原子力(げんしりょく。)とは、原子核の変換や核反応に伴って放出される多量のエネルギーのこと、またはそのエネルギーを兵器や動力源に利用すること。核エネルギー(かくエネルギー)や原子エネルギー(げんしエネルギー)ともともいい、単に核(かく、)と呼ぶ場合には、原子力を指すことが通例である。日本語では、「原子力-」(「原子-」)と「核-」は接頭辞としてほぼ同義である。このうち「核」は核兵器や核燃料など軍用や燃料として、「原子力」は原子力発電や原子力空母など商用や動力源に使い分けられることが多く、これに対する批判もある。同様に、「反核」は原子力全般への反対を指す語であるが、英語では nuclear weapon (核兵器)、nuclear power (核発電)、nuclear submarine (核潜水艦)というように、"nuclear" (核)でほぼ統一されている。独語の "Atom" と "Nuklear" はほぼ同義語であり、軍用か商用かを問わずに用いられる。英語の nuclear power plant(直訳:核発電所)に相当する語として、独語では Atomkraftwerk (直訳:原子力発電所)と Kernkraftwerk (直訳:核発電所)の両方が用いられている。中国語では、忠実な訳語を用いて「核電廠」という。「原子力」という語は、原義的には、ウランやプルトニウムの核分裂、放射性物質の崩壊、重水素・トリチウムなどの核融合により放出される核エネルギーのことを指す。原子核変換は、原子核崩壊と原子核反応に分類され、原子核反応はさらに原子核融合反応と原子核分裂反応に分類される。原子核反応により発生するエネルギーは、化石燃料の燃焼などの化学反応により発生するエネルギーに比べて桁違いに大きく、兵器として利用されるほか、エネルギー資源として主に発電に利用されている。ただし現在のところ発電に利用されているのは原子核分裂だけであり、原子核融合による発電はまだ実用化されていない。一方、原子核崩壊により発生する比較的弱いエネルギーは原子力電池や放射線医学などに利用されている。しかし、核分裂か核融合かを問わず、原子力の利用は、放射線、放射線を放出する能力(放射能)を持った物質(放射性物質、放射性廃棄物)を発生させる。放射線は、その量や強さに応じて生物に対して悪影響(放射線障害)を与えるため、適切に防護(放射線防護)する必要がある。放射線防護についての国際的な研究機関として、国際放射線防護委員会 (ICRP) がある。原子力兵器や原子力潜水艦などは「核の戦争利用」「軍用核」の代表例であり、原子力兵器は代表的な大量破壊兵器とされている。原子力発電や原子力商船などの「核の平和利用」「商用核」も、その過程で発生する放射性廃棄物など問題を抱えている。又、原子力には、軍用か商用かを問わず、各種の原子力事故や放射性廃棄物の処理、核テロリズムの危険性などの課題が存在している。核兵器の拡散を防止する条約には核拡散防止条約があり、核の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国際機関には国際原子力機関がある。原子力に反対する運動は「反核運動」や「反原子力運動」などといい、特に原子力兵器への反対運動は「反核兵器運動」、特に原子力発電を巡る論争は「原子力発電論争」などとも呼ばれている。原子力(核エネルギー)を主要な破壊力・殺傷力とした兵器を、「核兵器」や「原子力兵器」と呼ぶ。原子爆弾や水素爆弾などの核爆弾や、核ミサイルが代表例である。このほか放射能兵器なども含まれる。原子力(核エネルギー)で動く潜水艦を「原子力潜水艦」という。又、原子力兵器を搭載する潜水艦も「原子力潜水艦」といえる。原子力(核エネルギー)で動く航空母艦を「原子力空母」という。核反応を利用した発電を「原子力発電」や「核発電」と呼ぶ。通常は原子炉で発生した熱エネルギーで蒸気をつくり、タービン発電機で発電する。燃料としてはウランやプルトニウムなどが用いられる例が通常である。核反応を利用した電池を「原子力電池」と呼ぶ。通常は不安定な原子核である不安定核種の、核壊変と呼ばれる長期持続的で小規模な核反応による発熱から電力を得る。核を動力源とする物体の推進運動を原子力推進(nuclear propulsion)と呼ぶ。鉄腕アトムなどの原子力ロボット、むつなどの原子力商船、原子力飛行機の他、各種の原子力ロケットが考えられている。不安定核種はすなわち放射性物質であり、打ち上げの途中で失敗すると上空から放射性物質をばら撒くことになるので人工衛星への搭載は民間では積極的には行われない。しかしながら、軍用衛星では事情が異なる。特に電力を使う軍用衛星はレーダー衛星である。レーダーを照射し、地形・高度・森林中の構造物・地下構造物・潜水艦などを発見する。運用効率の問題などから、太陽電池では全く電力不足になるため原子力電池または原子炉を使う。特に旧ソ連のコスモス・シリーズでは原子炉搭載型が多かった。問題は軍用偵察衛星の高度が低いことである。空気抵抗が大きく落下しがちなので姿勢制御用の燃料を大量に消費する。また姿勢制御自体が難しい。そのため落下の危険が大きい。実際に何基か落ち、放射性物質をばらまいている(コスモスに関する米国の発表)。それを防ぐためには、寿命が尽きる前に燃料を噴射して、何万年も落ちてこない遠くの軌道に移すなどするほかない。原子力を用いる施設、とりわけ原子炉や核燃料を搭載・使用する施設を核施設や原子力施設という。原子力物体や核施設での災害を防止し、安全を確保する施策を核防災や核保安(nuclear safety)という。核保安については、核施設での爆発事故や放射能漏れの防止は元より、2001年のアメリカ同時多発テロ以後には核テロリズムの防止策も討議されるようになっている(核セキュリティ・サミット)。
出典:wikipedia
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