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IMRAD

は、文章構成 (Organization) の型式 (Style) の名称の1つである。IMRADの名前は、Introduction, Methods, Results And Discussionの略に因む。その名前の由来通り、IMRAD型の文章は、その骨格部が、少なくともIntroduction, Methods, Results, Discussionの4つの部分に分かれることを特徴とする。主に実証研究に基づく自然科学、工学、医学、社会科学、一部の人文科学の論文において、この形式に従った章立てが、よく採用されている。IMRADは、文章構成 (Organization) の型式 (Style) の名称の1つであるIMRAD型の文書は、科学的方法に基づいた推論を記述 / 検証するのに適しているため、学術論文においてよく使われる。自然科学、人文科学、社会科学を問わず、実証分析に基づく論文では、ほとんどがこのIMRAD型の構成を採った形で学術誌に掲載される。また、論文以外でも、学会発表のスライドやポスターや、学生実習等のレポートでも、そのような構成がみられることがある。IMRADの名前は、Introduction, Methods, Results And Discussionの略に因むこの語源からも分かるように、IMRAD型の構成を取る文章は、基本的にはIntroduction(導入; I)、Methods(研究方法; M)、Results(実験結果; R)、Discussion(考察; D)の4つの要素をこの順番に並べた骨格を持っている。通常はIntroductionの前に、Title(タイトル; T)をおくことや、Discussionの後にConclusion(まとめ; C)を書くことがほぼ必須で、ほとんどの場合、Titleの後(Introductionの前)にAbstract(アブストラクト; A)が入るのが普通である。また、文章の要素という程ではないが、それに準ずる役割を担うものとして、文章の最後に、謝辞や参考文献一覧、脚注が書かれていることがほとんどである。そのため本記事では、骨格部分に加え、Title、Abstract、Conclusion等を含めた構成のことを、IMRAD型の定義とする。英語論文校閲業者 editage 社による解説記事には、それぞれの項目に以下のようなことが書かれるべきだと書かれている。もう少し詳細な情報を与えるため、表1にIMRAD型の構成要素の概略をまとめる。それぞれの項目にどのようなことを書くべきかについてのより具体的な説明は、それぞれの項目の要説に委ねる。なお、表1に挙げたことよりもより具体的な内容については、「問いと答えが繋がっていないような論文はダメな論文である」といったレベルの常識的な注意を除き、分野や文献、学者によって「どうすべきか」について解説に若干の温度差があることも念頭においておかれたい。表1: IMRAD型の文章の構成要素とその役割IMRaD形式の文章では「広い視点から研究の位置づけをするための話題」から話が始まり、「研究そのものの概要」、「研究方法」、「研究結果」を経て、再び「研究そのものの概要」、「広く一般的に見たときの意義付け」というように話が展開される。このような、IMRaDを取る文章に特有の論理展開や話の流れは、ワイングラスモデルによって説明される。ワイングラスモデルについて、ヒラリー・グラスマン-ディールは、自著において、以下のようなことを述べている。ワイングラスモデルの「上下対称形状」は、ストーリーの流れの対称性を示している。この特徴は、Introductionで紹介された話題が、形を変えて再び「Discussion/Conclusion」でも、その節に相応しい形で逆順で取り上げられることを表現している。ワイングラスモデルのもう一つの特徴、すなわち上図の横幅の変化は、話の「一般性」の変化を示している。一般的な話になればなるほど横幅が広く表現され、専門性が高くなり、焦点が絞られてくるにつれ、横幅が狭く表現される。科学の論文においては、(掲載されている雑誌の特段の規定がない限り)通常、論文はIMRAD型で書かれるものとして認識されているため、それを守らぬ論文は受理されない。また、査読のない雑誌や、紀要、その他口頭発表等において、読者(聴衆)はIMRAD型を想定して、読む(聴く)ため、そのような構成をとっていないと読者側に無視される可能性がある。このような話は、単なる偏見でも郷に入れば郷に従えという話でもない。そういう構成をとった方が科学的な議論をする上で便利だからである。IMRAD型で記述しているか否かが、科学的と見なされるか否かの分水嶺であるといっても言い過ぎではない。IMRAD型は多少のバリエーションを許す。MethodとResultが合体して1つの項目になっていることやResultsとDiscussionが合体して1つの項目になっていることもある。本記事では、このような、やや変則なものもIMRAD型と考える。さらに、最近ではNatureなどの総合学術雑誌に掲載されるに論文においては、Methodを最後に廻す構成、つまりIRDAM型になっていることがよくある。Methodを最後に廻す構成については、IRDAMという呼び方もあるが、本記事では、IMRADと本質的な違いがないと考え、特に強調を要する場合を除いてこれもIMRAD型単なるバリエーションの一つと考える。さらに、最近では、Materialを初め、詳細なデータ等のディテールを示した「Supporting Online Material」、「Supplemental Information」といったファイルを、各ジャーナルのWebサイト上に置き、購読者にオンラインで配布する方式もとられてきている。その理由は、Methodや、データを紙面の都合から省略せざるを得ないということが、捏造事件等の温床になったという反省がある。オンライン上の独立したファイルにすれば、執筆者には論文全体の論旨とのバランスを考えずに好きなだけ実験の妥当性やデータのありようについて詳細に説明する機会が与えられる。I、M、R、D、Cそれぞれが、どの見出しレベルの項目になるのかについては場合による。つまり、節であるべきなのか段落であるべきなのか、数文であるべきなのか1文であるべきなのか、あるいは文の中の数単語であるべきなのかはケースバイケースである。通常は段落レベルか、節レベルか章レベルのことが多い。ただし、各要素の見出しレベルは統一するのが原則である。つまり、通常は、字数制限などの特殊な事情がない限り、Iが段落ならば、MやRも段落とする、Iが節ならMも節とするなど、項目の見出しレベルを揃える。それぞれの長さ(字数)については、通常はRやDが長く、Mは短い等、長さにはばらつきがある。ある程度長い論文(Full Paperや学位論文等)では、I、M、R、D、Cそれぞれを章または節として扱うのが普通である。比較的短い論文(Letter等)においては、I、M、R、D、Cそれぞれが、節として明示されるには至らないほどの数段落の集まりのことが多い。それ以下の長さの場合(論文の予稿や講演要旨等)、場合によっては、1文の中にResultとDiscussionが並存する(単語レベルになる)ようなことさえありえる。また、それぞれの要素が結合(Result and Discussionのように)されることや省略されることがある。また、要素のうちいくつかが欠落するケースもある。例えば学会等において、「講演時に行うことは自説の解説ではなく、“自分達のデータにどういう解釈が可能なのかの議論”を行うべきだ」という立場をとる者らは、予稿にDiscussionを書かない場合もある。「文章構成の型式」とは、ここでは文章の中のあるまとまりを持ったひとかたまり(構成要素)を、文章の中でどういう役割を果たしているのか(機能面)から分類し、それらをどのように配列するのかを定めたルールのことである。文章構成のスタイルの名称の、例としては、IMRADのほかに、漢詩に由来する「起承転結型」や、能楽由来の「序破急型」などが知られる。IMRAD型はビジネス文章でよく使われる「序論本論結論型(Introduction, Body, Conclusion; IBC型)」の一種や、「起承転結型」の一種と説明されることがある。「起承転結型」、「序論本論結論型」の定義は、細部においては幅広いため、この2つを別と見るか同じと見るかは評価の問題であり、人によって、考え方が異なる。IMRAD型の構成は、序論本論結論型の構成をより詳細化したものと説明されることがある。序論本論結論型と、IMRAD型の比較例を、表2に示す。序論本論結論型それ自身の詳細は、に委ねる。表2: 序論本論結論型の文章の構成要素とその役割その他の形式として、IMRADほどまで分化していないが、IBC型よりかは分化の進んだスタイルとして、ライティング教育の現場でよく使われるFive-paragraph essayというものもある。逆に、単なるIMRADよりもより、細分化されたルールを持つIMRAD構造としては、APAスタイル(心理学、社会科学、看護学)、バンクーバースタイル(生命科学)、AMAスタイル(医学)等が知られ、それぞれ、独自の思想に基づいて洗練されていっている。IMRADとは明確に異なる形式としては、法学の分野の論文において好まれるIssue, Rule, Application, and Conclusion () といわれるスタイルや、いわゆるQCに関する分野、特に、医療の質・安全に関する分野で好まれるSQUIRE (Standards for quality improvement report excellence)などがある。いずれの形式においても、そのような形式が定まった背景には相応の思想と相応の歴史があるため、思想や歴史を理解したうえで使いこなすことが重要である。I, M, R, Dそれぞれの項目中に書かれる記載もある程度の類型化がなされている。個々の項目にどのようなことが書かれるべきかそれ自体については、それぞれの項目説明欄に委ねるが、ひとつの見方として「ムーブといわれる、特定の特徴を持ったかたまりが、有機的に結びついてIMRAD型の文章になった」というものがある。ムーブという概念は、言語学や文学における、分析手法のひとつのムーブ分析に関する概念である。ムーブ分析とは、手法の一つである。京都大学の田地野彰教授のグループの「京都大学学術論文コーパス」に関連した論文の構造分析に関する研究(主に大学での英語教育カリキュラムの開発に関する観点から)によると、現実の論文には、少なくとも以下の24個のムーブが存在するとのことである。表3: 論文にみられるムーブの例IMRAD型は、論理的な説明を行うフォーマットとして優れている。一般に、「論理的」といった場合には、以下に示すトゥールミンの三角ロジック(論理の三要素)を持っていることが要求される。この意味で、論文の骨格は、三角ロジックで表現可能である。IMRADと論理の三要素(三角ロジック)の関係を論じる前に、三角ロジックそれ自身について、最低限のことを、本文脈に沿って推理小説(推理マンガ)を例に概説する。「結論」(主張)と「結果」(推論過程)と、「根拠」(データ、証拠物件)の関係は、特に初心者にとっては難しいため、推理漫画の例を挙げ、例解したが、論文における「結論」(主張)というのは、推理小説の結論とは異なり、Resultsで示したデータがどのような傾向を示しているのか、あるいは、どのような意味を持つのかを箇条書きしたものであったり、何らかのモデルを立てた場合には「XXのモデルとよく一致した(あまり一致しなかった)」等といった事柄を記述したものであり、データからある程度素直に導き出されるものであることが多いことに注意されたい。主張(結論)や証拠となる事実は、論文ごとにまちまちで、類型化が困難であるが、推論過程の展開のさせ方については、一般的な論理の展開法のレベルで、ある程度の類型化が可能である。九州大学の井上奈良彦教授の講義ノートには、推論過程の展開のさせかたとして以下のパターンが説明されている。論文においても推論過程の展開方法それ自身は同様である。論理の三要素については、厳密なところを言い出すと様々な異説がある。本記事による解説は、ジョージ W. ジーゲルミューラーらの文献(特に57ページ)に準拠している。即ち、「論拠 (warrant)」という言葉を、「推論過程 (reasoning process)」として扱っていて、「反証」や「限定」などについては、省略する立場をとっている。「論拠」という概念よりも「推論過程」という概念を重んじる立場や、「反証」や「限定」が、本質的ではないとする立場(三角ロジック)を採用している。さて、本題である論文と三角ロジックの関係に戻ろう。論文の骨格は、「現状(背景)を分析し、問題点を抽出し、解決策を提示する」という[現状→課題→解決]型のストーリである。これに応じ、「背景の分析から問題点の抽出」に関する論理と、「問題抽出から問題解決」に至る論理があり、言い換えれば前者は「自分の論文が論じようとしている問題の価値」(研究の意義)を示す論理であり、後者は「自分のやった調査、研究、考究」の正しさ(研究の正しさ)を示す論理である。この意味で「論文には2つの大きな隠れたメッセージが書かれている」とも言える。1つ目は、「自分の研究の価値があること」、もう1つは「自分の研究結果は正しいものである」ということである。例えば以下のようにより細かく考えてみることもできる研究の意義(より正確には研究目的の意義)の説明は、通常は「過去の研究成果の流れを解説の後、その上で、何が明らかになっておらず、何が明らかになればどのような貢献が見出せるか」を説明する形で行われることが多い。実際、田地野彰によると、論文の背景をムーブ分析といわれる手法で分析すると、典型的には以下の3つのムーブから構成されている場合が多いとされる。これを三角ロジックの構造に当てはめるととなる。通常は、この論証はIntroductionの項目内で完結する。なお、第三のムーブに関しては、「研究の重要性の論証後」の話なので、上記の三角ロジックからは、若干はずれる。自分の研究結果は正しいものであることを示すためには、通常は2段階の論理を踏む。1つ目は、「データが適切な手法で測定され、適切な手法で処理されたものであること(cf.科学的方法)」に関する論証。もう1つ目は、「自ら取得したデータと、引用したデータ、理論が正しいと仮定すれば、それから導き出した自分の結論(論文全体の主張)は正しい」(これが論文の骨格となる論理である)ということについての論証である。「データが適切な手法で測定され、適切な手法で処理されたものであること」に関する論証は、通常は、Methodの中で完結し、からなる構造を持っている。測定方法の妥当性、統計手法の妥当性が、論文の論旨に照らし重要である場合には、Discussionパートで別途、詳細な議論を行う場合もある。次に、「結論の正しさ」についてだが、「結論」として提示される「論文全体の主張」は、通常Conclusion、Abstract、Discussionの少なくとも1つの中に記載されている。その根拠となる事実はResultの中に書かれている。論拠は、Discussionの中に書かれている。「論文全体の主張」については、必ずしも1つとは限らず、いくつかの論点に関する考察が並立して列挙されている場合もあるが、その場合にも、その根拠となる事実はResultの中に書かれている。論拠は、Discussionの中に書かれている(このような場合にはResultとDiscussionが結合されている場合もある)。科学的なプロセスにおいては、「リサーチクエスチョンをブレイクダウンして、検証可能な仮説を生成し、それを実験にブレイクダウンしてデータを得て検証する」(リサーチデザイン、概念操作化)ということがよく言われるが、「実験から得られたデータを解釈し、論点を生成したうえでさらにリサーチクエスチョンや考察にフィードバックする」という逆の流れもある。論文執筆前にこれらの両方の流れをスパイラルさせ、PDCAサイクルを回していくことで、論文や研究の価値や説得性が高まっていく。本節では、後者の「生データ⇒解析/可視化⇒気付き/論点の抽出⇒説明/理由づけ」といった流れ(データの解釈)に着目して解説する。論文の論理の骨格を軸に見る見方「論理の三要素」を前節で説明し、これは一つの要であったが(形式、論理面)、本節の内容はどのような論点でどの様なデータからどの様な知見を引き出すかの説明であり、内容面での要となっている。科学的な検討において、をする考え方は、正攻法である。現実の研究論文であれば、一般には「複数のデータから多面的に考察を組み立てる」、(仮に依存するデータが少なくても)「高度な理論によって導かれた式を使う」、「高度な統計処理手法を用いる」、「その分野に特異的な知識がなければその考察の内容自身が理解出来ない」といったことがあり(そうでなければマトモな結論を担保出来ない)が、比較的簡単で「少数のデータ」から「特段高度な予備知識を必要とせず」、「当たり前すぎて考察になっていないということはなく」、「学問的な妥当性が検証されている」例として、女性の労働力率のM字曲線があり、概ね以下のようなことが論述される。図表型の小論文問題、即ちに等において、上記のような能力が部分的/総合的に評価される。「与えられたデータに対し、その傾向や特徴を指摘説明する」ということに関して、ヒラリー・グラスマン-ディールは自著(P146)において、以下のように述べている。「図表型の小論文問題」の解説、や、「図表に関わるライティング」のテキストには、以下のようなことに注意するよう記載がある本節ではデータの解釈、即ち、データの解析/可視化から、傾向の把握や定式化、理由,メカニズムの推定に至るまでの流れに着目するが、「解析/可視化」とはここでは、等といったことが出来るよう、必要に応じ、規画化、指標化(エンゲル係数だとかGDPだとかBMIのようなもの)をして統計図表等にまとめていくことを意味する。例えば「ある国のCMの主人公の男女比は女性のほうがやや多いのに対し、別の国だと男性が女性の5倍にのぼる」といった対照性に気が付けば、様々な意味での国民性の違いに至るであろう論点が抽出される。「何かの部品が破断するといった不具合が生じた際、同種の未破断の部品を観察すると、ある特定の箇所に多数のクラックがあり、使用年数に応じてクラックの大きさが大きくなっていったといった特徴が見いだせた」といった場合には、破断のメカニズムや対策手段に繋がり得る論点が抽出される。このように、「解析/可視化」の部分は、「気づき」の部分であり、論文の論点を充実させる上で非常に大きな意味を持つ。「解析/可視化」について、類型化して例解する。尚、例には架空の研究(架空の研究と明示)が含まれる。また、出典のある研究も、類型の説明をするうえでわかりやすくなるよう、デフォルメを加えてある場合がある。測定される物理量間の関係は非線形最小二乗法等の手法でなんらかの曲線に回帰されることが多い。以下は統計ソフトであるカレイダグラフに登録されている定義済み一般回帰曲線の数式のカテゴリーの一覧である。他の統計ソフトでも同様の関数がライブラリとして登録されている。このように、様々な現象を表現するうえで扱いやすく、かつ現象の特徴をよくあらわした関数としてよく使われるものが100種類ほど存在する。曲線の形状そのものがいろいろな意味を示唆し、定型的な解釈を持つ曲線もいくつかある。例えば、人口の増加/科学反応が資源/基質の枯渇により飽和することを示すS字曲線、女性の労働力率の場合で用いられるM字曲線(女性の労働力率が結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し,育児が落ち着いた時期に再び上昇するという)ことを表す不良品の発生や時間経過に従って個体数の減少に関しては、バスタブ曲線やone-hit curve, two hit curve等の生存曲線,故障率曲線が適宜使われる。滑らかな曲線はなんらかの常微分方程式の解となっているが、常微分方程式を見てみるとその曲線を描く原因の推定メカニズムがわかることが推定できることがある。たとえばS字曲線の一例としてよく知られる、シグモイド関数の微分方程式は「指数関数を解とする微分方程式の比例項に、解曲線の値の増大に依存して減少する作用を加味する」ことで得られることから、本来は指数関数的に増加する現象において、増加に伴った阻害が生じたと解釈される。また、one-hit-curve は、1つの原因に伴う故障発生率をλ回/秒とした場合、時刻tにおける未故障の装置の台数がF(t)=exp(-λt)となることを意味するがこの考え方を利用してある種類のがんの未発症率の年齢依存性から、そのがんの原因が1つの遺伝子に起因しているのではないかと推定することが出来る下記の4点、即ちのうち、少なくともいずれか一つから得られた気付きや論点を掘り下げることで考察が生まれる。また、上記自体は、本来Resultに書かれるべきであろうが、これから得られた気づきや論点に対する簡単なコメントをする(実験速報型)に留める場合にはDiscussionと統合してResult and Discussionという節にまとめて記載したり、あるいはResultでは、データが何であるかの言及やMethodとの関係への言及に留め、上記4点をDiscussionに回すこともあり得る。そうでない場合にも、これらが意味するところを要約して、Discussionに記載する。気付きや論点を掘り下げる考察のやりかたとしては、に加え、例えば以下のようなものがあり得る。IMRAD型という考え方(構成方法)を知っておくことで、その構成方法を取っている文章を読む、(あるいはその構成をとることが望まれる)文章を書く上で、構成要素、その役割、それらがどう配置されるべきかについての理解が可能であり、論文を読む上で、とくに論旨を追う上で有益となる。より具体的に言えば、学術論文の構成要素おのおのの役割を判断、把握する上で役に立つ。ひいては、科学的な思考を理解する上で役に立つ。IMRAD型は、研究者が論文を読む過程での思考の流れとの相性がよい。IMRAD型を用いると研究者が欲しい情報が非常によく分かる。学術論文においてこの構成が好まれる理由はここにある。実際、この書式で書くことによって「主張」(ここでは物理量AとBの間にXXといった相関が見出せるだとか○○といった法則が見出せるといった話)と、「その根拠となる事実」、「根拠となる事実から主張に至るまでの推論過程」が非常に明確になる。また、その主張に対して、「だからどうした」という話も明確になり、どういう問題に対して寄与するのかも分かる。具体的な論文の読み方については人それぞれではあるが、研究室におけるジャーナルクラブなどを通じて口伝で教えられる読み方は、概ね上述の「三角ロジック」に相当するものを意識した上で、「どんな問題に取り組んだのか」「どういう方法でその問題に取り組んだのか」「著者はどのような解を与えたのか」などを大雑把に把握し、最後に、その解を導き出すにいたるまでの証拠を丁寧に文中から拾っていくという読み方である。まず、論旨の把握に関しては、以下のワークシート1に記載のような「論文で取り上げる問題の問題設定とその答え」に関する情報を論文中から抽出する必要がある。これらの情報のうち多くは、アブストラクトやイントロダクション等から得られる。言い換えれば上記の情報が把握できれば「最低レベルの読解」は出来ている(論旨が追えている)ことになる。この中で特に重要な情報は、意外と思われるかもしれないが、「何をつかって問題を解決するのか」「なぜそれで問題を解決できるのか」ではなく、「その論文の究極の目標は何か」と「究極の目標に近付くために、その論文ではどういう問題を解決するのか」、つまり問いの部分である。まともな論文であれば、問いの部分と解の部分がしっかり対応しているように書いてあるため、問いの部分が理解できれば結果自体は概ね予想の範囲内となるように(どんでん返しがないように)書かれている。そのため、「忙しい場合には、どういう問題に取り組んでどういう答えを得たのかだけを大雑把にでも理解すれば、とりあえず読んだことにしてもよい」と言うものもある。論旨の把握は、論文をI、M、R、Dに分解できれば機械的に出来るため、「研究方法」の講義においては、論文をI、M、R、Dに分解するワークが行われることがある。論文の内容をもう一段掘り下げる場合には、ワークシート1で抽出された情報の肉付けになる情報として、以下のワークシート2に掲げるような「問題解決の技法」にかかわる情報を抜き出していく必要が生じる。「論文の構造」に着目して上記の意味で「論旨を追うこと」は、英語自体の能力よりも重要である。無論(大半の論文がそうであるように)英語で書かれている論文の場合には、文レベルでの英語の読解能力が必要最低限のレベルに達していなければ論旨を追うことさえ難しいことは言うに及ばないため、そのレベルの能力は前提とされている。結果の詳細な理解に関しては、実験結果に関する理解、実験方法に関する理解、考察に関する理解がある。そのうち、本節では実験結果の理解について説明する。実験結果そのものについては、比較的定型的に理解が可能な場合がある。実験結果を理解する際には、を把握しておくことが重要である。これは、掲載されている統計図表を注意深く見るだけで、ある程度理解できるケースもある。特に物理学の論文に限定して言えば、大概の場合は「刺激と応答の関係」と「そのメカニズム」を論じているに過ぎないので、「実際に与えている刺激は、どのような物理量(力、電圧、熱等)をどのように(パルス的、長時間、周期的等)与えたものなのか」「その結果、どのような応答が現れたのか」を統計図表とそのキャプションを手掛かりに理解すれば実験内容の詳細も含め理解出来る可能性は高い。この際、重要なポイントは、実験結果、実験方法を特徴付ける主要なパラメータを定量的、網羅的に把握することである。また、科学的な論文でよく使われるグラフは、相関(時間的推移を含む)とばらつきを見るのが目的であることが多く、がほとんどであり、新聞、雑誌等に出てくるグラフに比べ種類が少ない。また、少なくとも円グラフはほとんど見かけない。理系分野では棒グラフは、エラーバーつきの棒グラフ(箱ひげ図)とヒストグラム以外ではほとんど見かけない。また、折れ線グラフも、散布図の特殊な例の1つに過ぎないが、時系列が固定された散布図、すなわちExcelの折れ線グラフ機能で作成されるような散布図はほとんど見られない。論文における望ましいグラフのあり方については実例付きで説明されているものがある。実験方法に関しては、最低限把握したい事柄としては、などがあるが、特に装置構成や測定原理は省略されることが多い。このような場合は、別途、特許文献、装置専門誌、専門書、メーカーのカタログや、総評的な論文を参照する必要がある。世の中にある様々な計測手法、作成プロセスの中には、原理が難しいものが多数ある。すなわち、「なぜその方法で、測定対象が測定できるのか」「なぜそのような方法で、そのようなものが作れるのか」をきちんと説明することが難しいことがある。特に後者については、論文の著者らを含め、世界中の科学者が、誰もきちんと説明できないような場合さえあり得る。しかし、例えば測定装置の装置構成や実験手順の把握だけならば、高校物理程度の知識で理解できるものがほとんどということにも注意したい。たとえば走査型トンネル顕微鏡(コンスタントハイトモード)は、装置構成の核の部分は、鋭利に尖った針と、前記の針を試料に対して水平に走査する機構と、試料 - 探間に電圧を印加する機構と、試料 - 探針間に流れる電流を測定する機構に尽きる。いずれも、高校物理程度の知識で理解可能である。この場合でも、測定原理やデータ解釈については、そこまで簡単ではない。最低限の測定原理を理解に留めても、少なくとも量子力学の初歩的な知識は必要となる。DNAの複製を行うPCR法も、装置構成や、実験の手順の把握といった観点からはそこまで難しくない。DNAの溶液にいくつかの試薬を加えた試験管に対し 数分間の間に50℃〜90℃程度のレンジで規則的に温度昇降させればDNAが増えていくというだけである。ただし、その原理の理解や、最適条件や、阻害要因の考察等を行うことは、少なくとも学部3年相当の分子生物学の知識が必要で、装置の設計は熱工学的に極めて難しいとされる。装置構成や実験手順のついては、論文自体にはっきりとした記述がなくても特許文献やカタログから情報を得ることができる場合もある。特許は、装置構成については近い時期に同一著者により別途特許文献が提出されている場合があるものの(下表参照)、論文に引用されない場合が多数なので調査時には注意が必要である。そのようになる理由の一つとしては、特許には権利書としての性格があり、裁判等で不利にならないような工夫をされている部分や、過去の判例等の影響を受けた記述の仕方をとることになるため、必ずしも科学的に正しいとはいえない記述が入り込む余地があり、よほどの場合を除き、論文の世界では「信頼性の高い文献」とはみなされない傾向があることによる。「論文の内容が分からないから参考文献をあたり、参考文献の内容も分からないからさらにそこから別の参考文献をあたる」という悪循環、あるいは「分厚い総評から始め、1冊を読み終わるのに1年以上かかりそれまで何も出来ない」ということは往々にしてある。このようなことを回避するために初心者は、指導教官もしくは先輩が良い研究結果を出している研究室等で研究をスタートさせた方が良い結果を得られやすい。「自分の研究をよりよくするための糧」「新しい研究テーマを考える上でのヒント」「基礎知識の収集」「論証の仕方(推論の仕方)を学ぶこと」を目的とした読み方が出来るようになった後には、批判的な読み方ということを要求される。「批判」というのは思いつきレベルであっては価値がない。批判的な読み方とは、具体的にはなどに着眼する読み方である。"Title"は、この論文で論じようとする内容(ほとんどの場合が主題)を簡潔なキャッチコピーにまとめたものである。この論文が読者にとって、調べているものかどうか、興味のあるものかどうかを判断するための素材を読者に与える。併せて、論文のヘッダー部分には、著者名や著者の連絡先等、書誌的情報も書かれる。書誌的情報の書き方は、投稿規定に大きく依存するため、各論文の投稿規定を確認のこと。以下に、架空の設定に基づく書誌的情報の記載例(タイトルを含む)を示す。主な構成要素は#1タイトル、#2著者一覧、#3所属機関#4コレスポンディングオーサとの連絡方法、#5キーワード、必要に応じ#6貢献度に関する補足が書かれ、それ以外にも論文を識別するための情報(doiやISBNコード)等様々なもの(今回は除外)が記載される。(但し所属機関についてはフットノートに書かれている場合もある。)このパートの具体的な記載法については、分野や論文誌に大きく依存するため自身の投稿しようとする論文誌の投稿規定を詳細に確認することが望まれる。尚、今回は初心者向けのために対訳と注釈を詳細につけるため表形式で記載し、解説上の便宜のため一文一文に番号を振ったが、現実の論文において本文が表形式になっていることはなく、まして一文一文に番号が振られることもないことに注意されたい。タイトルのつけ方(内容面)についてもいくつかの流儀がある。下記以外にもいろいろある。自身の投稿しようとしている論文誌の傾向を分析したうえで、どのようなタイトルにするか検討する必要がある。タイトルの形式面については、英語の場合は必ず最初の文字は大文字である。文の最後にピリオドや読点がないことが多いが、そうでないこともある。大文字と小文字の使い分けについては英語の場合以下の3通りのことが多い。詳細は自身の投稿しようとしている論文誌の投稿規定に従うべきである。著者名(#2)については、英文の場合「第1著者氏名,第2著者氏名,第3著者氏名...,and 最終著者指名」のように書く点はおおむね共通だが、英文の場合に限っても困ったことに非常に多くの流儀がある。投稿規定を確認のこと。オーサーシップについては、今回の例では、以下のような設定で書かれている。著者の順位については一部の分野では単にABC順の場合もあるが、通常は、記載された位置が研究への貢献度を示す。本例のように「記載された位置が研究への貢献度を示す」ような書き方の場合は、研究倫理の観点から様々な指摘が生じる場合がある。著者の種類は概ね以下のように分類される。表.書誌的情報の記載例(和文)及び英訳注:本記載は、飽く迄「学術論文における書誌的情報」を例示するために記載されたものである。原文英訳共、架空の設定に基づく架空の結果である。(Abovementioned are solely intended to a illustrate how to write the hedder part of academic paper. All descriptions of both Original text(column 1) and English translation (column 1) are based on hypothetical data.)この論文が読者にとって、調べているものかどうか、興味のあるものかどうかを判断するための素材を読者に与える。その意味ではタイトルと重複した役割を持つ。ただし、アブストラクトは1〜数段落程度からなる文章の集まりなので、Titleよりもより詳しくなる。Abstractが単体でIMRAD構造を取っていることも多い。このようなAbstractを「構造化抄録」という。前節に引き続き、前節と継続した内容の記載例を以下に例示する。以下の例示は架空の設定による架空の研究に基づく記載である。尚、今回は初心者向けのために対訳と注釈を詳細につけるため表形式で記載し、解説上の便宜のため一文一文に番号を振ったが、現実の論文において本文が表形式になっていることはなく、まして一文一文に番号が振られることもないことに注意されたい。表.アブストラクトの記載例(和文)及び英訳注:本記載は、飽く迄「学術論文におけるアブストラクトの書き方」を例示するために記載されたものである。原文英訳共、架空の設定に基づく架空の結果である。(Abovementioned are solely intended to a illustrate how to write abstract in academic paper. All descriptions of both Original text(column 1) and English translation (column 1) are based on hypothetical data.)さて、さらに例解するため、上記のアブストラクトの記載例及び、後述のイントロダクションの記載例から、本記事“論文の読み方とIMRAD”の章に記載されたワークシートに掲げられた情報を分析してみよう。以下の分析自体も飽く迄例示であり、人によって答えが若干異なることも予測される。Introduction(緒言、導入)では、コンテクストの確立、つまり「どのような方法で、何を、どこまで明らかにしようとするのか」といった、文章全体の見通しを立てる役割を担う。文章全体について大まかな理解を与えるという点では、アブストラクトと重複した役割を持つ。ただし、Introductionの役割の第一義は「問題提起を行う役割」や、「その問題に取り組むことの重要性を主張する役割」をもつことで、そこに最大限の重点が置かれることがアブストラクトとの決定的な違いである。人によっては「時間がない場合には「どのような問題提起を行ったのか」と「それにどのような答えが与えられたのか?」だけ読めばよい」とまで言うぐらいなので、問題提起、つまり問いを発する役割をもつこのパートは、見方によっては文章全体で最も重要な部分とも思える。序論の構成要素とその概略について、表4にまとめる。通常は、研究背景 (Background)、研究目的 (Objective) は必ず記述され、場合によっては研究方法 (Methodology) の概略及び結果の概略、結論の概略も記述される。なお、研究背景、研究目的等、それぞれの構成要素が、Introduction全体の中でどの程度の分量であるべきかについて、一応の目安を示す。研究背景、研究目的の部分は、Introductionの項目において最も重要となる項目である。そのため、研究目的が序論全体の2/10程度、研究背景が5/10程度がよいとされる。また、研究方法の概略、結果の概略、結論の概略がそれぞれ全体の1/10程度がよいとされる。記載の順番は、下表の通りとすることが多い。表4: Introductionの構成要素とその役割上記、表4の「研究背景」について、補足をする。研究背景とは、先行研究のレビューと同義と思って大方の場合差し障りない研究背景を述べる理由は、自分の研究の意義付けや、自分の研究の正しさを増強するためである。具体的には以下の少なくとも1つであることが多い。引用した論文については、方法の説明の省略を他の他の文献に委ねる場合等を除き、必ず本文で、比較、考察時に、引用した論文について、言及せねばならない。表.イントロダクションの記載例(和文)及び英訳注:上記の表に記載の文は、飽く迄「学術論文におけるイントロダクションの書き方」を例示するために記載されたものである。原文英訳共、架空の設定に基づく架空の結果である。(Abovementioned table is solely intended to a illustrate how to write Introduction in academic paper. All descriptions of both Original text(column 1) and English translation (column 1) of the abovementioned tabl are based on hypothetical data.)◆論文の中で使われる「疑問詞節」について
さて、上述の表に記載された例において、本論文の課題(目的)を述べている文(#13)において、「疑問詞節」が用いられていることに注意されたい。論文において、課題や目的論点を明確化したい際には疑問詞節を用いた文(疑問詞から始まる名詞節が文中の主語or目的語/補語or前置詞の目的語のいずれかの位置に置かれた文)がよく出てくる。また、他の人の論文が何に取り組んだのかを一言で説明したい場合(上記の例では使っていないが)にも、疑問詞節がよくつかわれる。しかしながら、中学以来お馴染みの限られたパタン(例えば後述の例3丁寧化や、例4の“no matter how〜”のパタン)を除き、解説が充実しているとは言い難いため関連表現を補足する。以下の例1,例2は、CDCニュースルーム(パブリックドメインに属する文書)からの引用。このような場合、疑問詞節の内部構造自体が平叙文の語順となっていることに注意。論文においても、質疑においても疑問詞節を用いた文の殆どは平叙文([例1]も[例2]も平叙文)である。疑問詞説が疑問文になる場合については、中学以来[例3]のようなパタンをよく見たと思うが、疑問詞節内は疑問文の語順(Where is the bank?)とは異なっていることに注意。以下のような、「疑問詞+不定詞句」のパタンは、「疑問詞“節”を用いた文」ではないが併せて理解しておくとよいであろう。また、他の類例として、(whetherは厳密には疑問詞ではいため以下の[例5-7]は疑問詞節ではないが、)whetherに導かれる名詞句や名詞節が文中の主語or目的語or補語or前置詞の目的語のいずれかの位置に置かれた文もアカデミック英語にはよく出てくることにも注意のこと。中学以来例7(アカデミック英語ではよくつかわれるとは言い難い)のパタン(「〜かどうかは私にはどうでもよい」)はなじみがあると思うが、それ以外は解説が充実しているとは言い難いため補足する。本項目では研究に用いた方法、手法について記述する。実験材料を必須とする理系の実験分野でがMaterials and Methodsあるいは俗に“マテメソ”とも言う。実験を伴う研究では、実験方法、実験の原理、装置構成、実験手順、解析手法、実験に用いた試薬、機器などの情報を書く。調査を行う研究では、調査対象の特徴(例えば「東京都の中学生」等)、標本抽出の方法(例えば、「無作為に100名抽出した」等)、調査の手法(例えば、「アンケート調査」)、「統計処理の手法」等について記載する。質的研究の場合には、フレームワークとなる考え方や、考察する際の着眼点について説明する。いずれの場合にも、必要に応じ、「考察に用いるための理論の概略」や、上記の事柄の概説(解説)も書く。「Introduction内の研究方法の概略 (MI)」では、「問題解決の着眼点、戦略を示すこと」や「その方法を選択した理由を述べること」が目的であったが、この項目では、具体的な実験方法等を述べることにより、序論で示した戦略を、戦術レベルにブレイクダウンする(人文系でよく言われる言葉として、概念の操作化をというものがあるが、これに相当する作業をここでおこなう)。この項目の役割は、実験方法の妥当性などを主張するために必要な材料を提供し、他の研究者が、実験を実際に再現する、あるいは頭の中で実験方法を再現 / イメージするために必要な情報を与えることである。この項目に記載すべきことは、などである。また、必要に応じて、考察の展開に必要な理論的な準備を記載する。理論的な準備のために、Theoryという項目を別途用意する場合がある。項目"Theory"を用意する場合は、通常は、Methodの前に置く。「Introduction内の研究方法の概略 (MI)」を省略した場合には、場合によっては「問題解決の着眼点を示すこと」や「その方法を選択した理由を述べること」もここで行う必要がある。必要に応じ、予備知識の補足を与える場合もある。予備知識の補足を行う場合には、説明するべき概念の、等を説明することが考えられる。予備知識に関する情報を与える場合には、研究目的、研究方法、読者層を意識して何を書くかを検討する必要がある。つまり、どこまでを自明としてよいかは、論文の内容に強く依存する。論文の作法の常識に立つと、このような研究背景で先行研究内での磁場の定義をまとめた上で、ResultやDiscussionでどのような立場に立つのがよいのかをしっかりと述べる必要がある。理論的な予備検討や、解析に用いる手法の道具立て等を目的として、Theoryなどといった項目を置く場合がある。数式を利用すると、言葉では説明しにくい、誤解を招くことがある事柄を明確に記述でき、込み入った説明を行う場合には分かりやすい記述ができる。一方で、「見た目」がいかつくなり、一般向けの書物では「数式が1つ増えるごとに読者が半減する」といわれる。また、特にショートレターでは式変形等の過程をあまり詳しく書かない傾向があるが、式変形等の過程に飛躍が多いと、数式を使うメリットが半減する。「測れるもののみが科学の対象」といわれるように、実験方法そのもの、即ちどうやって測ったのかは論文の命である。実験方法の正しさは、正しい測定原理と、それを実現する適切な装置構成、適切な実験手順、適切な条件設定、適切な精度評価に支えられる。測定原理の妥当性や、装置構成の妥当性、精度の評価はそれぞれの学問における最も本質的な議題の1つである。この中で、特に測定原理の妥当性は最も重要である。測定原理の妥当性は、直接測定(例えば自分の身長を直接身長計で測る場合)の場合にはあまりその重要性が意識されないが、間接測定(例えば三角測量で山の高さを測る場合)には、その妥当性(本当にその方法で山の高さが測れるのか)が極めて重要になる。また、「何を明らかにするために何をするのか」という研究者が意識すべき重要な事柄にも密接に関係する。「Method」の本分は、「誰にでも分かる実験マニュアル」を公開することではなく、測定原理、装置構成、精度の妥当性について論証するための資料を提示することである(論証そのものは、考察に廻すことのほうが一般的である)。すなわち、第一義に重要なことは得られたデータに「種も仕掛けもない」ということを示すことにある。したがって、「種も仕掛けもないこと」が明らかな場合、言い換えれば実験方法としてはあまり目新しいものではない、あるいは既に他の文献で充分詳しく説明されている事柄の場合には、必要な文献を引いた上で簡素にまとめるにとどめてよい。何でも開け広げにすればよいというものではない。そのようなことをした場合には、かえって逆に何が本質なのかが分からなくなってしまう恐れもある。重要なことはあくまで、実験方法を開示することによって、実験結果の妥当性などを主張することである。無論、だれもが「種も仕掛けもない」と信じていたとしても、実は後になって「アーチファクト」であることが分かる場合もある。そういった場合にもこの項目をきちんと書いておくことで、「Aという実験をすればBというデータが得られる」という事実だけは残るという点で、無用な混乱が避けられる、あるいは「アーチファクトの詳細」という別の意味では重要な知見を得るうえで役に立つ結果が得られる。Methodの項目では、図表として、等が、記載されることが多い。実験手順などを図解した図、即ち俗にいうポンチ絵は、このパートにおいて、きわめて重要であるため若干補足する。まず、通常、このような図面は、模式的であることが多く、構造や構成の特徴が顕著にわかるように記載するのが望ましい。また、寸法そのものが重要な場合には、機械図面の一般的なルールに従った記述がなされる場合もある。また、模式的な図面であっても、機構系の論文で特に、構造が重要な場合には、機械図面の基本的な知識、例えば、第三角法やハッチング等の知識を仮定している場合がある。しかし、テクニカルイラスト、特に模式的な構造、構成説明用の図面の書き方そのものについて記載した文献は少ない。類似の目的の文献としては、まずは、機械図面に関する文献であり、第三角法やハッチング等については、示唆するものが大きい。一方、模式化、簡略化という観点からは、意識の違いが存在する。模式化、簡略化という観点からは、俗にいう「パース」といわれる分野の文献にいくつかの記載がある。その他には、テクニカルイラスト作成によく用いられるソフトウェアのマニュアルから、作成方法そのものを見るといった方法も考えられる。テクニカルイラスト作成によく用いられるソフトウェアとしては、パワーポイント等のオートシェイプは比較的ポピュラーである。オートシェイプでは、俗に「黄色いハンドル」といわれるもの(「調整ハンドル」)を操作することで、比較的複雑なテクニカルイラストを作成できるが、国際誌に投稿される論文においては、Illustratorや、場合によっては3D-CADを用いた図面が用いられることもある。概して、測定原理、装置構成、精度の妥当性の評価を行うことを目的とした論文以外の論文では、博士論文等のような大著の論文を除き装置構成そのものの説明、実験手順の説明およびその妥当性や装置構成の詳細、測定原理の妥当性については、軽く触れるにとどめるのが普通である。酷い場合は、1行程度の簡単な記述しかない場合もある。このようになった原因の1つには、知的財産権に関する戦略や、二重投稿と解釈されることへの懸念などがある。論文に実験方法を詳しく書いた場合で、既に実験方法の妥当性を示すために提出した論文(理論や装置に関する論文)や、特許が存在した場合には、二重投稿と処断される可能性がある。また、論文に実験装置の構成について詳しく書きすぎると、実験の成功に関して必須でない部分に関しても装置構成に関する新規性が喪失されることになる場合があるなど、特許との兼ね合いの問題もある(詳細は次節で述べる)。最近では論文と特許は類似性の高いものを同一著者が同時期に提出したとしても二重投稿とはカウントせず、現実的な対応がとられるようになりつつある。また、最近では、Methodやデータの省略が捏造の温床となったという反省から、電子版の論文には、本文とは別ファイルでSupporting Materialや、Supplemental Information等といった補足資料をオンライン上に公開し、実験方法や、実験結果の詳細を説明するケースも増えてきている。Methodsの記載例を以下に例示する。本パートでは「follow」、「above」、「below」、「abovementioned」、「aforementioned」、「are described」、「are as described」 のような「情報の参照先を示す」表現が多用される。科学的な実験においては、実験のデザインが重要である。すなわち、必要に応じ以下のような情報が提示される必要がある。それぞれのグループにおいて、得られた結果をそのような場合の記述例を以下に挙げる(本例は架空の研究に基づく)。なおここでは解説のために、表形式にして、文に番号を振っているが、現実の論文において本文が表形式になっているわけではない。以下は、架空の研究について、Methods部分に実験プロトコールを記載した例である(例は架空の研究の架空の結果である)。なお、ここでは解説のために、表形式にして、文に番号を振っているが、現実の論文において本文が表形式になっているわけではない。Resultには、論文にて議論されるデータを記す。データは、整理され、さらに可視化された状態で記される。通常、データは、表やグラフの形でまとめられる。また、データに関する事実(どのような条件で得られたのか、何と何との関係を示すデータなのか等)を記す。さらに、簡単な説明(データの特徴や、注目すべき点等)を記すことがある(データの説明は、どこまでが結果で、どこまでが考察なのかに、グレーゾーンが存在する。)。先に説明した、「論文全体の三角ロジック」においては、「根拠」に相当することを記載する。具体的には、実験、調査の過程で得られたデータのなかから、この論文の主題に鑑み重要であるものを、Discussionパートにおける議論を組み立てる上で過不足なく抜粋して掲載する。実験データに加えた統計処理や、統計図表中の記号等の説明も、必要に応じて行う。実験結果の記載方法は、いくつかの類型化が可能であるが、書き方のスタイルによらず、図表に示したデータに関して、「このデータは何を測定したものなのか」、つまり「どのような装置をどのように操作すればよってどのようなことが起きたのか」、「何を測定したらどんな値が得られたのか」が分かるよう、「実験操作と、実験データの関係を、客観的な文章で説明すること」、必要に応じて、実験データの顕著な特徴等も説明しておくことが望ましい。また、Discussionパートでは、後述のように(cf. "Discussion"の役割と構成)論点をいくつか挙げた上で、それに基づいてデータを比較、分析する。したがって、データの挙げ方はDiscussionパートにおける論点との対応が明瞭になるように挙げなければならない。つまり、掲載するデータは、「Discussonで議論するために必要な素材」を全て含んでいなければならない。逆にいえば論旨に無関係なデータは、読み手を混乱させるので、本文には掲載しない方がよい(スタイルに規定がない場合には附録に付けるのは良い)。この章は、実験方法と実験データの対応を付けるという意味では、先述のMethodとの境界に不明瞭な箇所があり、現実には、MethodとResultは結合されることがある。さらに、後述のDiscussionとも結合されることがある。以下、この項目の構成について典型例を三種類述べる。最もよく使われる形態は、「論理的な順番で記載」する手法である。このスタイルでは「実際に実験を行った順番」は完全に無視し、次章の考察を説明する上で、読者が分かりやすいように説明する。通常、実験データの説明に関しては実際に実験を行った順番(時系列)を重視する必要は、一般にはない。「Aを調べた後Bを調べた」というのと「Bを調べた後Aを調べた」というのでは、時系列としては異なるが、Aの測定(調査)後にBを測定するのと、Bの測定後にAを測定するのとで、実験結果に差異が認められない場合には、分かりやすい順番で記載した方が良いとされる。例えば、「全国の小学生のここ10年間の身長の変化」と、「鹿児島県の小学生のここ10年間の身長の変化」は、実際にはどちらを先に調べたとしても、相互の結果に影響しないので、論旨に応じて「鹿児島について調べた後全国を調べた」、あるいは、「全国について調べた後、鹿児島について調べた」としても問題がない。「鹿児島を調べていたら、特徴的な傾向が見られたので、全国と比較した」という論旨なら、実際に調べた順番において「全国の小学生の身長」が先であったとしても「図1に鹿児島県の小学生のここ10年間の身長の変化を示す。赤色の点はそれぞれの年の小学一年生の身長の平均値…(中略)図2に全国の小学生のここ10年間の身長の変化を示す。(以下略)」のように、記載するしてよい。なお、よほど調べた順番が重要な場合を除き、どの順番でデータを取ったかは論文には書かないのが普通である(混乱させるだけなので)。このようなスタイルで、実験結果を記載する場合には、考察と結果の章が結合されることもある。多数の実験を行っている場合には、どのデータがどの実験の結果なのかを読者が把握しきれなくなる可能性があるため、Methodとの対応を重視する場合がある。総じて規模の大きな研究論文でこのような記載が行われることが多い。このスタイルでは、「どのような装置をどのように操作すればよってどのようなことが起きたのか」を重視して記載する。そのためMethodと結合されることが多い。Aを測定したあとBを測定したのと、Bを測定した後Aを測定したのとによって結果が異なる場合には、(例えば、校正データの開示など)「何々をした後何々をして」というように、実際の実験を行った順番通りに実験結果を記載する場合もある。考察や、実験手順との対応を重視した結果、結果的に時系列での記載となってしまう場合も無論あるが、(そうした方が分かりやすい場合もある)総じて幼稚に見えるので、あまり推奨されない。Resultで掲載するデータは、グラフの形で表現することが多い。科学的な論文でよく使われるグラフは、物理量の相関(時間的推移を含む)と、測定値のばらつきを見るのが目的であることが多く、が用いられることが多い。統計図表のありかたについては、「論文の読み方とIMRAD」の項で既に言及しているため、以降論文おいて、望ましいグラフのありかたについては、例えばやに実例付きで説明されている。比較的新しい書物では、グラフ、図表の多用を推奨している場合が多い。実際、データがたくさんあった方が根拠の信頼性は増す。一方、古い文献では、図表の多様を推奨しない記述がなされている。この背景には、図表を組版する際の出版社側の負担の大きさが挙げられている。組版の負担は、現在では、そのようなことは問題にならないが、90年代前半までは深刻な問題であった。実際、90年代前半までは二次元分布図や等高線図は手書きのことすらあった。最近ではパソコンの進展により、コンピュータで作られるのが普通で、原著論文にも頻繁にカラフルな2D mappingが掲載されている。しかし、ソフトウェアの

出典:wikipedia

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