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労働者派遣事業

労働者派遣事業(ろうどうしゃはけんじぎょう)、人材派遣(じんざいはけん)、労働者派遣(ろうどうしゃはけん)、口入れ(くちいれ)は、雇用事業の一つ。派遣元となる人材派遣会社に登録している者を、派遣先(取引先)となる事業所へ派遣して、かつ派遣先担当者の指揮命令のもとで労働サービスを提供する雇用形態のことである。隣接する事業に、職業紹介事業がある。労働者派遣業を行う業者は、第1次オイルショック後の1975年頃から急速に増えた。これに対応し、1985年6月に、派遣労働者の保護を目的とした「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法、以下、「派遣法」と略す)が成立し、翌1986年7月に施行された。2012年(平成24年)の改正により、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」へ題名改正された。派遣法第2条では、労働者派遣を以下ように定義している。厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係る派遣法の規定の運用に当たっては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない(派遣法第25条)。 派遣元に常時雇用される労働者(自社の正社員等の正規雇用社員・常用型派遣)を他社に派遣する形態。届出制(派遣法16条、いわゆる「16条派遣」)。一般労働者派遣の業者に比べると、派遣先として対応する企業・職種の幅は狭いが、特定の事業所に対し技術者(主にコンピュータ・IT・エレクトロニクス・機械系の設計関連)などを派遣するような業者(主にアウトソーシング業者と呼ばれる)が多い。平成27年の法改正により16条が削除され、すべての労働者派遣事業が許可制の労働者派遣事業に一本化された。なお経過措置により平成27年9月30日時点で特定労働者派遣事業を営んでいる事業者は、引き続き平成30年9月29日まで特定労働者派遣事業を営むことができる。平成27年9月30日以降は、新規の届出は受理されず、それまでに事業所を開設していても新設に係る変更届は受理されない。派遣元に常時雇用されない労働者(自社の契約社員等の非正規雇用社員・登録型派遣)を他社に派遣する形態。厚生労働大臣による許可制。臨時・日雇い派遣もこれに該当する。なお、一般労働者派遣事業の許可を得れば、前項の特定労働者派遣事業も可能である。平成27年改正により常時雇用の有無を問わず許可制に一本化された。なお、改正前に一般労働者派遣事業を営んでいる場合は、その許可のままで引き続き労働者派遣事業を営むことができる。一般的に「派遣会社」といえば、この形態の事業者が広く知られている。平成27年改正後の労働者派遣事業は、許可を受けるためには以下の要件をすべて満たすことが必要となる。許可の有効期間は新規3年、更新後は5年となる。労働者派遣の内、派遣先企業での直接雇用を前提とする形態。一定期間派遣社員として勤務し、期間内に派遣先企業と派遣社員が合意すれば、派遣先企業で直接雇用される。ただし必ずしも正社員になれるとは限らない。前提になっているのはあくまで「直接雇用」なので、契約社員やアルバイトも含まれる。派遣事業者は労働者派遣事業と職業紹介事業の双方の許可が必要。派遣期間は6ヶ月以内。派遣先(仕事)の有無に拘らず、常に派遣労働者と派遣業者との間に雇用契約が結ばれている状態の派遣。正社員派遣、定常型派遣ともいう。なお、いわゆる契約社員は有期直接雇用であり、正社員(無期直接雇用の被雇用者。つまり常時雇用される労働者)には当たらないため、常用型派遣され得ない。次節の登録型派遣を参照。派遣先(仕事)が存在するときのみに、派遣労働者と派遣業者との間に雇用契約の関係が生じる状態の派遣。登録型派遣のうち、雇用契約の関係が生じる期間が30日以内のものを特に「日雇い派遣」と呼ぶ。日雇い派遣で働く人はワンコールワーカーとも呼ばれる。2012年の法改正により、一部の例外を除き原則禁止となった。日雇い#日雇い派遣も参照。派遣法によって労働者派遣契約は従来の業務請負契約と明確に区別されることになったという。業務請負では、請負労働者は自身が雇用関係を結ぶ企業(=請負業者)と注文主の企業との間で締結した請負契約にもとづいて労働を提供する。そのため、労働者の指揮命令権は注文主の企業ではなく、あくまでも請負業者にあると定義されている。一方、労働者派遣では、派遣業者と派遣先の企業が派遣契約を結び、派遣業者と派遣労働者が雇用関係を結び、派遣先の企業と派遣労働者が使用関係を結ぶ、言うなれば三角形の関係にある。そのため、労働者の指揮命令権は派遣先の企業に認められている。平成27年9月30日時点で既に締結されている労働者派遣契約については、その契約に基づく労働者派遣がいつ開始するかにかかわらず、改正前の法による期間制限がかかる。すなわち、期間は原則1年。延長は最長3年まで可能だが、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)の意見を聴取する義務がある(派遣法第40条の2)。ただし、派遣契約締結から派遣開始までにあまりにも期間が空いている場合は脱法行為と認定される可能性がある。 平成27年9月30日以降に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、全ての業務で次の2つの期間制限が適用される。平成27年9月30日以降に締結された派遣契約に基づく派遣労働者に対しては、派遣元事業主は派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるための措置(雇用安定措置)を講じなければならない。具体的には以下のとおりである。義務は、派遣元事業主が適切に履行するか、派遣労働者が就業継続を希望しなくなるまで効力が存続する。たとえ労働契約が終了した場合であっても、義務の履行はしなければならない。雇用安定措置を講ずる際には、本人の意向を尊重し、本人が希望する措置を講じるよう努めなければならない。派遣元事業主は、個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置の内容について派遣元管理台帳に記載しなければならない。対象となる派遣労働者は、派遣先は、組織単位ごとの同一の業務について派遣元から継続して1年以上同一の有期雇用派遣労働者(特定有期雇用派遣労働者)に係る労働者派遣を受けた場合において、引き続き当該業務に労働者を従事させるために労働者を雇い入れようとするときは、当該業務に従事した特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者に限る)を、遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない。平成27年改正により、派遣事業の許可を受けるためには、派遣労働者に対するキャリア形成支援制度の措置を定めることが義務化された。その許可基準は具体的には以下のとおりである。段階的かつ体系的な教育訓練は、キャリア形成支援制度として策定した教育訓練計画に基づいて行う。派遣元事業主は、個々の派遣労働者について適切なキャリアアップ計画を派遣労働者との相談に基づいて策定し、派遣労働者の意向に沿った実効性ある教育訓練を実施することが望まれる。またその教育訓練は必ず有給・無償のものでなければならず、その費用を派遣労働者の賃金の削減によって補うことは望ましくない。派遣元が実施を義務付けられた教育訓練に加えて更なる教育訓練を自主的に実施する場合、実質的に派遣労働者の参加が強制されるものである場合には派遣労働者がこれらの訓練に参加した時間は労働時間として計算し、有給とする必要がある。派遣元事業主は、派遣先で同種の業務に従事する労働者との均衡を考慮しながら、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生の実施を行うよう配慮しなければならない。また、派遣元事業主は、派遣労働者が希望する場合には、この待遇の確保のために考慮した事項を本人に説明しなければならず、派遣労働者が説明を求めたことを理由として不利益取り扱いをしてはならない。派遣先事業主は、派遣元が派遣労働者の賃金を適切に決定できるよう、必要な情報を提供するよう配慮しなければならない。また、派遣先は、派遣先の労働さyに対し業務と密接に関連した教育訓練を実施する場合、派遣元から求めがあったときは、派遣元で実施可能な場合を除き、派遣労働者に対してもこれを実施するよう配慮しなければならない。派遣先は、派遣先の労働者が利用する以下の施設については派遣労働者に対しても利用の機会を与えるよう配慮しなければならない。平成27年10月1日以降、派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込をしたものとみなされる(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除く)(派遣法第40条の6)。派遣元は労働者派遣を行おうとする際にはあらかじめ、また派遣先から派遣可能期間の延長の通知を受けた際には速やかに、派遣労働者に対し、抵触日を明示しなければならず、併せて派遣先が抵触日を超えた(期間制限違反の)派遣の受け入れを行った場合には、労働契約申込みみなし制度の対象となることを明示しなければならない。公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられる(派遣法第58条)。派遣禁止業務への派遣、名義貸し、無許可の派遣事業・虚偽の更新・業務停止命令違反をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(派遣法第59条)。業務改善命令違反、申告をした労働者に対する不利益取り扱いをした者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる(派遣法第60条)。許可申請・変更・廃止届出の書類の虚偽記載、就業条件等の明示・派遣期間・派遣元責任者・派遣元管理台帳・派遣先責任者・派遣先管理台帳の規定違反、派遣先への所定事項の未通知・虚偽通知、厚生労働大臣への所定事項の未報告・虚偽報告、立入検査に対する検査拒否・虚偽陳述をした者は、30万円以下の罰金に処せられる(派遣法第61条)。法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第58~61条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する(派遣法第62条)。 偽装請負、多重派遣と同様に、事前面接、履歴書(経歴書・スキルシート)の受領・提出をおこなうと「派遣労働者を特定する行為」にあたり派遣契約の実態が労働者供給業と見なされるため、職業安定法第44条の禁止規定違反となる。罰則の適用には被害者による刑事告訴か関係諸局・内部関係者による刑事告発が必要となる。刑事罰則は派遣先企業担当者、役員、代表にも科される。処罰は派遣先、派遣元の両者に科される。職業紹介を行う紹介予定派遣では例外として事前面接が認められている。再派遣は労働基準法第6条の違反(中間搾取の禁止)となる。罰則の適用には被害者による刑事告訴か関係諸局・内部関係者による刑事告発が必要となる。労働基準法第6条違反については両罰規定が設けられている。労働基準法第121条には「"この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する"」とあり、事業主(中間搾取行為をした事業者の経営担当者、労働者に関する事項について事業主の為に行為をするすべての者)と事業主の代理人についても処罰が科される。被害を受けた労働者は派遣先および派遣元の会社、従業員などに対して刑事告訴を行える。日本では江戸時代に手配師あるいは口入屋と呼ばれる労働者派遣事業が存在していた。現在の形での労働者派遣事業を採用したのは航空機業界である(添乗員#派遣添乗員)。※このときに適正なセーフティーネットや「雇用者に対する派遣先企業の責任」が全く盛り込まれなかったため、今日の安易な『派遣切り』に結びついたといわれる。ちなみに宮内は、1996年に「規制緩和委員会」として設置されてから2007年の小泉内閣退陣まで、議長を11年間に渡って務めている。2009年に時の厚労相・長妻昭は製造業務における単純作業への派遣及び受け入れを改めて禁止したい意向を示し、法案も存在するが、民主党政権成立以後も一年単位で繰り返されている内閣総辞職と新内閣構成、また2013年には自民党が政権復帰したこと(第2次安倍内閣)により、法案成立の目途は立っていない。江戸時代に口入屋と呼ばれる人身売買業があった。これは、戦国時代の武将と豪族との間で取り交わされた寄親寄子という制度を起源とする主従関係が、江戸時代の経済の発展と共に広まったもので、都心に出てきた求職者と口入屋の間で主従関係が取り交わされる。また、口入屋は一見(いちげん)の口利きによる労働者斡旋も行っており、武家奉公人から遊女に至るまで、ほとんど全ての職業を扱っていた。その他に「人夫貸し・人夫出し」や「人入れ業」ともいう。労働者派遣法施行以前は、上記のように、江戸時代以降に行われていた労働者派遣の劣悪な労働環境が深刻な問題となっていたため、職業安定法により間接雇用が禁止されていた。それにも拘らず「業務処理請負業」として、労働者派遣会社が違法と知りながら労働者の派遣を行っていた。労働者派遣法の制定にあたっては、施行前年の1985年に女性差別撤廃条約を批准し雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律を改正したことにより、秘書、受付嬢などのいわゆるピンクカラーを募集できなくなったため、派遣という形で引き続き対応させるために労働者派遣法を制定した、と言う説がある。日本において、法令上は「労働者派遣」が正式の名称であるにもかかわらず、わざわざ「人材派遣」という名称を使用する業者や人がいる。これは以下のような理由によるともされている。人材派遣という言葉の意味が明確ではないことの行政上の実例として、商業登記先例が挙げられる。2006年までは、会社の目的登記の表現には具体性が要求されており、会社目的の登記先例を掲載した目的事例集によれば、「人材派遣業」という用語は具体性を欠くものとして登記不可とされていた。このため、登記実務上は、「労働者派遣事業」など労働者派遣法に則した表現を用いている。2006年以降、人材派遣業でも登記は可能となっているが、法人が一般労働者派遣事業の許可申請や特定労働者派遣事業の届出を都道府県労働局に対して行う場合、定款の目的には、「労働者派遣事業」を行うことが記載されていることが求められており、「人材派遣業」では認められない運用である。よって、労働者派遣事業を行おうとする事業者は、事業目的を、「人材派遣業」ではなく、「労働者派遣事業」と定める必要があるのが原則ではある。派遣制度の広がりによって熟練の技術者や事務員が育成されず、企業・産業全体の空洞化につながるとの指摘がある。また派遣を利用する企業は、低コストの見返りとして生産性の低下を受け入れて当然であるとの指摘もある。派遣社員の状況については、退職した後の就業機会など希望して派遣社員としての働き方を選択する人間が多いとの調査結果もありはするが他に選択肢がないためやむにやまれず派遣社員となったケースも存在する。なお、厚生労働省『就業形態の多様化に関する総合実態調査』によると派遣社員を選択した理由として最も多かったのは「正社員として働ける会社が無かったから」であり、派遣社員の51.6%が「他の就業形態に変わりたい」と回答、うち91.6%は正社員を希望している。正規雇用が減少する中で、派遣社員の雇用が増えていることなどから、格差社会の元凶との指摘もさかんにされるようになっている。これに対し、日本人材派遣協会専務理事松田雄一は、月刊人材ビジネス2007年5月号において「派遣社員が非正規雇用の8%しか占めていないことや、派遣と請負の混同などで現状を誤解した誤った認識である」と主張している(ちなみに2012年7~9月期の派遣社員は87万人であり、全労働者の1.7%、非正規雇用に限っても4.8%に過ぎない)。2008年2月8日の衆議院予算委員会で日本共産党の志位和夫が行った質問で、労働者派遣事業の現状の問題を取り上げた。質疑の詳細は志位和夫#日雇い労働と派遣に関する質問を参照。日雇い派遣については、派遣元企業あるいは派遣先企業での違法行為が相次いで発覚したため、2012年に特定業種などを除いて原則的に禁止された(#日雇い派遣の制限)秋葉原通り魔事件やマツダ本社工場連続殺傷事件の加害者は派遣社員であったことや、派遣の仕事がなくなってコンビニ強盗、タクシー強盗、スーパーマーケットでの万引きに手を出す事件が報じられ、「ハイリスク・ローリターンで、経済的に追いつめられた者による場当たり的犯行が目立つ」ようになった。派遣社員が置かれている経済的基盤が貧弱なことによる犯罪発生という観点から報じられている。労働者派遣事業は本来、派遣先企業の要望を受け、登録された者から最適な者を選び出し、派遣先企業へ人を派遣するサービスである。そのため、労働者派遣法第26条で「派遣労働者を特定することを目的とする行為」は将来(最長で6ヶ月まで)における直接雇用を前提とした紹介予定派遣を除いて制限されているにも拘らず、「職場見学」「顔合わせ」「業務確認」などの様々な呼称を用い、派遣業者が派遣先に派遣労働者を紹介して採用の可否を求める行為が横行している。これは違法行為であるため、政府は法令順守を強化するよう派遣企業に求めている。日本経済団体連合会は、政府に対する雇用・労働分野の規制改革の要望に、事前面接の全面解禁を盛り込んでいる。全面解禁になると、派遣労働者の立場が今以上に弱くなるのは決定的と見られており、派遣労働者からは、パワーハラスメントの更なる横行が懸念されている。また一部の面談では、面談時に正社員採用も考えると、実質虚偽の内容が含まれた面談も報告されている。特に上場企業で派遣社員を正社員として採用した例は極めて稀である(工場勤務等は除外)。大手労働者派遣会社から示される1ヶ月あるいは3ヶ月更新の労働条件は、使用者と労働者双方にとって更新を拒否する自由があることを意味するが、実態は労働者側からの更新拒否を、法律の原因なく甘受しない企業も少なくない。「1年以上の長期間の就労を期待しつつも、契約は3ヶ月更新を要求する」など、労働者にとって不利な提示がなされている。その一方、企業からの更新拒否は平然と行われている。日本は原材料を輸入して加工し、製品を輸出して成り立っている典型的な加工貿易国家である。日本は世界でも最高水準の品質の製品を多数生産し国際競争力を保持しているが、社外の人間であり、短期就労がほとんどの派遣社員に製品への忠誠心や品質意識を要求するのはほとんど不可能である。現在は純粋にコスト面から労働者派遣制度を利用する例がほとんどであるが、国際競争力保持を視点に入れた労働者派遣制度に転換していかないとコスト面よりも主に品質の面から、日本の国際競争力を徐々に低下させる危険性があり、コスト・品質を両立させうる長期的観点からの対策が求められている。自動車総連が非正規雇用者について所属組合に実施したアンケート調査(カッコ内は回答比率、複数回答)では、「技能・技術の伝承で課題がある」(52.6%)、「製品・サービスの質が低下する」(28.3%)といった点へ影響が出ているとの指摘がある。また、労働者派遣等の非正規雇用による生活の不安定化は、独身者の増加を招き少子高齢化をさらに進行させている。雇用の不安定化は根本的かつ長期的に日本の国際競争力の低下を招き、日本の国内市場を縮小させている大きな要因であるとの指摘がある。労働者派遣を行う事業者の業界団体である「社団法人日本人材派遣協会」は、2002年に人材派遣健康保険組合(通称「はけん健保」)を設立した。従来、派遣労働者は、派遣元である労働者派遣事業者との契約が月単位となっていることを利用し、継続雇用されていないことを理由に健康保険や厚生年金保険に加入しないことが多かった(これら制度に加入するためには、3ヶ月以上の継続雇用が必要であるが、3ヶ月以上継続雇用されれば必ず加入させなければならない)。この取扱いは、派遣労働者にとっては保険料を負担しないことによる手取り収入の増加、派遣元である派遣事業者にとっては保険料負担軽減および社会保険関係事務の軽減、派遣先企業にとっては派遣単価の圧縮、というメリットが存在したため、雇用関係が実質3ヶ月を超えても、健康保険制度へ加入させない脱法状態が長く続いていた。特に労働者派遣事業を専業にしている者には、意図的に社会保険制度未加入を行うものも存在した。しかし、2002年に会計検査院が厚生省に行った検査の中で違法であると指摘。さかのぼって健康保険を適用し、多額の保険料が追徴される事態となった。この状況をみて、業界団体が主導して、やむをえず健康保険組合を設立するにいたったものである。政管健保に加入する方法もあったが、比較的若い派遣労働者のみで保険の母集団を構成したほうが、健康保険料率を低く設定できるため健康保険組合制度が採られたとされているが、後期高齢者医療制度の影響により現在では高い保険料率となったことや高齢者医療制度への拠出金(国への納付金)ために、平成21年以降は経常収支が赤字に転落している(この制度は加入者数に応じた頭割り計算で拠出金を決めるため、若く所得が低い者が多い組合では非常に大きな負担となる傾向がある)。また、健保組合(組合健保)であるため、国民健康保険(国保)に比べ休業補償等の補償が手厚いというメリットもある。労働者派遣事業者の中には、商社や銀行系列を中心に、「はけん健保」成立前にすでに健康保険に加入しているものも多数あった。なお、派遣事業者が商社や銀行、大手メーカなどのグループ企業の1つである場合、親会社の健康保険組合に加入する形式を採ることもある。労働者派遣業界への批判に対し、主として派遣先と派遣元の経営側からは以下のような反論が行われている。厚生労働省が公開している労働者派遣事業報告書の集計結果によると、派遣労働者の賃金(8時間換算)と派遣会社の派遣料金(8時間換算)から一般労働者派遣では31%、特定労働者派遣では33%が派遣会社のマージンとなっている。過剰なマージンについて労働者派遣会社側は否定しているが、マージンは大半がその企業の決算報告書から導き出せる割合ではないため真偽の確認が困難で信憑性に乏しい。真実と仮定したとしても、統計的見地から導き出された数値ではないケースがほとんどである。また、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成20年厚生労働省告示第37号)は「13.情報の公開」において労働者派遣会社に対し、派遣労働者の単価、経営情報、派遣事業報告書などの事業運営状況に関する情報を派遣先企業および派遣労働者に公開すること、と定めているが、この告示自体がほとんど周知されていないのが実情である。アデコやフジスタッフ(現・ランスタッド)や新潟キャリアステーションなどの独立系の労働者派遣会社の場合、利益は社会保険(労使折半)や有給休暇の負担、福利厚生、事務所の地代家賃や人件費などの経費を加味して計算するため、例えば一等地にある大型の労働者派遣会社のマージンが30%だとしても額面通りの利益にはならない。これは一般企業(たとえば印刷業や流通業)の年商を社員数で割った数字が、そのまま社員各々の年収となるよう分配することが出来ないことと同じ道理である。大まかにであるが、有休には派遣社員の給料の5%程度が当てられ、社会保険には7~10%程度が当てられている。また、上記のような義務的経費に加え、経理や営業、スタッフへの指示を業務とする担当者などの人件費、広告費、大型ビルの地代家賃・光熱費など、派遣事業にかかる経費なども総合して加味すると、営利企業として利益を上げるには30%程度のマージンを取らざるを得ないとの意見がある。しかし、日本は国際条約であるILO111号条約を批准していないが国際労働機関に加盟しているため、ILO111号条約の同一労働同一賃金の原則を尊重せねばならぬ義務がある。経済協力開発機構(OECD)の報告書(2008年「Japan could do more to help young people find stable jobs ~日本は若者が安定した仕事につけるよう、もっとやれることがある~」)において、「正規・非正規間の保護のギャップを埋めて賃金や手当の格差を是正せよ」と勧告されており、派遣会社が支給する(経費を差し引いた)派遣労働者の賃金が国際的な水準より低いことを否定できない。そのため派遣会社は差し引く経費をさらに引き下げる経営努力が必要である。労働者派遣業が薄利多売であることは労働者派遣企業の財務諸表からも分かる。例えば、労働者派遣大手であるテンプスタッフの2007年度の売上高が1618億円なのに対して、営業利益が70億円であることからも推察できる。売り上げ額1600億円に対して70億円程度を純益としている場合は、派遣企業がマージンから経費を除いた純粋な利益は4.5%程度である。また、2006年度決算における業界上位五社の営業利益はテンプスタッフの4.5%が最大であり、労働者派遣最大手のパソナの営業利益が3%に過ぎないにしても、派遣業界全体の売り上げは平成22年度の厚生労働省の調査で5兆円を超えており、そのわずか3%が純益であったとしても1500億円という巨額な利益である。日本の正社員は身分保障が非常に強く、その分企業の労働力需要を抑制し、労働者の雇用機会を損ねているという指摘がある。実際新卒以外の人が正社員として企業に就職するには手段が限られており、派遣労働者が企業の労働需要を満たしている。1986年に労働者派遣法が制定された際は、労働者派遣は同時通訳や財務処理、ソフトウェア開発など一般企業の正社員には困難な、特筆すべき技能を有している者を「一時的に外部から拝借する」手段であることを想定していたため、かつては派遣社員というのは一般的に正社員よりも高給取りで、様々な会社を転々とするスペシャリスト(プロスポーツにおける「ジャーニーマン」)だとみなすことが一般的であった。しかし、一般企業(特に製造業の現業)が人件費を圧縮する手段として労働者派遣会社を利用する傾向が1999年(法改正後)から顕著化し、2008年現在においては技能未習得者のみならず、就労未経験者をも受け入れ、即戦力としてでなく「定型的な単純作業を行わせるための人材」を確保する手段として、派遣会社を利用する企業が急増している。2009年には製造業の単純業務における労働者派遣・受け入れ禁止が時の厚生労働大臣・長妻昭によって提案されたが、その後一年単位で繰り返されている内閣総辞職・新内閣成立、更には2013年の自公連立政権の復活などにより、法案成立の目途は立っていない。企業が正社員を雇用するということは莫大な経費が発生し、かつその社員を原則、定年まで雇用し続けることを前提とした賃金設定を行う必要がある(ボーナスは除く)。さらに、たとえば1万人の派遣社員を正社員として雇用した場合、1万人分の労働管理や経理事務が発生することを意味する。必然的に管理職や経理担当者の増員を迫られ、これらの人件費も発生する。また正社員は景気循環や季節変動に応じた雇用の調節が困難である。こうしたことから、企業が正社員を雇い入れるということはイニシャルコスト・ランニングコスト両面で大きな負担を強いられる。労働者派遣会社が純利益とできるマージンを仮に5%得たとしても、企業はこの負担を相殺し、さらに企業にとって利益となる。労働者派遣企業は派遣先企業の労務費に弾力性を与え、企業体質を強化するサービスの対価として利益を得ている。派遣先の企業担当者が、派遣労働者に誤った認識を持って接し、トラブルにつながる例も多い。労働者派遣を利用して日の浅い企業でよく見られるケースだが、派遣先担当者が派遣労働者に対して、社員に準じて仕事を自ら進んでするべきとの態度で接し、ノルマ・成績まで社員に準じて要求する場合がある。派遣社員側が保険加入でない場合は、短期のアルバイトとしか考えていないケースがほとんどのため、大企業の正社員に準ずる労働水準という、極めて過剰な要求を受け、トラブルになり早期に派遣社員側が退職し、双方に不利益な結末となる例が多い。なかには派遣社員に高度情報処理技術者試験に合格するよう要求する極めて過剰な要求例も報告されている。高度情報処理技術者試験に合格できる人間は情報処理技術者の中でも限られており、対応の困難な要求であるし、高度情報処理技術者試験に合格できる実力を持つ人間が派遣社員としてそのまま勤務し続けることはほとんどない。また正社員側が、派遣元にクレームを入れるぞと派遣社員を恒常的に恫喝し続け、正社員に準ずる労働水準を強要し関係が極度に悪化し派遣社員側が辞職したく故意にミスを犯したり、故意に派遣先に損失を引き起こし、派遣社員が辞めるときに派遣先の問題点を全て派遣先の人事・総務に報告し、トラブルになるケースが報告されている。派遣社員側からは企業の総務・人事担当者に、恒常的に恫喝し続けるというような行為を取締まるよう求める声がある。中には正社員が私的都合のために、派遣社員に社内規則に違反したことを指示したり、会社の損失さえ無視する極めて悪質な例や、正社員が責任を回避するために、派遣社員に明確な指示を与えず業務を遂行させ、問題が発生したら自分は派遣社員に対して指示を出していないと主張する例がかなりの数報告されている。派遣社員側から総務・人事へ正社員の悪質な行為を通報する制度の整備や、それによって派遣社員側の不利益が発生しないよう環境の整備が必要との声が、派遣先企業・派遣社員双方からある。また派遣社員側は外部の人間のため、派遣先の指示なしでは動けない場合も多い。また派遣会社も場合によっては指示なしで行動せず、言動には慎重を期すよう教育していることもあり、社員に準じて率先して自ら動く労働者を求める場合は、準社員や契約社員の方が労働者派遣よりも適している場合が有り、派遣先企業の認識不足で労働者派遣がミスマッチとなっている例も多く報告されている。また労働者派遣では派遣社員に完成責任は無いため、完成責任を有する請負の方が適した場合もある。大手労働者派遣会社の場合は3-6カ月毎の更新契約が多いため、このことが精神的な圧迫になる者もいるが、逆にイニシアチブを一生就業先に預ける必要がないことに魅力を感じる者も少数存在する。正社員では社内規定に基づいた平均化された給与と同一化され、能力に応じた支払いを受けることが難しい企業もなかにはあるが、高度な技術を身につけた労働者は高額な給与と時間的な自由度が高い派遣先だけを選ぶことにより、年収を向上させていくことができる。企業の人材育成意欲が低下している中、企業に頼ることなく自らのキャリアアッププランを明確に持つことで、短期間的に見れば会社に頼るのに比べ高い収入を得ることができる。特に、派遣社員には原則、退職金やボーナスなどの待遇はない代わりに、業種や派遣社員の技能によっては月々の手取額が、中小企業のキャリアの浅い正社員よりも高くなることがある。このことで得た一時的な現金を元手に、留学や習い事に自発的に投資してさらなる能力を身に付けるという自己啓発計画をメリットに感じる者も以前は少なくなかった。たしかに20代で高時給と言われる時給2000円なら年収レベルで400万円は魅力であるかもしれないが昇給がないため40才でも400万円のままである。交通費も自費のところも多く、長年勤務しても昇給もなく、40才をすぎると極端に需要が減るうえ、見合った仕事がなくなれば契約期間内であっても契約終了となるなどのデメリットが次々と明らかになり、派遣に魅力を持つものは激減している。製造業で働く派遣労働者の中で、何某かのメリットによって積極的に派遣労働者を選んだのは約3割だったという調査結果もある。2008年時点で、派遣労働比率(非正社員に占める派遣労働者の比率)は8%となっている。2008年時点で、雇用者全体に占める派遣労働者の割合は2.7%である。経済学者の岩田規久男は「労働者派遣の規制緩和が進んでいなかった場合、むしろ派遣で働く道を閉ざされ、失業者は増加したはずである。失業者が増加すれば格差は拡大する」と指摘している。岩田は、労働者派遣の規制が強化されれば企業は、1)非正規社員を減らす、2)正社員の賃金を引き下げる、3)相対的に低賃金の海外に移転する、などで対応するとしている。経済学者の田中秀臣は「日本で派遣労働を全面禁止してしまうと、派遣で働けた労働者の仕事を奪うことになりかねない。派遣の仕組みを残し、待遇改善をはかったほうがよい」と指摘している。

出典:wikipedia

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