『冊府元亀』(さっぷげんき)は、中国の北宋時代に成立した類書のひとつ。『太平広記』、『太平御覧』、『文苑英華』とあわせて四大書と称せられる。王欽若・楊億らが真宗の『歴代君臣事迹』編纂の勅命により景徳2年(1005年)から大中祥符6年(1013年)までの8年を費やして完成させた。先朝の事蹟に学ぶという要請に直接応えるこの書物に、真宗は「古来のあらゆる記録を集めた書物(「冊府」=古代の書物を蔵した役所、「元亀」=古代の占卜に用いた大きな亀)」の意を込めて『冊府元亀』の名を賜った。北宋の四大類書のなかで最も大部で、巻数は1000巻に及び、分類は31部1104門(実際は1116門)。各部門は時代の古いものから順に採録されており、歴代の制度沿革を総合的に記した歴代会要の性格を有している。主に『史記』から『旧五代史』までの17の正史がもとになっており、史料的価値を評価しない見方もあるが、特に唐・五代に関しては、後世散逸した実録なども用いており、詳細に採られた詔勅文・上奏文などには本書によってのみ確認できる史料も多く、唐・五代の研究には欠かせない重要史料となっている。また、五胡十六国時代については、散逸して伝わっていない『十六国春秋』を利用した可能性が高く、また『魏書』の様に後世一部が欠けた正史類を補うものでもある。通常の類書は経・史・子・集の広い範囲にわたって内容を収めるものであるが、本書は『君臣事迹』の名の如く、経・史・子に集中して歴代(太古~五代)の皇帝・宰相・官僚の政治についての事績を集めて分類し、それぞれ年代順に配列する。門数は従来「一千一百四門」とされてきたが、実数は1116門(従来の計算方法でも1106門)である。各部にはそれぞれ「総序」がつく。全31部の構成は以下の通り。このうち、奉使部・外臣部については1938年に東方文化研究所(現在の京都大学人文科学研究所)によって索引が作成されている。真宗に上呈された鈔本(手書き本)は、広く臣下にも見せるべしとの上意により、天禧4年(1020年)に北宋初刻本が完成し、輔臣に賜与された。景祐4年(1037年)、御史台にも1セットが下賜された。これら北宋本は早くに散逸した。南宋に入り、再刻が試みられた。現存するものには2種類あり、何れも四川でおこなわれたため、南宋蜀刻本と言われる。このほか、巻246, 250, 443, 481の1葉のみが残存している。眉山刻本573巻、新刊監本8巻の計581巻は、中華書局より『宋本冊府元亀』として1989年に刊行された。こののち、多くの鈔本が流伝した。明末、長年これら鈔本を校勘していた黄国琦・文翔鳳が、福建巡按李嗣京の援助を得て、崇禎15年(1642年)に刊行したものは明刊本(崇禎本)と称され、現在通行する中華書局影印本(1960年)の底本となり、多く参照される(10行/半葉、20字/行。一部は南宋刊本で補われる)。明刊本は南宋刊本を参照せず、また記事・文字の脱誤、独自判断による修正が加えられている。そのため南宋刊本が残存する箇所に関しては、対校が不可欠である。南京大学古典文学研究所によって、明本(中華書局1960年影印本)を底本として宋本、正史類のほか、『唐会要』『唐大詔令集』『全唐文』など多くの漢籍史料との校勘がおこなわれた校訂本が2006年に出版された。
出典:wikipedia
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