ハブ空港(ハブくうこう、、拠点空港)は、広域航空路線網の中心として機能する空港である。航空路線網を自転車などの車輪に例えると、車輪の輻部分が「航空路」、轂部分が「空港」に当たることからこの名称が付いた。ハブ空港という言葉には2つの定義がある。双方に共通するのは、航空路線網が自転車の車輪のハブとスポークのように張り巡らされ、航空機の離着陸回数が多く、規模の大きい空港である、という点である。航空機・整備場・要員などの効率的な使用や乗客・貨物の効率的な輸送を可能とするため、多くの路線を持つほとんどの航空会社はどこかに拠点空港を持っている。また航空会社によっては、拠点空港ではないが、拠点空港に準ずる機能を果たす空港を焦点空港と位置付けているところもある。拠点空港や焦点空港のステータスは、各航空会社の事業戦略によって決まるものであり、必ずしも空港の規模や設備がこれを左右するものではない。例えば、成田国際空港は日本航空と全日本空輸の他にも、アジアに広範な路線網を持つデルタ航空やユナイテッド航空が拠点空港(航空会社ハブ空港)としている。一方、アメリカ有数の大空港であるジョン・F・ケネディ国際空港はデルタ航空と新規参入のジェットブルー航空のみが拠点空港としているのみである。したがって、拠点空港・焦点空港のステータスは、航空会社の事業内容の変化に沿って変わることがしばしばある。デルタ航空は過去にケネディ空港を拠点空港としていたが、1990年代中頃からはソルトレイクシティ国際空港に巨額の設備投資を行ってこれを拠点化し、ケネディ空港を降格した。しかし、2005年のハリケーン・カトリーナによって、同社が強い地盤を持っていたアメリカ南部の経済が揺らぎ始めると、テキサス州のダラス・フォートワース国際空港の拠点機能を解消し、これに代わってケネディ空港を拠点空港に再昇格した。大手航空会社の拠点空港のうち、特に重要な拠点空港としては、デルタ航空におけるハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港、ミネアポリス・セントポール国際空港、アメリカン航空におけるダラス・フォートワース国際空港などが知られる。こうした大型の拠点空港では、発着便の7割以上を単一航空会社が占めている。拠点空港(広義のハブ空港)の概要は上に示したとおりであるが、本来の意味で正確にハブ空港と呼ぶには、これらに加えて、航空網の中継を役割とする空港であり、航空ダイヤの接続が機能していなければならないという条件が付く。ある短時間に各地からの到着便が集中し、空港ターミナルビル内で素早く旅客を乗り継ぎさせたそのすぐ後、再び短時間で各地への出発便が飛び立って行く。このようなダイヤを組むことにより、旅客は各々の目的地へ短い乗り継ぎ時間で行くことができる。この仕組は、ハブ・アンド・スポーク・システムとしてアメリカ合衆国で編み出された。最初にハブ&スポークの構築を行ったのは、貨物輸送のフェデックスである。このシステムをデルタ航空が旅客輸送に利用したのが、今日のハブ空港とそのシステムの誕生の嚆矢である。その成功を受けて、1978年の航空自由化を機に、アメリカ国内の大手航空会社に広がっていったのである。このようにハブ空港では、短時間に大量の発着機と旅客を扱わなければならないため、それ相応のキャパシティを求められる。具体的には以下に示したような条件が求められる。以上の意味のハブ空港としては、日本航空や全日空が成田空港をハブとしているとは言い難く、実質成田をハブとしているのはデルタ航空とユナイテッド航空のみといえる。デルタ航空は、北米から成田経由でアジアへ飛ぶ便が数多くあり、2008年2月現在のダイヤで見ると、13:55にホノルルから到着するNW9便を皮切りに15:55にデトロイトからNW11便、16:05にポートランドからNW5便と、19:30のサイパン発NW75便まで約15便が到着する。一方、17:25発の釜山行きNW29便を皮切りに広州、香港、北京、上海、マニラなどアジア諸都市へ約2〜3時間後に出発していくため、北米〜アジア間の接続が確立している。これがハブ空港の本来の姿である。また、これらの乗り継ぎは同一航空会社によって行われなければならない点、特定の航空会社がその空港を拠点として利用している点も、厳密なハブ空港の要素のひとつである。例えば、ロサンゼルス国際空港は発着便数も多く、空港規模も大きい。さらに乗り継ぎの利便性も高い。しかし、主要な運航の拠点としている航空会社が存在しないため、ロサンゼルス国際空港は、拠点空港ではあっても、厳密にはハブ空港ではない。この条件を厳密に満たしている空港・航空会社の組み合わせとなると、世界的には多くなく、アメリカ合衆国においてさえもデトロイト(デルタ航空)やシカゴ(ユナイテッド航空)など数えるほどしかない。アメリカの他には、香港(キャセイパシフィック航空)、ソウル/仁川(大韓航空とアシアナ航空)、マニラ(フィリピン航空)、バンコク/スワンナプーム(タイ国際航空)、シンガポール(シンガポール航空)、ドバイ(エミレーツ航空)、フランクフルト(ルフトハンザドイツ航空)などである。また日本には、この意味でのハブ空港は成田国際空港(デルタ航空、ユナイテッド航空)以外には存在しない(ただし、関西国際空港が2014年春をめどに、フェデックスによる貨物のハブ空港化を目指している)。世界の主なハブ空港(単なる拠点空港であるものも含む)を以下に示す。なお、上記の狭義のハブ空港(本来の意味でのハブ空港)に該当する空港は太字で示してある。拠点空港都市とは英語の「ゲートウェイ都市 (gateway city)」に相当し、ある特定の広域地域の要として機能し、その地域への表玄関となる空港または都市を指す言葉である。ロサンゼルス国際空港には、全米各都市からの航空便のみならず、隣国のカナダやメキシコからの便、そして北太平洋路線に就航するアジア諸国からの便や、南太平洋路線に就航するオセアニア諸国からの便が多く発着する拠点空港である。そのため同空港は、単にロサンゼルス市の空の玄関口という機能以上に、アメリカ西海岸の表玄関として性格を持っている。ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港やロンドンのヒースロー空港も、同様に各広域地域における表玄関としての性格を持ち合わせている。拠点空港都市の地位は、ある空港が当該の広域地域でどの程度要としての機能を果たしているかによって、自然に決定する。東アジアの拠点空港都市を例にとると、成田国際空港は1978年の開港以来、東アジア諸国と北米諸国を結ぶ航空便の多くが発着する拠点都市として機能してきた。近年、長大な滑走路を複数備えた香港国際空港(1998年開港)と仁川国際空港(2001年開港)が次々と運用を開始している。また、日本国内でも中部国際空港の開港(2005年)や関西国際空港の開港(1994年)と拡張(21世紀に入ってから逐次)、さらには東京国際空港の再度の本格的な国際化(2010年)とハブ空港化の画策などの要素もある。これに対して、成田国際空港は、2本目の滑走路の建造(2002年)およびその延伸(2009年)などを行い、空港能力の引き上げを図っている。このようなことから、今日では東アジアの拠点空港都市の競争は激化している。同様の例は、西ヨーロッパにおけるシャルル・ド・ゴール国際空港、アムステルダム・スキポール空港、フランクフルト空港の間にも見られる。拠点空港都市の地位を巡るこうした競争は、各国に巨額の財政的負担をもたらす一方で、結果的には空港設備と広域航空網のより一層の拡充をもたらすものとなっている。
出典:wikipedia
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