ガリアンソード () とは、1984年に放送されたロボットアニメ『機甲界ガリアン』に登場する、架空の刀剣の通称。主役ロボットである鉄巨人ガリアンが装備する武装で、いわゆる一般の剣としての形状と、刃の部分を数珠状に分割した鞭状とに変形させられるギミックを持つ。この剣は設定資料集などで「ガリアンソード」や「ガリアンブレード」と呼ばれることもあるものの、正式名称ではなく、アニメの制作スタッフからは「ジャラジャラ剣」と呼称されていた。設定画では単に「剣」または「ガリアンの剣」と記入されている。このギミックは後年のフィクション作品にも影響を与え、類似した構造を持つ刀剣が数多くの漫画・アニメ作品に登場しており、日本国内のみならず日本国外の特撮映画などにもしばしば登場している。『機甲界ガリアン』と直接の関係のない文脈上でも、このような構造を持つ刀剣を指して「ガリアンソード」「ガリアン剣」といった語が使われることも少なくないが、蛇腹剣(じゃばらけん)や鞭剣(むちけん)、「Snake Sword」「連接剣」「多節剣」「ウィップソード」「連結刃」など、作品によって様々な造語による呼称が用いられる場合もある。テレビアニメ『機甲界ガリアン』におけるガリアンソードは、劇中において古代のオーバーテクノロジーによって作られたという設定が与えられている主役ロボット「ガリアン」の武器の一つで、柄の部分に形状を変えるための機構があり、操作によって自由に剣状と鞭状とを行き来することができる。刀身は複数のセグメントに分割され、それらがワイヤー状のもので数珠繋ぎに連結されている。ワイヤーが巻上げられた状態では剣状を維持し、これを緩ませることで刃は分割され鞭状となる。また、刃を立てた状態で対象に絡ませてから強く引くことで、そのまま切り裂くというワイヤーソーの様な使い方も可能である。『ガリアン』の監督を担当した高橋良輔は設定のルーツとして、自身の故郷の不良たちが喧嘩の武器に転用していた自転車用のローラーチェーンと、1981年の映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に登場するインディー・ジョーンズ教授が使っている鞭を挙げている。高橋は『ガリアン』で中世ファンタジー系のロボットアニメという題材に取り組むに当たって、エンターテインメント性のためにはリアリティーと荒唐無稽さの両立が不可欠だと考えていたが、ヒロイック・ファンタジー作品に登場するような直刃の西洋剣では直線的な動きは表現できても、インディー・ジョーンズの鞭のように流麗な動きには不向きなのではないかと思い悩んでいた。そこで高橋は、剛直な直刀の西洋剣に、鞭のように優美で変幻自在な動きと、敵に絡みつけて引くことでチェーンソーのように敵を切断するというメカニカルなギミックを加えるためのアイディアとして、この剣を考案したという。その後に創作された無数の作品でギミックを模倣されることになったガリアンソードであるが、高橋は知的財産権を主張して利益を得ることはしなかったという。高橋は、他人が工夫したアイディアを知らずうちに使ったり使われたりすることはよくあることであり「お互い様とも言える」ので、知的財産権を主張して利益を得ることは自分の考えに馴染まず、得られたであろう利益を惜しむ気持ちはないと語っている。1984年のテレビアニメ版『機甲界ガリアン』におけるガリアンソードは、鉄巨人ガリアンの左前腕部に鞭状態で格納されており、第2話「ガリアンの目覚め」から登場する。鉄巨人ガリアンの初登場シーンから唯一無二の武装として扱われており、高所から飛び降りつつ鞭状態で抜刀されて先端部分で最初の敵を刺し貫いた後、決めポーズを取りながら剣状態に戻され、続いて2体目の敵と切り結んでこれを倒している。第10話で鉄巨人ガリアンは重装改(アザルトガリアン)へと改造され強力な銃火器を搭載されることになるものの、その後もガリアンソードは主要な装備として用いられ続ける。最終話では、敵の施設「鉄の塔」の強固な外壁に内部への進入経路を開くためにガリアンソードが用いられ、外壁に切れ目を入れて力を加えた際に粉々に砕け散っている。1986年のOVA版『機甲界ガリアン 鉄の紋章』では、ガリアンに酷似した外見を与えられた新たな主役ロボット「鉄巨人」の武装として類似の武器が登場するが、そのギミックは変更されている。バラバラに砕け散るような形で複数のセグメントに分離した刀身が、ワイヤーで連結されるのではなく独立した飛び道具となり、光の尾を引きながら自在に飛び回って敵を切り刻むのである。剣と鞭の特性を兼ね備えた武器であるが、現実にこうした構造が成功した例は歴史上これまでには存在しない。類似した武器には、軟鋼で作られた鞭状の刀身を持つカラリパヤットの伝統的な長剣「ウルミ」がある。これは切れ味と鞭のしなやかさを両立しているが、コイルのように巻き取ることはできても真剣状態にはならず、鞭の様に巻き付くほどの柔らかさもない。なおウルミは「コイルソード」「フレキシブルソード」などと呼ばれている。棍棒から多数の節を持つ形態に分割・結合できる多節棍・多節鞭などは、刀身を持たない打撃武器であるが、扱う際の動きがフィクションにおいてガリアンソード状の武器の動きを再現するための参考にされた例がある。また、フィクション上にガリアンソード状の武器を登場させるため、動きを検証したりモーションキャプチャーしたりする目的で、人間が振り回せる大きさで殺傷能力のない模型が作られた例もある。ガリアンソードの発想のモチーフのひとつとなった自転車用のローラーチェーンは、武器として扱うことは難しいものの携帯に便利で、威力もあるものの、ナイフと異なり意図しない致命傷を負わせてしまうリスクが少ないといった理由から、高橋の故郷の不良の間では喧嘩の武器として人気があったという。ガリアンソードの影響力を示す例として、類似の基準となる、刀身を分割して形態を剣から鞭に変化させられる構造を持つ刀剣が登場するフィクション作品とその使い手を挙げる。「剣と鞭の両用武器」というアイディアの武器が登場した作品としては、『機甲界ガリアン』よりも先に発表されたものには以下の作品があるが、これらは刀身が分割するのではなく「剣が鞭、あるいはリボン状に変化する」「鞭が剣に変化する」という設定である。
出典:wikipedia
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