オオクワガタ(大鍬形、"Dorcus hopei binodulosus")は、コウチュウ目・クワガタムシ科・オオクワガタ属・オオクワガタ亜属に属するホペイオオクワガタの亜種であり、日本では最大級のクワガタムシである。 飼育下においての繁殖法が確立されているものの、乱獲(特に材割り採集や生息木の洞の破壊)により多大な被害を受けた種である。その拡大した被害状況は新聞などの報道でも多数報じられている。これら乱獲や丘陵地の開発や森林伐採などにより野生個体の生息が危ぶまれており、2007年には準絶滅危惧種から絶滅危惧II類に引き上げられた。体長: 野外ではオス20-76.6mm、メス22-48mm、飼育個体ではオス89.0mm(調子オオクワガタ倶楽部)、メス58.0mm(川西市産)との記録がある(2016年現在)。日本列島全般と近縁種が朝鮮半島から中国北東部にかけて生息している。日本国内においては、ほぼ全国的に分布するが、生息地域はブナ帯の原生林やクヌギの台木(台場クヌギ)林に集中し、局所的である。島嶼部では対馬のみに分布していることから、中国大陸・朝鮮半島・対馬・日本本土が陸続きだった最終氷河期の頃に南下分布した可能性が高いと考えられている。日本産オオクワガタの成虫は、ゴールデンウイークから梅雨明け頃に活動を始め、ほとんど夜行性で、昼間はクヌギ・アベマキ・ナラ類・カシ類・ニレ類・ヤナギ類などの樹液が出る大木の樹洞などに隠れている。性質は臆病で、危険を感じると、すぐに洞(うろ)に隠れる。飛ぶことも滅多になく、住処(すみか)を変える際か灯火に引き寄せられる場合を除いて限定的なものと推測されている。樹洞を縄張りとしたオスの元にメスが次々と訪れる生活を夏季に送り、交尾の後、受精したメスは大木の立ち枯れなどに飛来し、産座を築いたり、トンネルを掘って、その内壁に産卵する。また、産卵中のメスは肉食傾向が強くなり、他の昆虫を捕食したり、また同種の死骸を食べることもある。9月末から10月くらいになると、成虫は越冬態勢に入り、翌年の5月頃まで活動休止する。野生個体の生活環は生息域により異なるが、甲信越や関東では、2年1化1越年(幼虫で2年過ごし夏に羽化後翌年まで静止する)で、孵化から3年目の初夏に活動を開始し、成虫は繁殖活動後も越冬を繰り返す。なお寿命は長く、飼育下で5-6年生きる個体も珍しくない。幼虫は堅めの白色腐朽材に見られ、ニクウスバタケ・カワラタケがついたクヌギ・エノキ・カシ類の硬い大木や朽ち木の地上部に多い。また、コクワガタとの間に雑種(通称オオコクワガタ)ができることが知られており、自然下でもごく稀に採集される。人工飼育で作出することもできるが、幼虫での死亡率が非常に高く、また性別が極端にオスに偏る。オオコクワガタは、主にオオクワガタ♀と、コクワガタ♂が交配して生まれるが、逆の場合もある。大きさと形はオオクワガタに近いが、やや細身で脚部等がコクワガタに似るという特徴がある。クワガタブームの先駆けになった種で、以前は "黒いダイヤ" と呼ばれ大型個体が高値で取引された。1mmの体長差でも大きな価格差が発生したこともあり、マスコミ報道やドラマの題材などでしばしば取り上げられた。現在では大きさだけでなく、各部のバランス・顎幅なども重視されるようになった。一時期の高値は飼育技術の発達により現在においては鳴りを潜め、本種のペアがペットショップ等でも数千円程度で販売されている。ただし、ブームによる乱獲や生息地の破壊などで、野生での個体数は年々減っており、2007年には環境省レッドリストにおいて準絶滅危惧から絶滅危惧II類に引き上げられた。ブリーダーによる累代飼育が大変盛んに行われているため、種として絶滅の恐れはないが、野生種保護の観点から、主に幼虫の生息する壊死部や腐朽部のある広葉自然林の保護が必要である。山梨県の韮崎市や大阪府豊能郡能勢町は、大都市に近いこともありオオクワガタの有名な採集地となっていたが、乱獲の影響を受け新聞などの報道もなされた。また福島県桧枝岐村も生息地として知られるようになり、それに佐賀県筑後川流域、岡山県を加え、これらは愛好家の間で五大名産地とも呼ばれる。なお十和田湖周辺や東海地方の木曽三川流域なども注目されており、これらは○○産として半ばブランド化している。能勢町や兵庫県川辺郡猪名川町阿古谷産に大顎の太い個体が多いとされるが、それらが本当に野生個体であるかどうかの検証は十分なされていない。近縁種である・グランディスオオクワガタ・ホペイオオクワガタなどと交雑し、遺伝子汚染をもたらしているため、外来種・国産を問わず、飼育個体は野外に放ってはならないと呼びかけられている。本種はヒラタクワガタ類と並んで噛む力が強い種類ではあるが、反面飛翔性がミヤマクワガタやノコギリクワガタほど高くなく、それら二種のクワガタムシのような分布範囲を拡げたり、交雑を避ける能力が低いので、地元で採集、もしくは採集個体から生まれた個体でない限り、放虫は厳禁である。元来オオクワガタは、"hopei"(ホペイオオクワガタ)、"binodulosus"(オオクワガタ)が、共に"curvidens"(クルビデンスオオクワガタ)の亜種とする考え方が支持されていた。しかし、"curvidens"(基亜種)と"hopei"(亜種)が中国の同じ産地で採集されるなど、この考え方に疑問を持つ声が高まり、オオクワガタを巡る分類の議論は紛糾した。国立環境研究所の主任研究員である五箇公一と小島が2002年に行った、ミトコンドリアDNAの解析による分子系統樹が発表され、従来博物学的知見などから述べられていた通り、日本産のオオクワガタは朝鮮半島と中国の一部に産するビノデュロサスオオクワガタと同じ亜種であることが分かった。近縁種は、台湾に棲むタイワンオオクワガタと、ラオス・インド・ベトナム等に棲むグランディスオオクワガタであり、中国本土のホペイオオクワガタとも近い。しかし、従来日本産の学名になっていたクルビデンスオオクワガタとは、ミトコンドリアDNAの解析からも、また交雑試験からも全くの別種と分かり、亜種関係を見直した結果、現在は"Dorcus hopei binodulosus"の学名で呼ぶのが適当とされる。なお"curvidens"も"binodulosus"も、雄成虫に見られる1対の眼上突起に基づく命名である。和名でオオクワガタと付けて呼ばれる種には、この他にも、クルビデンスオオクワガタ・リツセマオオクワガタ(旧名パリーオオクワガタ)・アンタエウスオオクワガタ・シェンクリンオオクワガタなどが知られるが、オスの大アゴの発現型と、そのニッチ以外に遺伝的共通点は少ない。なおオオクワガタ属"Dorcus"の属名の元となったパラレリピペドゥスオオクワガタは小型種で、オオクワガタ属に統合されるまで別属扱いだった。
出典:wikipedia
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