枕営業(まくらえいぎょう)とは、業務上で付き合いのある人間同士が、性的な関係を築くことによって、物事を有利に進めようとする営業方法のことである。文化によっては正当な等価交換と見られ、必ずしも不道徳・不正でない。性的な関係に至らなくても、同じ業務をするなら好意を抱く人間を選ぼうとするのは心理現象(脳の影響)であり、好意の結果の業務便宜なのか業務の派生としての好意なのか区別がつきにくいため、また、本当の恋愛関係に発展する事もあるため、強要・淫行・売春等犯罪行為が伴わない限りは規制は不可能に近い。「枕」とは、本来は就寝に使用する代表的な寝具の1つにすぎないが、この言葉が「寝る」ことの換喩となっているため、次第に性行為、売春などの意味合いで用いられるようになった。古くは、江戸時代における「枕芸者(まくらげいしゃ)」や「枕附(まくらつき)」、「枕金(まくらきん)」などの隠語、同衾(どうきん=性交の古語)を意味した「枕を交わす」や「枕を重ねる」といった言葉の用法などに見ることができる。隠語の「枕営業」は現代において、特に性的な魅力(セックスアピール)や擬似的な恋愛(感情労働)などを利用することで成り立つ業種、ホストクラブやキャバクラなどの水商売や風俗店、芸能界やマスメディアに関連する業種などで多く使用されている隠語である。ただし、世間的に広く知られている隠語であるため、一般の業種やインターネット上の会話などでも通用する隠語となっている。枕営業は、業務上の利害関係にある人間同士が性的な関係を築き、例えばセックスを交換条件にして物事(交渉や契約などの商行為)を有利に進めたり利益を得ようとする営業方法であるため、不道徳・不正行為と見られやすく、それに係わった人間や組織(会社)などを主に揶揄したり侮蔑する目的で使用される場合が多い。つまり、性的な関係を構築する方法をそれなりの実力が必要な営業手法と見做さず、「実力によらない、ルール外の営業手法」と見做す文化が多く存在しているという事である。なお、交換条件としてのセックスについては、双方の合意による和姦の場合もあれば、片方からの強制(強要)や職権の乱用(セクシャルハラスメントやパワーハラスメント)による強姦の場合もある。ただし、和姦と強姦の境界線を厳密に定義したり立証することは困難であるため、マスメディアなどで報道される際は根拠のない噂話や都市伝説、誹謗中傷や風評被害といった名誉毀損の可能性を含む悪質なゴシップとなることも多い。また、和姦の場合は、結果的に愛人や妾(めかけ)といった恋愛感情が含まれる関係に発展する場合がある。一方で、金銭の授受や利益誘導などが立証された場合は、裁判などで明らかな売春行為として看做される場合もある。枕営業の類義語には、「肉体を使った接待」を略した「肉体接待(にくたいせったい)」や「肉接(にくせつ)」、「裏接待(うらせったい)」などの隠語がある。また、「裏営業(うらえいぎょう)」や「夜の営業(よるのえいぎょう)」などといった隠語もある。俳優への対価の場合、キャスティング・カウチ()とも言う。枕営業として該当する事例を挙げる。ちなみに、枕営業を持ちかけたり求めたりする人間は男性の場合もあれば女性の場合もあり、それらの相手を紹介したり唆したりする第三者が介在するような場合もあるので、該当者の性別・年齢・役職などの立場は一様ではない。 また、不道徳であることや、賄賂やハニートラップなどの教唆(共犯)となる可能性を避けるため、該当者となる人間自身は枕営業という隠語を直接は口に出さず、交換条件がセックスであることや、それによって得られる利益や本来の目的などは具体的な言葉として明言しない場合もある。以下、マスメディアにおいて実際に「枕営業」という隠語を使用して報道された事例や、海外で枕営業に相当する報道の事例を挙げる。なお、大概の報道において事実を確認することは困難であり、特に「内部関係者」などという匿名者が情報源であった場合は事実の確認がほぼ不可能といってもよい。従って、枕営業という隠語を使用した報道があった場合、かえって噂話や風評被害の拡大原因になってしまうことも多く、また、情報源となった人間の売名行為と看做されるような場合もあるので、報道合戦が過熱した場合やインターネット上で拡散していく伝聞などについては充分な注意が必要である(「メディアリテラシー」を参照)。日本の芸能界では古くから枕営業など性接待が行われている。かつては興行を取り仕切る暴力団と関係の深い芸能会社によって、興行などを巡る枕営業・性接待が常態化していた。1970 - 1980年代には、俳優のスケジュールを押さえるため映画会社やプロデューサーが女性を用意して枕営業で接待することが横行しており、当時の芸能界を振り返って歌手の泉谷しげるは「接待を断ると「お前はホモか」などと言われてしまう」「習慣だから。長年そうだったから。俺のちょっと先輩達はそういう習慣できちゃってる」と明かしている。近年の事例は以下の通り。韓国では、枕営業に相当する言葉に「性上納( ソン・サンナプ)」がある。2009年3月、韓国版「花より男子」などへの出演で有名な韓国人女優チャン・ジャヨンが自殺した(チャン・ジャヨン自殺事件)。その自殺直前に、彼女がマネージャーに手渡していた手紙(チャン・ジャヨン文書)があったとされ、その中には性上納を強要した人物リストがあったとされる。これらの事件をきっかけに、韓国の国会議員による事件関与の暴露や元マネージャーが自殺未遂で逮捕されるなど、警察の捜査状況と共に日本でも話題となった。また、2009年の「チャン・ジャヨン自殺事件」をきっかけとして、韓国放送映画公演芸術家労働組合が実施した人権侵害実態調査にて「調査対象の19.1%が、自分あるいは仲間が性上納を強要されたことがある」との報道があった。2010年に韓国の国家人権委員会の「女性芸能人人権状況の実態調査(対象者:351人)」は、女性タレントの6割が「肉体的接待」求められた経験があると報告し、芸能プロダクションの資格を厳格化することや人権教育を行うことを提言している。また、2011年には韓国で開催されたミスコンテストに参加した英国人少女が韓国人主催者から性上納を求められたことを告発し、国際問題となった。2014年にも「ミスアジアパシフィックワールドコンテスト」で優勝した16歳のミャンマー人女性が、韓国の主催者から豊胸手術と性上納を求められ、拒否したことを告発した。また「性接待」(성접대)ともいい、2004年春川地方法院判事性接待事件()、2010年検事性接待事件()、2013年大韓民国高位層性接待事件()などが起こっている。以下、マスメディアにおいて実際に報道された国内の判決事例を挙げる。なお、枕営業の立証は非常に困難であるものの、金銭の授受や利益誘導による賄賂罪や恐喝罪に該当した場合、または売春防止法や児童福祉法に抵触するような不正行為が認められた場合には逮捕や有罪の判決理由となることが多い。
出典:wikipedia
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