メイスン・ヴァージャー () は、トマス・ハリス著『ハンニバル』に登場する架空の人物。レクターの被害者の中で数少ない生存者で、ハンニバル・レクター殺害に執念を燃やす。映画ではゲイリー・オールドマンが演じた。父親であるモルソン・ヴァージャーの精肉事業を受け継いだ、ボルチモアの大富豪である。しかしメイスンは、ただの二世経営者でなく、経営者としての能力は極めて高いものである。マスクラットファームの自宅では為替や売り上げを示すグラフが写るモニターが幾つもあり、そこから枕元のマイクで指示を出すという経営形態をとっている。さらには食肉に適した豚の品種改良に直接指示をする等、生物学にも高い知識があるようである。また、レクター殺害の為に創られた凶暴な猪もメイスンの高い知識の賜物である。しかし一方で特殊な性癖を持つ異常者である。自らの財力にものを言わせ貧困家庭から子供を自宅であるマスクラットファームに強制的に招待し住まわせている。そして、連れて来た児童に対し「可愛いペットが死ぬ」等、脅しをかけてその時の苦悩に喘ぐ表情を楽しむ癖がある。さらに、その子供が流した涙をマティーニに入れて飲むなどの異常な行動もみられる。そして前述した通り、レクターの被害者の中で数少ない生存者である。その為、自身の立場を利用してFBIよりも早くレクターの情報を手に入れる等、レクター殺害に並々ならぬ執念があり、原作では「レクター殺害後の人生をどう楽しむか」という主旨の発言をしている程である。なお、殺害にはメイスン自身が開発した凶暴な品種の猪を用いた残虐な方法を考案している。映画版では登場しないがマーゴ（Margot）という妹がいる。マーゴもまた、レズで筋肉質な体を持つ個性的な人物である。なお、メイスンは最期には殺害されてしまう。原作と映画では死に方が全く違うがどちらも壮絶なものである。メイスンとレクターの出会いもまた、メイスンの性癖が高じた為だった。それは、メイスンが子供に対する性的虐待で有罪判決を受けたことで精神科医の治療を受ける必要があった。そこで治療医として現れたのがレクターだった。メイスンはレクターに惹かれ、ある日オウイングス・ミルズの自宅へ招待する。自分のお気に入りの快感の増すおもちゃを見せ、更には自慰に至った。それを見たレクターの反応から「レクターを自分の思い通りにできる」と思い込み、そこに媚薬や麻薬が調合された特殊な薬をレクターに投与され、自ら顔の皮を剥ぎ取るように暗示をかけられる。そしてけしかけられた犬に顔面を食べられてしまい、自身の力だけでは瞬きも出来ず、破裂音も発音することができない顔にされた。さらには首の骨を折られて四肢が麻痺し、生命維持装置なしには生きられない体になってしまった。映画では顔の皮を剥ぎ取ったのは、陶酔した状態でレクターの言うままになっていたメイスン自身であり、レクターが主犯であるのは変わらないが、メイスンは従犯的な役割の実行犯であると同時に被害者でもある（ただし劇中では基本的に被害者扱いである）。レクターへの復讐はメイスンに対し犯した罪を死罰として償わせる方法で、すさまじい苦痛を伴う。
用いられるのは前述した通り、凶暴且つ食欲旺盛に品種改良された猪であり、通常ではありえない数の臼歯と象牙の様に曲がった犬歯を一対持つ。さらに、パブロフの犬の原理で特殊な条件反射（悲鳴を上げた人間を食べる）をするように調教されている。
方法はまずレクターを磔にして足のみを猪に食べさせ、その後死なない様に処置をして七時間後に全身を食べさせるというもので、足を食べられた後の七時間は「こくのある点滴（痛みが増す特殊な覚醒剤）」を投与し苦痛に歪む表情を楽しむという残虐なものである。
しかし、クラリスの邪魔が入り最終的には失敗。メイスン自身も命を落としてしまった。メイスンの最期は前述した通り、原作と映画では異なる。原作では積年の恨み（性癖を強要する等の虐待）を持つ妹マーゴに顎を砕かれペットのウツボを無理やり口に入れられ喉を食い千切られ死亡する。映画では自分の執事であるコーデル（Cordell）がレクターに唆され、車椅子ごと豚舎に落とされ、自ら創りだした猪に食べられ死亡する。映画化においてはゲイリー・オールドマンが起用された。グロテスクな特殊メイクのままの為、素顔が見えないがオウイングス・ミルズの自宅へ招待するシーンのみ彼の素顔を見ることができる。吹き替え版ではソフト版が中尾隆聖、TV版が樋浦勉がそれぞれ担当ドラマ版ではジョー・アンダーソンが起用された。なおドラマ版では負傷前のアンダーソンと妹も登場する。

出典:wikipedia