『華燭の淫』(かしょくのいん)は、官能小説作家・千草忠夫が著した全9章構成の中篇SM小説である。本作は、雑誌「小説SMファン」(三和出版)の1983年5月号に一挙掲載された。主たる筋立ては、相当の美貌と教養を誇る女子大生のヒロインが、婚約後にはじめて重症のサディストという正体を表した恋人の青年によって、結婚当日の初夜までむごく淫らに調教され続ける「慟哭の日々」の過程と情景を語るもの。挿絵画家は津山恵三。この作品は、千草忠夫がかつて1974年2月号の「SMファン」(司書房)に発表した中篇『被虐の契り』の題名および作中の登場人物名を新規のものに差し替えた作品『狂おしき華燭』(同じ司書房の「SMフロンティア」1977年1月号に掲載)をベースとし、さらにそこからもう一度あらためて、題名および登場人物名を本作のものに差し替え。くわえてくだんの『狂おしき華燭』からさらに叙述の一部を改訂、同時に数行分を短縮した中篇である。改訂以前のそれぞれの原型の情報については被虐の契り、狂おしき華燭を参照のこと。周囲の男性たちから憧れの目で見られる美貌の女子大生・及川景子は、半年間の交際を経て恋人の船越春也と婚約する。今もまだ学生の景子だが、来たる五月には挙式の予定だった。優しい性格で幾度となくデートを繰り返してなおキスしか求めてこない紳士的な春也に対し、景子は若い健康な女性として多少の不満もあった。だが春也は、婚約後の初デートの夜、汚い三畳間の連れ込み宿で強姦さながらに景子の処女を奪う。驚き、悲しみながらも恋人の行為を受け入れようとする景子だが、翌日の放課後、春也は下校中の彼女を車で待ち構えていた。景子は、内心で躊躇しながらも再び体の関係を求めてきたのだろうくらいに考え命じられるままに車に乗り込む。車中で春也は、高価すぎて景子が普段ははめていられないダイヤの婚約指輪のかわりに、これをはめろと「I BELONG TO YOU」と花文字が刻まれた鉄の指輪をわたす。それは私はあなたの所有物です、という誓約の意味だった。春也は景子を恵比寿駅周辺の高級マンションに連れ込む。そこは春也の父がかって妾を囲っていた部屋で、二人きりのエレベーターの中で後ろ手を鎖で縛られ、パンティをひき降ろされた景子は、そのままの姿でこの部屋に連れ込まれる。そして景子は、サディストの本性を現した春也によって、異様な拷問具を買い揃えた室内にて、半日におよぶ苛酷なSMプレイの数々で責められる。プレイの最中、春也は自分の父親もサディストで、もともとは普通の性癖だった妾をこのマンションの中で完全なマゾ女に作り変えたのちに捨てたという事実まで告げる。昨夜、初めて女にされたばかりの景子は怯えて激しく泣き悶える。景子は恋人の手で緊縛され、天井から吊られて尻を鞭打たれ、しまいには股間を激しく叩かれて失神する。やがてベッドの上に大の字に縛られて緊縛セックスを強行され、さらには春也の望むまま、陰毛を剃りあげられる。春也の最初の調教を経た景子は、しばらく放置される。婚約を解消することもできる彼女だったが、春也の異常な性癖を秘匿する。そんな状態で十日ほど経ったころ、またもいきなり下校中の景子の前に車で現れた春也は、彼女をふたたびSM道具が満座するマンションに連れ込むと、初日の調教では教えなかったプレイである口での奉仕を景子に学ばせる。以降の春也と景子は、表向きは通常の婚約中の愛し合うカップルを装うものの、実際には重症のサディストとマゾヒスト見習いという特別な肉の関係で結ばれていく。毎回のデートには、縄と鎖と鞭と剃刀などが不可欠のものになるという幸福な結婚を前にした婚約中の若い女性とは思えない日々が続く。景子は毎回きびしく裸で縛られたまま、必ず口も犯される。しかし景子は傍目にもめっきり大人の女らしくなるが、自分と恋人との肉体関係を気づいた母親には、春也さんから優しく大切に愛されていますと哀しい嘘をつく。やがて景子はある夜のデートで、生まれて初めての浣腸と、そのまま春也の目前で排泄する「最後の汚辱」まで体験させられる。とてつもない汚辱と苦痛から、一度はこのまま死んでもいいとまで景子は思う。だが排泄の瞬間の極度の被虐感と、失神にまで導く排泄のかつてないほどの快感を知った景子は、もはやマゾ女としての生に執着せざるをえなくなる。ついに排泄の瞬間まで晒してしまった景子は、かつて春也の父が妾にそうしたように、飽きて捨てられるだけではないかと覚悟する。だがその後も春也は景子との秘密のSMデートを継続する。景子は繰り返される浣腸プレイの中で、おぞましくも妖しい快楽を深く覚えていく。やがて五月には両人の結婚式が予定通りに行われ、何も知らない及川家の母親は美しい初々しいばかりの花嫁となった娘の姿に深い安堵と感銘を覚える。だが実はこの花嫁の白い尻にはまだ鞭の痕が刻まれ、浣腸の余韻が残っているのだった。北陸の温泉場の初夜の宿で、景子は今夜だけは一生に一度の夜として甘い美しい想い出が欲しい、優しく愛してくださいと涙目で哀願するが、春也はいつもと同等かそれ以上の濃厚なSMプレイで花嫁を存分に責め嬲る。景子はその夜、首輪だけ巻かれての責めを体験する。初夜の春也のとっておきの趣向は、性器としてはこれまで手付かずにしておいた景子へのアナルセックスだった。今までの浣腸プレイは、この日のための準備でもあった。浴室で肛門に油を注入され、春也の狙いを聞かされた景子はそればかりはあんまりみじめすぎると大声で泣いてあらがうが、肉をえぐるような勢いの鞭で追い立てられ、ついに寝室の床の上で自分の手で夫に向けて尻を掲げる。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。