『シュピーゲル・シリーズ』は、冲方丁による日本のライトノベルである。『オイレンシュピーゲル』("EULEN SPIEGEL")と『スプライトシュピーゲル』("SPRITE SPIEGEL")と『テスタメントシュピーゲル』の3つの作品にまたがって展開されている。『オイレンシュピーゲル』、『テスタメントシュピーゲル』は角川スニーカー文庫(角川書店)より刊行され、イラストはオイレンシュピーゲルが白亜右月(原案:島田フミカネ)、テスタメントシュピーゲルが島田フミカネ。『スプライトシュピーゲル』は富士見ファンタジア文庫(富士見書房)より刊行され、イラストははいむらきよたかが手がける。舞台は西暦2016年の国連管理都市ミリオポリス(かつてのウィーン)。極度の少子高齢化と犯罪・テロの増加を背景に児童労働と身体障害児に対するサイボーグ化が認められている。サイバーパンク的な架空の近未来が舞台ではあるが、9・11等の事件や国際問題、差別・貧困・テロリズムなどの現実の社会情勢を豊富に盛り込むことで、現在の世界の先にありえるかもしれない未来社会として描写している。『オイレンシュピーゲル』は、警察組織MPBの飼い犬となり、機械の手足を得て街を縦横無尽に駆けめぐる「黒犬」「紅犬」「白犬」と呼ばれる3人の少女の物語である。『スプライト』に比べ、戦闘シーンや主役3人の過去における残酷な描写が目立つ。また掲載誌の『ザ・スニーカー』(角川書店)で読者からアイディア募集を行い(衣裳など)、実際に作中に登場させている。『エースアサルト』2007 WINTER号から2008 SUMMER号まで曽我部修司の作画による漫画版が連載され、『月刊少年シリウス』(講談社)では二階堂ヒカルによる作画の漫画版が2010年2月号から2013年2月号まで連載。タイトルの「オイレンシュピーゲル」はドイツ語で「フクロウと鏡」(どちらも知性の象徴)の意味。ドイツの伝説的ないたずら者ティル・オイレンシュピーゲルから。作中では「死に至る悪ふざけ」のルビが振られている。『スプライトシュピーゲル』は、公安警察MSSに所属し、電子の羽根を得て街を翔び回る〈紫火〉〈青火〉〈黄火〉と呼ばれる3人の少女の物語である。『オイレン』に比べ、主役3人に限らず脇役の大人たちに対する描写にも頁を割き、MSSという組織全体としての活躍を描いている。各章冒頭+作中でギリシア神話に関する三択クイズが出される。タイトルの「スプライトシュピーゲル」はsprite(=英語で「妖精・小鬼、雷雲上の発光現象」)、spiegel(=ドイツ語で「鏡」(「物語」の意味でも使われる))の意味。作中では「妖精たちの物語」のルビが振られている。『テスタメントシュピーゲル』は、『オイレンシュピーゲル』・『スプライトシュピーゲル』の合流となるシリーズ完結篇である。非常に登場人物が多く、巻頭の登場人物リストには総計52人が記載されている。『オイレン』以上に残酷な描写が強く、『マルドゥック・ヴェロシティ』にて使用されたビジョンの表現が導入されている。挿絵は口絵以外にはない。『オイレンシュピーゲル』と『スプライトシュピーゲル』で世界設定やキャラクター等がリンクしている。さらに『オイレン』第弐巻と『スプライト』第II巻、『オイレン』第肆巻と『スプライト』第IV巻では同一の事件がそれぞれのシリーズの視点から展開される。もともとは著者が第1回の受賞者であるスニーカー大賞の10周年特集の読み切り短編として、「オイレンシュピーゲル」が角川書店の雑誌『ザ・スニーカー』2004年12月号に掲載された。著者はその世界の中に別の物語を見出し、2つの物語の絡み合いを書くために『ザ・スニーカー』の「オイレンシュピーゲル」と富士見書房の雑誌『ドラゴンマガジン』の「スプライトシュピーゲル」の2誌同時連載が2006年4月に開始した。2007年2月1日に角川スニーカー文庫の『オイレンシュピーゲル』、富士見ファンタジア文庫の『スプライトシュピーゲル』それぞれの第1巻が同時発売され、2009年現在続刊中。2009年から最終章の『テスタメントシュピーゲル』が展開されている。『カオス レギオン』・『マルドゥック・ヴェロシティ』でも使用された「/」「=」「+」などの記号やルビを多用した特徴的な文体が10年後の未来の物語に向き合うために使用され、疾走感やキャラクターの属性を強調した独特の文章を作り上げている。冲方丁は『テスタメントシュピーゲル1』において、シュピーゲル・シリーズ完結をもってライトノベル作家を引退することを宣言し、帯には「最後のライトノベル」と書かれた。『オイレンシュピーゲル』の主役3人が所属する、MPB遊撃小隊の一つ。14歳の特甲少女3人から構成。主な任務は犯罪者の制圧確保及びド派手な衣裳によるMPBの広報キャンペーン。『スプライトシュピーゲル』の主役3人が所属する、MSS要撃小隊。特殊空戦機動型(〈燐晶羽(フェデール)〉と呼ばれる昆虫の羽根をモデルにした高機動特甲を装備)の特甲少女3人で構成。〈羽〉は脳への負荷と中枢神経系へのストレスが大きく、代償として過度の味覚刺激を求める副作用がある。オーストリア国家憲兵隊の一部隊。突出した重武装で凶悪犯罪に対処する。情報収集と要撃による都市全域警備を目指す独立部隊。情報収集のエキスパート。長く実戦力を持てずにくすぶっていたが、第I巻で公安局マスターサーバー〈晶(バク、正確には:3つの目と書く)〉の独占使用を認められたため、〈の妖精〉の公式出撃が可能となった。当時最年少の鳳を「お嬢様(フロイライン)」と呼び、出撃前のクイズや星占いを教えるなど可愛がっていた。人格改変プログラムを適用されたが、互いに殺し合うという事故が発生、公式記録上は行方不明。現在はトラクルへの復讐を誓いミリオポリスに潜伏しつつも、成長した鳳を遠くから見守っている。テロリストや犯罪傾向のある一般市民にプリンチップの刻印入りの高性能武器を供給する、ダミー会社を装ったテロ支援組織(ミリオポリスの法律では企業は刑事罰の対象にならないため)。アフリカを主市場とする傭兵的戦術指導者集団。プリンチップ社が大々的に出資。元々はCIAが作り上げたダミーのテロリストグループ。各グループはプリンチップ社の計画の元に連携、〈アンタレス1140号〉を落下させ、強奪した原子炉からコードネーム〈666〉=核弾頭を製造、〈ヴィエナ・タワー〉への輸送リレーを行う。中国の非公式国外部隊。機械化歩兵兼スパイ兼現地工作員兼暗殺者。全員が黒孩子(ヘイハイズ)。自由自在に伸縮し動く金属の蛇腹のごとき機械化義肢。転送機能はないが、損傷箇所のみ破棄すれば手軽に再接続可能。特甲児童の海賊版である。虐殺の資金源について証言するため、国際法廷の証人として集まった7人の要人たち。ハルツーム政権の解体を通してアフリカ全土の兵器売買ネットワークをも解体し、50年後のアフリカに平和をもたらすことが彼らの真の狙いである。共に『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)連載。
出典:wikipedia
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