ローソンヒノキ ("Chamaecyparis lawsonia") はヒノキ科ヒノキ属の樹木。ヒノキ科ヒノキ属、日本のヒノキ("Chamaecyparis obtusa")やサワラ ("C. pisifera") とは同属である。始新世に生息していた絶滅種"C. eureka" の近縁であるという報告がある。ヒノキ属のいくつかの種類と交雑出来るという報告がある。ローソンヒノキを雌親としてヒノキ、サワラ、ヌマヒノキ ("C. thyoides") などと交雑させた結果、サワラとの間ではローソンヒノキ同士の種内交雑と比べても比較的多くの充実種子が得られた、ヒノキとの間ではそれより低く、ヌマヒノキとの間ではそれはほとんど得られなかった。このうち、サワラとの交雑で得た雑種には致死性の発芽・生育不良(雑種致死)が見られた。発芽した雑種のうちの8割以上の個体が葉緑素の形成に異常のある黄色いもので、それらは皆すぐに枯死してしまったという。本種の代表的な英名には Lawson's CypressとPort-Orford Cedarの2種類の呼び名があるが、これについて英語版の記事によれば、前者の名前は本種を発見し持ち帰った先のスコットランド(Scotland)エディンバラ(Edinburgh)にあるローソン・アンド・サン種苗場(Lawson and Son nursery)に由来し、スコットランドの植物学者 アンドリュー・ディクソン・マレー (1812 -1878) によって1854年に与えられたもの。後者の名前は本種の発見地、アメリカ合衆国オレゴン州 に因む。後者の名前はアメリカ合衆国農務省 (United States Department of Agriculture, USDA)では公式に用いており、原産地付近に住む住民のほとんどもこの名称を使う。植物学者は前者の名前を良く使うが、これは本種はCedar (シダー)ではない(狭義のシダーはヒマラヤスギ属 "Cydrus" のみを指す)ためだという。和名は Lawson's Cypress を直訳した ローソンヒノキ が一般的。アメリカ産のヒノキということでベイヒ (米檜、米桧) と呼ばれることもある。アメリカ合衆国西海岸、カリフォルニア州北部とオレゴン州南部にまたがる北緯43度50分から43度35分の太平洋に近い限られた地域を原産地とする。垂直分布は海岸付近から標高1500 mまで。谷地やしばしば小川に沿って分布する。太平洋は本種の分布域の気候に対して大きな影響を与え、寒く湿った冬と暖かく乾いた夏となる。降水量は平均的か多い方であり、年間1100 - 2200 mmである。ただし、6月から8月までに降るのはこのうちの2 - 4%である。クラマス山脈の高地では積雪量が1 - 2 mに達するのはふつうである。湿度は夜は高くなるが、谷の内部の一部の地域では日中は乾燥する。霧は海岸沿いの地域ではよく発生し、海岸から離れた山間部でも小さな谷では午前中に良く見られる。夏の曇天は分布域北限付近ではよく見られる。気温の変動は2年ごとに大きく変わる。沿岸部の3か所において、地上1mの月平均気温を測定したところ3地点の平均気温は最低が1月の5℃、同最高は7月の14℃であり、年間平均気温は8.5℃であった。最も暖かい所はオレゴン州に近く、標高は350 mで平均気温は最低3℃最高22℃で、年間平均気温は11.3℃だった。逆に最も寒い所はカリフォルニア州のシャスタ山 (Mount Shasta)の南西で標高1500 m付近の場所で月平均気温は-2℃から14℃で変動し、年間平均気温は5.2℃だった。分布域において観測された地上1 mでの最低気温は-15℃である。地下20 cmにおける地温は一般的に低く、年間平均4 - 11℃となっている。このため凍ることはきわめてまれであり、観測された地温で最も低いのは-0.5℃であった。本種は多くの土壌・地質で生育する。砂丘、泥炭土壌、普段は涸れ川だが一時的に水が流れるような場所、超苦鉄質岩 (火成岩をケイ素の含有率で分けたときにケイ素をほとんど含まないもの。) の上のような乾燥した場所、堆積岩や閃緑岩の上の肥えた土などなど。最も巨大な個体はオレゴン州Coos Countyで見つかっており、そこは堆積岩が風化した厚い土壌がある。分布域のほとんどの地点において地下1m程度の地点に涸れることない地下水がある。オレゴン州Coos Couty(意訳:コス郡?)の南部では標高が低く超苦鉄質岩かつ湿った場所に多く生育している。分布域の北限ではベイスギ("Thuja plicata")と生息場所が重なる。そのような地域では本種はベイスギと比べてより酸性でカリウム濃度が高く、カルシウムやマグネシウムが少ない場所で見られる。後述のように有用な林業樹種であり、イギリスなどいくつかの地域にも導入されて栽培されてきた。しかし、1980年代以降、原産地である太平洋岸北西部(Pacific Northwest)以外で大規模に植林されることはなくなってきた。これは根の病害、冬の気象災害に弱く、他の種と比べて成長が遅いからである。成木は樹高60 m、胸高直径120 - 180 cmになる大型の常緑針葉樹である。葉は軽く扁平で色は白っぽい青緑色で、3 - 5 mmの小さい葉が扁平な枝にこびり付く様に多数生じる。球果は直径7 - 14 mmで6-10枚の鱗片を持つ。最初は緑色で成熟するにつれて茶色に変わる。雄花は長さ3 - 4 mmで最初は暗赤色だが、早春に花粉を散布すると茶色に変わっていく。樹皮は赤褐色で垂直の筋が目立つ。個体によって繊維質のものから鱗状に裂けるものまで色々ある。球果1つ当たり2個から4個の種が含まれ、重量面で見ると全体の約20%が種子の重さである。種子は小さく、1 kg当たりに含まれる種子の数は平均すると46万粒である。1 g当たりでみると170粒から1300粒まで幅がある。種子には小さな翼が付いているにもかかわらず、もっと大きな針葉樹の種と比べて落下速度は速い。種子の翼があるおかげで種は水に浮かべても沈まない。種子の生産が始まるのは樹齢が5年から20年生ぐらいの時である。樹齢7カ月と極々若い木であっても50 ppmの濃度のジベレリン酸 (植物ホルモンの一種)を施してやることで花芽を誘導することが出来ることが確認されている。高濃度のジベレリンを施すと逆に着花は減るという前述のように本種は雌雄同株であり、1つの個体に雄蕊だけを持つ雄花と雌蕊だけを持つ雌花]の2種類の花をつける。雄花と雌花は同じ枝に形成される。生殖器官の形成が始まるのは春の終わりから夏にかけてである。その年の冬には明るい赤色をした小さなボール状の雄花の中に花粉嚢のない花粉(bladderless pollen)が形成されている。オレゴン州沿岸部においては花粉が飛ぶのは3月中旬である。受粉した花粉がさらに受精まで行くのは1カ月ないし、それ以上後である。種子の成熟はその年の秋、9月か10月である。種子は湿度10%未満の低湿度の条件で密封し冷凍保存することで10年以上たっても高い発芽率を保つ。ある研究によればこの方法で保存し、13年後に発芽率を確かめたところ43%であった。発芽には光が必要である。なかでも赤色光は発芽を促進し、遠赤色光はそれを抑制する。温度は人工的な条件下では12℃以下ではほとんど発芽しない。本種の発芽は子葉が地上に出てくるタイプ (epigeal)である。苗木は日陰に対する耐性はかなりあるが、密集したところでは枯死していく。成木ばかりが密集して構成されたような森林では生きていけるが、若い木が密集しているようなとても光が入らないような場所では生きてはいけない。日陰では成長は遅く、2年目の成長期の終わりで4 cmにしかならない。これが開けた場所であれば1年目の終わりにで約4 cm、2年で約8 cmになる。さらに3-0ストックで植林された様な場所だと2年目の終わりには48 cmに達する。樹高1.4 mに達するのに必要な年数は樹冠で覆われた個体が14年から31年もかかるのに対し、皆伐(全ての木を伐採すること)跡地の個体では僅か5年から11年である。乾燥によるダメージは比較的暑い場所や内陸で深刻である。混生する他の樹種よりも乾燥の影響を受けやすい。実験では低温と凍結では混生する樹種の中で最も影響を受けた。しかし、野外個体からの報告にはばらつきがある。-25℃でも無傷であったというものがあれば、-13℃で致命的な損傷を負ったというものまである。イギリスにおいては早春の晩霜による損傷は他の樹種よりも少ない。風や氷雪による損傷は受けることは受けるものの、他の樹種と比べて特に被害が大きいというわけではない。若い個体は山火事によって簡単に死んでしまう。老齢木では厚い樹皮が形成されているので、内部の組織を熱から守るので火災に強い。本種は色々な種類の植物と混生し、色々な植生区分を作る。混生する中でも多いのはシトカトウヒ ("Picea sitchensinis")、アメリカツガ ("Tsuga heterophylla")、様々な常緑樹、シロモミ ("Abies concolor") である。砂地から食虫植物のダーリングトニア属("Darlingtonia"、カリフォルニアのごく限られた地域で見られ一属一種の珍しい植物)の生えるような沼地でも生育する。大きく成長して商業的価値を持つ個体が多く、しかも生長が早いのはシトカトウヒ("P. sitchensinis")やアメリカツガ("T. heterophylla")との群落で、ベイマツ("Pseudotsuga menziesii"、ダグラス・ファーとも)が優勢な場所である。土壌の水分が多い場所では優先種になり、そのような場所では土壌母材が少なくとも超苦鉄質岩(ultramafic rock)であることが多い。"Abies concolor" が生えるような高地ではよく見ることが出来るが生長は遅い。原産地付近で常緑樹が混生している様な場所では、広葉樹ではなく日陰に耐性のある針葉樹だけで占められている場所が多い。、本種と混生する植物は場所によって異なる。森林において上層を形成し、光を奪い合う競争関係にあるものとしては以下のような樹木が知られている。シトカトウヒ ("Picea sitchensis")、アメリカツガ("Tsuga heterophylla")、ベイマツ("Pseudotuga menziesii")、タンオーク"Lithocarpus densiflorus"、サトウマツ ("Pinus lamberitiana")、 "P. jefferyi"、 モンチコラマツ ("P. monticola"), "'Sequoia sempervirens
出典:wikipedia
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