条の御誓文を石に刻んだ誓いの御柱がある。また、付近には地震塚がありここには5つの石碑がある。1810年の男鹿大地震で死亡した人や、天保の大飢饉で死亡した人を祀ったものである。また、1939年の地震被害者も供養している。山頂北西には大噴火口があり南西には小噴火口がある。大噴火口内の南西部には鬼の隠里(石倉)と呼ばれる巨石が積み重なった所がある。岩屋の中に男鹿の鬼が住んでいたとの伝説が残っているが、これは溶岩ドームが崩落したものと考えられている。山頂北側より「溶岩じわ」と呼ばれる溶岩流の表面にできた地形がみられ大噴火口全体に見渡せる。これを「板場の台」という。小噴火口を取り巻く峰は蛇越(じゃこし)長根と言われる。小噴火口内部には昔、古玉の池という池があり、そこに身を投げたお玉という村娘が大蛇に変身し、古玉の池が干上がったため、尾根を越えて西にある新珠池(玉の池)まで移動したという伝説からその名がある。登山道には大蛇が通った跡だとされる大小の石や岩がある。蛇越長根の山頂は姫ヶ岳(337m)と言われ、石川理紀之助の歌碑が立っている。寒風山山頂と姫ヶ岳はもともと一体であったが、大きな地滑りによって現在の位置に移動したと考えられている。蛇越長根の西南の谷を「龍の馬谷」と言い、秋田実季が脇本城の安東修季を攻める際に、本道を避けて八郎潟の浅瀬を渡りこの谷まで忍んで行軍し、安東修季を破ったとする伝説がある。3万年以降に活動開始した。大部分の溶岩は2万年以降に噴出したようである。寒風山の活動の中心には、かつて淡水の湖があり、そこに噴出した寒風山の初期の溶岩流は湖水に流入し、湖成層と複雑に互層している。偽ピロー・水中火砕流・スパイラクルなどが見られる。溶岩は安山岩が主体で、少量の玄武岩を伴い、普通輝石(オージャイト)・紫蘇輝石(ハイパーシン)・磁鉄鉱・かんらん石・普通角閃石(ホルンブレンド)などの有色鉱物斑晶が見られる。2,700年前には火砕流が発生したが、地震活動や噴気活動などマグマの動きや噴火の兆候がまったくないため、気象庁の指定する活火山には含まれていない。なお寒風山の近く、男鹿半島の先端には目潟火山がある。寒風山は1810年に噴火した、という江戸幕府に提出された文書が残っている。しかし、この文書には被害や噴火の詳細がまったく書かれておらず、噴火の堆積物も見つからないため、農作物の被害を水増し申告するための布石として、江戸の久保田藩邸において創作し、江戸幕府に提出したものと考えられている。ただ、1810年には大地震が寒風山付近で発生している。この年、5月頃から鳴動があり、8月始めからは八郎潟の水の色が変化し、ボラが多く死亡した。7月中旬頃からは地震が頻発し、8月25~26日頃には日に70回程度の地震が起きていた。9月25日にはM6.5と想定される大地震が発生した。寒風山を中心に被害が発生し、山崩れが多く地割れより泥が噴出した。被害は死亡者が57名(163名とも)、負傷者116名、全壊1003棟、半壊400棟、大破387棟、焼失5棟(『北家御日記』)であった。男鹿市北浦の温泉湧出が止まり、八郎潟の西岸の松木沢と払戸間が約1m隆起した。現能代市の浜浅口と黒岡両村で全壊6棟であった。寒風山の山頂付近の地震塚には「変死亡霊供養塔」が建てられた。菅江真澄はこの地震を滝川村で経験し、大地震前後の詳細な状況を『牡鹿の寒かぜ』に記録し、大地震直後の寒風山東麓を巡っている。芝生に覆われた山肌と、近隣に障害物がないことから、パラグライダーが盛んに行われている。また山頂には展望台や八郎湖の資料館が設置され秋田県道55号入道崎寒風山線が通るなど、男鹿市を代表する観光地に位置づけられている。男鹿半島を見渡せる立地の良さから、警察庁などの業務無線局が設置されている。秋田県内には男鹿市のほかに大仙市にも寒風山(標高357m)が存在する。『男鹿名勝誌』狩野徳蔵、秋田活版社、明治17年
出典:wikipedia
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