フェーザ表示(フェーザひょうじ、)とは、電気工学や波動光学などにおいて正弦信号を複素数で表現する表示方法である。主に線型回路の交流解析に使用される。線型な電気回路において、本来は微分方程式の求解問題である定常的な振る舞いの解析を、フェーザ表示を利用することでより簡単な代数方程式(特に連立一次方程式)の求解問題に帰着させることができる。次の正弦信号 を考える。ここで、 は虚数単位、 は絶対値が で偏角が の複素数、formula_3 は複素数 の虚部を表す。このとき複素数 を信号 のフェーザ表示またはフェーザという。フェーザ表示はフーリエ変換と同様の性質をもっている。以下、正弦信号 のフェーザ表示が であるとする。簡単な線型素子について、電圧と電流の関係をフェーザ表示を使って表してみる。キャパシタ(コンデンサ)の場合、電流 と電圧 の関係はである。電流と電圧のフェーザ表示をそれぞれ とするととなる。インダクタ(コイル)の場合はであり、同様にフェーザ表示するととなる。RLC回路:の場合も、線形性より、各項をフェーザ表示して和をとれば良い。振幅 、角周波数 、位相 である時間関数の複素数 を考えるとオイラーの公式より、である。ここで とおくと、である。ここで時間 によらない を のフェーザ(、phasor、位相ベクトル)といい、そのフェーザが 時間 の関数 で回転されるものと考える。さらに 複素数 の虚数部を formula_15 で表すと、となり式(1)を得る。一方、 を微分、あるいは不定積分(交流解析のため積分定数は考慮しない)すると、となり、時間関数表現とフェーザ表現を対応させると形式的にという一対一関係が成り立つ。つまり、通常の時間関数表現の微分方程式・積分方程式は、フェーザ表示では代数方程式に対応する。これが、フェーザ表示によれば微分方程式による電気回路の定常解解析が代数方程式に帰着できる理由である。本項では虚数部 formula_15 を用いたので が基準となったが、実数部 formula_20 を用いると が基準となる。本項では を振幅とし、フェーザの絶対値を 振幅 に対応させた。しかし、 を実効値とし、フェーザの絶対値を 実効値 に対応させる流儀もある。この場合、フェーザと瞬時値の対応はとなる。複素電力を求めるときはこの方が便利である。基準を明確にすれば以降の議論は等価である。
出典:wikipedia
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