オーバーテイク(和英:overtake)とは、レースにおいて、前の車を後の車が追い越すことを言う。英語では「オーバーテイキング(overtaking)」、あるいは「パッシング(passing)」と言う。レースでは必ずしも「追い越し」=「オーバーテイク」ではない。レースでの「追い越し」を大別すると、以下の3つのケースに分けられる。ほとんどの場合、「1」を指して「オーバーテイク」と言う。レースにおいて大きな見せ場であり、その内容・回数などがレースのエンターテイメント性そのものを左右する場合が多い。例として、オーバーテイクのない、または少ないレースは「走行会」などと揶揄されることがある。「2」は広義においてはオーバーテイクであるが、狭義ではオーバーテイクとは言わない。レースにおいてオーバーテイクとは、「1」のように順位が入れ替わることのみを表し、「2」のようなケースは単に「ラップダウンする」「ラップダウンされる」と言われることが多い。「3」のように、近年のF1などではピット作業により順位が変動することが多いが、このケースでは後車の追い越しをする意思、あるいは前車がそれを阻止する意思にかかわらず順位が入れ替り、またそれに伴うアクションも一切ないため、これをオーバーテイクと呼べるか否かは、意見の分かれるところである。例えば、同一周回で順位を競い合う車同士が、同じ周回、または近時周回でピット作業を行った場合に、作業の手際やラップタイムの差などから、トラック上で追い越しがなされることなく双方のピット作業後に順位が入れ替わる場合がある。または、前車が先にピット作業を行った際に、一時的に後車が順位の上では前に出ることになるが、これらをオーバーテイクと言うケースはあまりない。これを区別するために、「1」は「コース上でのオーバーテイク」などと言われることがある。オーバーテイクはレースの醍醐味であるが、安全面やスポーツマンシップの見地から問題のある行為は審議対象となり、競技委員からペナルティを課されることがある。また、レギュレーションで明文化されていなくとも、バトルの当事者間では「最終的にどちらが譲るか」といった相互認識も必要となる。並走状態でコーナーに侵入した場合、「相手の走行ラインを1本分残す」のがマナーとされる。高速コーナーでの接触は重大事故につながるため、車両性能やドライバーの技量をふまえての一瞬の判断が問われる。レース中のオーバーテイクの頻度はレースカテゴリ、もしくはサーキットの特性によって異なる。インディカーやNASCARのようなオーバルトラックを使用するレースでは、スリップストリームを使う駆け引きが随所で展開される。2輪の軽排気量クラスでは互いに順位交代を繰り返しながら、集団でレースを行う場面が見られる。逆に、F1モナコGPの舞台となるモンテカルロ市街地コースのような道幅の狭いツイスティなコースでは、オーバーテイクは極めて難しい作業となる。現代のモータースポーツはテレビ視聴率(=放映権収入)の影響から、以前よりもエンターテインメント性が要求されている。オーバーテイクシーンの少ないレースは退屈とみなされるため、オーバーテイクをしやすくなるルールや技術を導入する演出的要素が加わるようになった。一方、ドライバーの技量が反映されない作為的なオーバテイクが頻発すると興醒めという見方もある。かつて、CARTではオーバルトラックでのスピード抑制のためリアウィングにスポイラー(ハンフォード・デバイス)を装着したが、副次作用としてスリップスストリームが利き過ぎる結果となり、抜いた車がすぐに抜き返されるというシーンが続発した。近年、特にF1において「オーバーテイクが少ない」ということが問題視されており、その対策として様々なレギュレーション変更が考慮されている。オーバーテイクが減った大きな要因として、以下のような幾つかの理由が考えられる。国際自動車連盟 (FIA) は風洞実験やCFD解析をもとにオーバーテイクを容易とするエアロパッケージを研究している。2005年にはリアウィングを左右に分割し、後方乱気流を削減するセンター・ダウンウォッシュ・ジェネレーティングウィング (CDG) を発表し、2007年からの導入を図ったが採用は見送られた。2008年には研究専門部会としてオーバーテイク・ワーキンググループ (OWG) を設立。各チームの設計責任者を交えて具体的なレギュレーションを検討し、2009年より順次導入している。オーバルだけでなくロードコース(ヨーロッパ式サーキット)でもレースが行われるインディカー・シリーズでは、「プッシュ・トゥ・パス」と呼ばれるシステムが採用される。プッシュ・トゥ・パスを作動させると、エンジンの許容回転数が200rpm向上する。過給式エンジンではさらにターボチャージャーのブースト圧が上昇する。また、使用制限については回数が制限される場合と合計作動時間が制限される場合があり、シーズンによって異なる。フォーミュラ・ニッポンでは2009年から「オーバーテイクボタン」が導入された。レース中5回まで使用でき、エンジン回転数を20秒間400回転上げることができる。観客に分かりやすいようロールバーに5つのランプが点灯しており、ボタンを押すと5秒後に点滅し始め、使用するごとに1つずつ消灯していく。なお、オーバーテイクボタンの是非について、小林可夢偉氏は「前の車両が点滅を確認でき、オーバーテイクを防ごうとする。全くしょうもないボタンである」と苦言を呈している。フォーミュラEでは接戦を演出するため、決勝レース中にパワーユニットの出力がソフト的に制限されるが、オーバーテイク時のみ「プッシュ・トゥ・パス」モードで一時的に最大出力を得ることができる。またSNS上で最も支持されたドライバーのみプッシュ・トゥ・パスの使用権が得られるというファン連動システムの導入も予定されている。
出典:wikipedia
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