ペチジン(、別名:メペリジン、)は、系の合成オピオイド鎮痛薬の一つである、1939年にドイツで抗コリン薬として合成され、その後鎮痛作用が発見された。中枢に作用して鎮痛作用を示す。塩酸塩として経口、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射で用いられる。中等度又は重度の疼痛に対する鎮痛薬或いは麻酔前投与薬として使用される。日本での商品名は「オピスタン」(田辺三菱製薬)又は「ペチジン塩酸塩」(武田薬品工業)。米国では多くの医師に使用されており、1975年の調査では60%の医師が急性疼痛に、22%の医師が重症慢性疼痛に処方した。鎮痛作用、呼吸抑制作用はモルヒネよりも弱い。モルヒネに比べてペチジンはより安全で、依存性が弱く、推定される抗コリン効果に因って胆道痙攣やへの有効性は高いと思われていたが、これらは後に全て幻想であった事が判明し、少なくとも依存性リスクは同等で、胆道痙攣や腎疝痛への効果は他のオピオイドに優越せず、毒性を持つ代謝物()の為に他のオピオイドより毒性、特に長期投与時の毒性が高い事が明らかとなった。ノルペチジンはセロトニン作用を持つので、他のオピオイドと異なりペチジンの副作用にはセロトニン症候群がある。ペチジンは日本で麻薬に分類されている。米国では1970年に規制物質法でスケジュールIIの麻薬(9230)に指定されている。ペチジン合成の中間体A、B、Cも ACSCN9232、ACSCN9233、ACSCN9234 として規制されている。1961年の麻薬取扱条約に記載されており、殆どの国でモルヒネと同一の管理下条件に有る。経口薬は、「激しい疼痛時に於ける鎮痛・鎮静・鎮痙」に用いられる。注射薬では更に、での使用が認められている。ペチジンは分娩で最も広く使用されているオピオイドであるが、他のオピオイドが開発されると米国等の一部の国では頻用されなくなった。薬物相互作用(特にセロトニン作用)及び神経毒性を持つ代謝物、が生じる為である。英国やニュージーランドでは今でも広く用いられており英国では分娩時の使用が推奨されている。ペチジンは腸の管腔内圧力を低下させるので、に対しては好ましい鎮痛薬である。下記の場合には禁忌とされている。重大な副作用には、薬物依存、呼吸抑制、錯乱、譫妄、痙攣、無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫、麻痺性イレウス、が有る。注射薬では更に、ショック、アナフィラキシー様症状が挙げられている。ペチジンでは一般的なオピオイドの副作用である嘔気、嘔吐、鎮静、眩暈、発汗、尿閉、便秘が起こるが、抗コリン作用の為縮瞳は発生しない。呼吸抑制等のペチジン作用を解毒する為にはナロキソン等の麻薬拮抗薬が使用される。抗鬱薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬やモノアミン酸化酵素阻害薬を服用している患者では、セロトニン症候群が発生する。経口的に長期間ペチジンを服用している患者では、血中ノルペチジンが集積して痙攣発作が起こる事が多い。過量投与時には、筋弛緩、呼吸抑制、感覚鈍麻、冷たく湿った肌、低血圧、昏睡が生じる。経口服用時でも注射時でも、過量投与すると死亡する事が有る。ペチジンは、フラゾリドン、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、プロカルバジン、セレギニン、トラニルシプロミンといったモノアミン酸化酵素阻害薬と重大な相互作用を生じる。これらの薬剤を服用中の患者には、興奮、譫妄、頭痛、痙攣、異常高熱が発生する危険が有る。米国ではが発生した。ペチジンに因り脳内セロトニン濃度が上昇するとされる。上記の他にも筋弛緩薬、抗鬱薬の一部、ベンゾジアゼピン系薬物、エタノールと相互作用する。モルヒネと同様に、ペチジンはμ-オピオイド受容体アゴニストとして作用して鎮痛効果を齎す。ペチジンは屢々、麻酔後振戦の治療に用いられる。この抗振戦作用の機序は完全には解明されていないが、κ-オピオイド受容体刺激作用が関係しているものと推定される。ペチジンの構造はアトロピンやトロパンアルカロイドに類似しており、それらの効果や副作用をある程度持っていると考えられる。オピオイド作用や抗コリン作用の他にも、ペチジンはとの相互作用に因る局所麻酔作用が有る。ペチジンの"in vitro" での抗痙攣作用はその局所麻酔作用に因る。"in vivo" では抗痙攣作用は無い。ペチジンには(DAT)及び (NET)の阻害作用に基づく刺激作用も有る。DAT阻害作用の結果、ペチジンはコカインと生理食塩水を区別する訓練を積んだ動物に於いて、コカインであると錯覚させる。等、DAT及びNETを阻害する事でモノアミン神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン)再取り込みを阻害するペチジンアナログが幾つか合成されている。セロトニン症候群の症例からセロトニン作動性神経との相互作用が示唆されているが、決定打となる実験結果は得られていない。ペチジンはモルヒネよりも脂溶性が高いので、作用発現までの時間が短い。臨床効果の継続時間は120〜150分であるが、通常は4〜6時間間隔で投与される。重症疼痛或いは体動又は咳嗽に伴う疼痛に対するペチジンの有効性は、モルヒネ、ヘロイン、よりも弱い。他のオピオイド薬と同じ様に、ペチジンは身体的依存又は精神的依存を起こす可能性が有る。他のオピオイド薬とよりも濫用される様に思われるのは、投与後に効果が発現する迄の時間が短い為であろうか。オキシコドン、、偽薬と比較すると、ペチジンを健常者のボランティアに投与した場合の幸福感、集中困難、混乱、精神運動機能障害、認識能力低下の程度は一貫して他より大きかった。特に重篤でペチジンに特徴的な副作用は、痙攣、譫妄、不快感、振戦等のセロトニン症候群である。これらの症状は主に、又は完全に、代謝物の一つであるにより引き起こされる。ペチジンは速やかに肝臓で加水分解されてになるが、一部は脱メチル化されてノルペチジンとなる。ノルペチジンの鎮痛効果はペチジンの半分であるが、半減期は8〜12時間とペチジンより長いので、投与を繰り返すと体内に蓄積され、腎障害の原因となる。又、ノルペチジンには痙攣誘発作用と幻覚作用が有る。代謝物に因るこの毒性は、ナロキソンやナルトレキソン等のオピオイド受容体拮抗薬では相殺出来ないので、間違いなくノルアドレナリンの抗コリン効果が原因であり、アトロピンとの立体構造の類似性に起因するものであるが、薬理学的には完全には解明されていない。ペチジン代謝物の神経毒性は、他のオピオイド薬とペチジンとの大きな違いである。ペチジン代謝物はグルクロン酸抱合されて尿中に排泄される。米国ののデータに拠ると、有害・危険なペチジンの使用は1997年から2002年に掛けて減少しており、フェンタニル、モルヒネ、オキシコドンの増加とは対照的である。米国内でのペチジンの紛失又は盗難は2000年には32,447単位であったものが2003年には37,687単位と16.2%増加している。世界保健機関(WHO)が1994年に出版した『アルコールと薬物の用語集』("Lexicon of alcohol and drug terms" )には、ペチジンは、“hazardous use”、“harmful use”、“dependence”と記載されている。WHOの定義では、最初の2つの用語が濫用、3つ目の用語が依存性を意味している。最初の定量的構造活性相関(QSAR)の研究は、モノアミン再取り込み阻害薬の芳香族置換基を変更すると親和性がどの様に変わるかに焦点が当てられた。特に注意すべき点は、"p"-ヨウ化物とβ-ナフチル誘導体の DAT(ドーパミン輸送体)阻害活性/SERT(セロトニン輸送体)阻害活性 比 である。マウスを用いた行動活性研究では何れの化合物もコカインの代替とはならず、LMA(歩行活動)刺激薬として不活性であった。これはメチルフェニデート類縁物質がコカイン様の特徴を示した事と直接対照的である。アリール基はDAT親和性が望ましいか否か又はSERT親和性が必要か否かで選択可能である。ペチジン(当初はメペリジン)は最初は選択的SERT阻害(DAT非阻害)薬として発見された。続いて実験されたQSARでは、芳香環が"m,p"-Clフェニル基に固定された。メペリジンのエステル結合は体内で速やかに加水分解される。A fourth paper on 3,4-ジクロロフェニルメペリジンの4番目の論文が2010年に出版された。初の合成鎮痛薬として、1939年にドイツで開発された。日本で薬価収載されたのは原末(経口薬)が1955年1月、注射液が1956年9月である。
出典:wikipedia
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