欠陥住宅(けっかんじゅうたく)とは、日本の住宅の類例。建築基準法・建築基準法施行令・関連告示を満たしていない住宅、設計図(意匠図・構造図・設備図・工事仕様書・特記仕様書など)のとおりに施工されていない住宅、安全性・快適性・使用性などの観点から通常の居住に支障を来たす住宅などのことを示す。このうち、建築した当時は建築関連の法令を満たしていたが、法改正などにより現在は満たさなくなったものは既存不適格と呼び、欠陥住宅には含めない。また、経年変化による自然劣化(木材の乾燥収縮による狂い・ひび割れや、コンクリートやモルタル仕上げの乾燥収縮によるひび割れなどで軽微なものなど)も、欠陥住宅には含めない。欠陥住宅の種類は多種多様であるが、近年で特徴的なのは、見える部分は徹底的に美しく作るが、見えない部分は徹底的に手抜きをし、コストを削減したものが多いことである。例えば、木造で言えば釘やホールダウン金物や断熱材、鉄筋コンクリート造で言えば鉄筋の使用量やコンクリートの品質、鉄骨造で言えば鋼材の品質や溶接の種類が典型的な例である。これらは日常では気づかないが、耐震性に劣るなど、居住者の安全を脅かすものである。最近では構造計算書を偽装した欠陥住宅があるが、これについては、別途構造計算書偽造問題を参照のこと。ここでは、代表的な欠陥住宅の例を紹介する。基礎の根入れ深さ(埋め込み深さ)は、ベタ基礎の場合12cm以上かつ凍結深度以上、布基礎の場合24cm以上なければならない。これは土を少なくとも12cm又は24cm以上掘らなければならないことを意味する。一般的には基礎の下に割栗石や捨てコンクリートを敷くので、それ以上掘らなければならないことになる。しかし、土の掘削手間や土の廃棄コストを省くため、根入れ深さが浅かったり、全く土を掘らないことがある。このような欠陥住宅は、地震時に家が移動したり転倒したりしやすい。また、土の中の水分が凍結するたびに、家が基礎ごと持ち上がったりすることを繰り返し、徐々に家は変形・破損してゆく。ホールダウン金物は地震時や台風時に柱が土台や梁から抜けるのを防ぐために必要不可欠な補強金物である。ホールダウン金物は、建設省告示1460号の表、又はN値計算、又は構造計算に従って正しく選定し取り付けなければならない。しかし、ホールダウン金物が全くなかったり、建物の四隅にしかなかったり、通し柱にしかなかったり、1階の柱脚(柱の下部)にしかなかったり、2~3階がすべて省略されていたりすることが多い。詳しくはホールダウン金物のページを参照。このような欠陥住宅は、地震時や台風時に柱が引き抜け、家がバラバラに分解してしまう。特に阪神・淡路大震災では、ホールダウン金物の不足した木造軸組工法の住宅に被害が集中した。使用する釘の種類の誤り、例えば鉄丸くぎ(N釘)や2×4用太め鉄丸くぎ(CN釘)を使わなければならないところに、誤って細いロール釘(NC釘)や梱包用鉄釘(FN釘)を使ってしまうことがある。特に検査が厳重な場合でも、釘の種類までは検査しない場合が多いため、この手の欠陥はかなり多い。また、釘の間隔を守らなかったり、釘頭が構造用合板などの面材にめり込んでいることもある。詳しくは釘のページを参照。このような欠陥住宅は、耐力壁が不足し、耐震性・耐風性が低くなる。また、家が常時揺れるなどの支障も来たしやすい。外壁下地には主に構造用合板や構造用パネルや火山性ガラス質複層板などを打ち付けるが、これを省略し、軸組みに直接透湿防水シートやサイディングを貼ってしまう。床下地には主に構造用合板を打ち付けるが、これを省略し、梁や根太に直接フローリング等の仕上げ材を貼ってしまう。このような欠陥住宅は、耐力壁が不足し、耐震性・耐風性・断熱性・気密性・防音性などが低くなる。また、家が常時揺れるなどの支障も来たしやすい。断熱材の厚さに法的な規定は無いが、地域に応じて適切な厚さが推奨されている。また、断熱材は建物をすっぽりと覆うように取り付けなければならず、壁と床下と最上階の天井(天井に入れない場合は屋根)のすべてに隙間なく入れなければならない。しかし、最も安くて薄いグラスウール10Kの厚さ50mm品を使ったり、隙間だらけに入れたり、床下部分や天井部分を省略したりすることがある。また取り付け方も問題がある。袋入りグラスウールの場合、室内側の防湿層を、柱および間柱の見付け面に、袋の耳を重ね合わせるようにして、200mm間隔で留め、壁の中に室内の湿気が入り込まないようにしなければならない。しかし、グラスウールを壁の中に押し込んでいるだけであったり、留め方が不十分であったりする。このような欠陥住宅は、断熱性・気密性が低く、夏暑く冬寒い。また、冷暖房効果が悪く、光熱費がかさむばかりでなく、省エネルギー性が低く、地球環境にも厳しい。また、足元が冷えたり、トイレや浴室が極端に寒かったりするなど、高齢者の健康にも悪く、心臓発作などを起こすリスクが高くなる。さらに、断熱材が薄いと、結露も起こしやすい。取り付け方が悪い場合には、壁の中に室内の湿気が入り込み、壁内結露を起こし、木材や断熱材を腐らせる。壁の場合、防水シートは下のシートに上のシートをかぶせるようにして重ねて貼ってゆかなければならない。しかし、サッシ周辺の複雑な場所などでこの順序を間違えたり、防水処理が不十分だったりして、サッシ周辺部から雨漏りする例が多い。屋根の場合、屋根勾配が不十分であったり、屋根形状が複雑であったりすると雨漏りが発生しやすくなる。デザインに惑わされず、使用材料に応じて、屋根勾配や屋根形状を適切に設計する必要がある。このような欠陥住宅は、雨漏りの被害があるが、そうでなくても、壁の中や天井裏に水が流れ、木材を腐らせる。鉄筋の数量を減らしたり、細い鉄筋に変えたりする。これは、2005年頃に鉄の価格が3倍程度に急騰したことから、コスト削減のために行われる。また、鉄筋の数が多すぎて、柱や梁の中に入りきれないという場合もある。後者の場合は、いわゆる設計ミスであり、柱や梁をより太く設計する必要がある。このような欠陥住宅は、耐震性が低いばかりでなく、通常時でもひび割れが多く発生したり、内部の鉄筋を早期にさびさせたりする。いわゆるシャブコンは、現場において水増ししたコンクリートである。水増しは、コスト節約のためや、コンクリートがパイプ内に詰まるのを防ぐために行われる。特にポンプ打設の際の圧送距離が長い場合や、夏場で暑い場合、コンクリートがすぐ固まってしまうので、シャブコンが使われやすい。このような欠陥住宅は、耐震性が低いばかりでなく、通常時でもひび割れが多く発生したり、内部の鉄筋を早期にさびさせたりする。フローリング等にはいわゆる防音性能の低いものや高いものがあり、マンションなどの集合住宅では、防音性能の高いものを使うことが求められている。しかし、コスト削減のため、防音性能の低いものに替えることがある。このような欠陥住宅は、防音性能が悪くなる。指定より強度の低い鋼材を使用する。これは、2005年頃に鉄の価格が3倍程度に急騰したことから、コスト削減のために行われることがある。鋼材の品質は、外見上は区別がつかない。突合せ溶接でなければならないところを、隅肉溶接で済ませてしまう。隅肉溶接は突合せ溶接に比べ、極端に強度が低いが、外見上は区別がつかない。しかし、超音波検査をすることによって発見することはできる。このような欠陥住宅は、耐震性が低く、地震時に、柱や梁の接合部(溶接部分)が容易に破断してしまう。いったん欠陥住宅のトラブルに巻き込まれると、明確な違法建築でない限り欠陥住宅であることを認めなかったり、裁判が長期化するなど、消費者が不利になることが多い。最悪の場合、実費での補修や建て替えを余儀なくされることがある。このため、デザイン・設備の立派さ・価格の安さなどに惑わされず、次のことを重視する必要がある。
出典:wikipedia
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