日本語の音韻（にほんごのおんいん）は、日本語において別々の音と分析される抽象的な音の全体である。これらの音韻は一つの体系をなす。本記事では、日本語東京方言の音韻体系、また、音声学的に見た実際の発音（単音・連音）を中心に説明する。日本語は典型的なモーラ言語であり、長母音や語末に のある音節は2モーラと数える。各モーラがおおむね同じ時間になるように発話される。例えば、「ヨーロッパ」() という単語は5モーラである。服部四郎の解釈では（音素/'/を認め、引き音素を認めない場合）、日本語のモーラは以下のいずれかに属する。日本語のモーラの一覧を示す。外来語にのみ出現する音（例：シェ）はこの表には含まない。多くの方言で、抑揚が高い時の ・ が無声子音の間にある時に無声化する。　無声化した母音の隣接した音節では通常は無声化する事はない。さらに単語の終わりの抑揚が低い時は、そこの無声子音の後の ・ が無声化する。より小さい範囲に が2拍以上隣接していると無声化することがある。・ に隣接している時に、母音はわずかに鼻にかかった声で話される。撥音 の前の母音ではかなり鼻にかかった声(鼻母音)で話される。単語の始めと終わりで、それぞれ声門閉鎖音 が発音されることがある。これは以下の言葉（単独で発音される）で表される。単語の最終的な語が強調されて口にする時、この声門閉鎖音は明らかに聞き取れて時々、促音で表される。これは「あっ」と「えっ」のような感動詞でも見つかる。日本語の母音には長短の区別があるが、これを音韻的にどう解釈するかは説が分かれる。「伸ばし音素」のようなものを認めることも、長母音を単に2つの（短）母音が並んだものと考えることも可能である。（下記#/R/を参照）平仮名の例は代表としてア段のものを記す。促音 の子音は後にくる子音によって変わってくる。服部四郎は、母音ではじまる音節（ア行・ヤ行・ワ行）の前に子音 があると考え、これによっていくつかの音声的事実を説明できるとする。この音素を立てた場合、日本語のすべての音節は子音で始まることになる。柴谷方良は の存在を疑っている。服部四郎は、 を とは別の音素とする。ということを根拠とする。しかし、多くの学者はこれに反対している。「チ・ツ」の子音が「タ・テ・ト」の子音と音韻的に同じかどうかについては議論がある。服部四郎は が の前だけで破擦音になる理由がないとして、 とは別に を立てる。しかし を認めず、「チ・ツ」を ・ とする解釈もある。前者の解釈では ・ および ・ は「あきま」になっている（理論的には存在するが歴史的理由でその音をもつ語が存在しない）と解釈する。後者の解釈では ・ は ・ と中和していると考えることになる。服部四郎は促音を音素 とする。たとえば「あった」は になる。これを と解釈することも可能である。金田一春彦は長音のために引き音素を立てる。服部四郎は音声的実体がないとしてこれに反対するが、柴谷方良は金田一春彦に賛成する。日本語東京方言は高低アクセントを持つ。すなわち、一語のうちの最後に高くなるモーラが語によって決まっている。服部四郎の用語ではこれをアクセント核と呼ぶ。金田一春彦は低くなるモーラの前にアクセントの滝があると考える（ダウンステップを参照）。各モーラの高さはアクセント核から予測可能である。アクセント核が第2モーラ以降にあれば第1モーラは通常低い。第2モーラからアクセント核のあるモーラまでは高く、それ以降は低い。アクセント核のない、いわゆる平板調の語もある。現代日本語の連音現象としては、連濁が代表的である。ほかに連声・音挿入・音便などがあるが、生産的ではない。

出典:wikipedia