トゥイストー(またはトゥイスト)( "Tuisto" )、もしくはトゥイスコー(" Tuisco ")は、タキトゥスの『ゲルマニア』第2章で「すべてのゲルマン民族の祖先」として紹介される神の名である。トゥイストーはこの栄誉を、彼の息子マンヌスと共有した。ヤーコプ・グリムによると、トゥイスコーの名前とその変形した形("Thuisco"、"Thuiskon"、"Tuisco")は、神「ティウ("Tiu")」の名に由来する形容詞「"tivisco"」に由来するという。その名「ティウ」とは、ゲルマン祖語では「*"Tiwaz"」であるが、インド・ヨーロッパ祖語における天空の神の名「*"Dyeus"」に由来している。そして、それに由来する形容詞は、「天の存在」か「ティウの息子」のどちらも意味する可能性がある。つまり、トゥイスコー("Tuisco")の語末の「-isk-」が「裔出」という意味だという仮定によるのだが、「ティウ("Tuiz")の後裔」を意味する場合は、ティーウィスコー("Tivisco")でなければならない。この語源説明は「"Tuisco"」が本来の名前であることを前提としている。実は「"Tuisto"」のほうは誤って筆記された名である。しかしテキストで多く見られるのはむしろ「"Tuisto"」のほうである。より受け入れられるのは、「"tvi-" (数値の2)」から「"Tuisto"(トゥイストー)」となったという説明である。つまりその語が現在のドイツ語のZwitter(「双生児」もしくは「陰陽両性者」)に該当すると考える説である。何人かの研究者は、これが両性具有者の存在を説明することを示唆している。さらに仮説を進めるならば、もし両性具有だとすれば、トゥイストーは北欧神話に登場する原巨人ユミルと同一の存在であり得る。ユミルも、1人で巨人の血統を生み出したいわば両性具有者であった。他の推測は、トゥイストー("Tuisto")を「対立・争い・境界」を意味する他のさまざまなゲルマン語派の単語に関連づけている。それは例えば、ドイツ語の「"zwist"」、スウェーデン語の「"tvista"」、オランダ語の「"twisten"」などである。これらはまた、「"tvi-"」という語根から生じた単語である。そして、ローマ神話における神マールス("Mars")の重要度、およびマルスがローマ建設に関わったことを、トゥイストーのそれと比較する。ローマとその民族の父としてあげられるのは、マールスと彼の息子ロームルス("Romulus")であり、主神のユーピテル("Jupiter")でない。この比較に基づけば、「トゥイストー」は、北欧神話に登場する神テュール("Tyr")の古い時代の名前であり得る。テュールはしばしばマルスと比較される。また、2人はともに戦争の神であると知られている。こうして、トゥイストーは「2つの顔」あるいは「2本の掌」を意味し、我々のいる世界を構成するあらゆる正反対のものを代表している。それはたとえば、太陽と月、昼と夜、熱さと寒さ、男性と女性、その他のものである。さらにまた、ギリシャ神話のゼウス("Zeus")とインド神話のディヤウス("Dyaus")と共通点がある。まず彼らの名前は、テュールの名と語源的に関係がある。そしてトゥイストーも大地から生じたと語られている(『ゲルマニア』第2章)。ちょうどゼウスが地母神(ガイア)によって生み出されたように。比較宗教学者のブルース・リンカーンは、ジョルジュ・デュメジルの三機能仮説を援用し、トゥイストーとマンヌスの伝説はインド・ヨーロッパ語族の原創造神話にさかのぼるものだとしている。
出典:wikipedia
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