志賀原子力発電所(しかげんしりょくはつでんしょ)は、石川県羽咋郡志賀町にある北陸電力の原子力発電所。北陸電力が唯一保有する原子力発電所で、能登半島中部の西側、志賀町の赤住(あかすみ)地区に位置している。発電所の山側には、発電所で使用する工業用水用のロックフィルダム「大坪川ダム」が設置されている(北陸電力が管理)。志賀原子力発電所には施設周辺の環境を配慮する形で、海底トンネル方式の放水路・取水路、一文字方式の防波堤(潮流への影響を少なくするため)が採用されている。この取り組みが評価され、1995年に原子力発電所としては初めてグッドデザイン賞を受賞している。北陸電力は、1965年の長期計画の中で、将来の電源構想として原子力発電を盛り込み、原子力発電所の用地選定を進めた。その中で、能登半島の4か所を候補地として選び、発電所建設の地盤・地質に適した志賀町の赤住地区と富来町の福浦(ふくら)地区を選定した。赤住地区は当初から発電所建設を受け入れる方針であったため、1967年に調査用地の買収が行われた。反面、福浦地区は建設に反対し、北陸電力は福浦地区での建設を断念。1970年に赤住地区のみで建設計画を進めることになる。だが、建設に同意した赤住地区でも反対意見があり、建設計画は長期間停滞する。1980年代後半になると、地質調査が行われてからは発電所建設の流れが進み、1988年に発電所が着工。1993年に原子力発電所を保有しない沖縄電力を除く電力会社9社では後発の原子力発電所が開設された。1号機および2号機とも、想定される地震の強さは600ガル、津波の高さは5m。志賀原子力発電所の1号機では、プルサーマルの導入を計画しており、2010年6月28日に石川県に対し、実施申し入れを行っている。2011年現在、2015年度を目途に1号機でのプルサーマル導入を目指しているが、北陸電力会長の永原功は「震災もあったし、九州や北海道でもやらせ問題もあったので、当面は無理」と発言し、志賀原子力発電所での導入の凍結を示唆した。この発言に対し、北陸電力はプルサーマル計画を凍結していないと公表。ウラン資源の有効利用やエネルギーの安定供給などの観点から「ウラン燃料のリサイクルは必要」としている2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震によって発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故に対し、北陸電力が3月18日に発表した対応では当初、想定される津波の高さが5mで発電所敷地(原子炉建屋)の標高が11m確保されているとして防潮堤の設置は行わないとしていた。翌月の4月8日に公表した追加の対策として、非常用電源車の配備の他に新たに発電所敷地前と海水ポンプ前に4mの防潮堤を追加で設置するなど、今後150億円を掛けて対策することを決定した。なお、2011年4月現在、1号機は同年2月28日にポンプ部品の不具合で運転を停止中、2号機は地震当日の3月11日から定期検査で運転を中止しており、現在は両機とも運転再開の目途が立っていない。志賀原子力発電所における事故としては1999年6月18日に1号機でおきた臨界事故がある。国際原子力事象評価尺度(INES)はレベル2。当日は定期検査のため停止中で、制御棒は挿入状態であり原子炉の蓋は開放状態にあった。制御棒の制御装置は水圧式のピストン構造になっていて、手動で行う場合は挿入ラインのバルブ及び引き抜きラインのバルブの開閉による水圧調節で行われる。正しい手順として本来は「水圧逃がしバルブを開いて水圧を下げた後に」挿入ラインのバルブを閉じるべきであったが、人為ミスにより水圧逃がしバルブを閉じたまま挿入ラインのバルブを閉じたため、相対的に引き抜きラインの水圧が上昇し、制御棒が引き抜かれはじめた。3本の制御棒で同様の誤操作があったために予期しない臨界が始まった。直ちに制御室で緊急停止釦を押したが、点検中だったために「水圧制御ユニットアキュムレータ(緊急的に制御棒を挿入する安全装置)」が無効化されていたために作動しなかった。そのために作業員が閉じられた挿入ラインのバルブを手動で開いて制御棒を挿入して臨界の停止に成功した。外部への放射能漏れはなく、臨界していた時間は15分間だったとされている。人為ミスの要因としては、初めてバルブを操作する操作員が配置されていたという点及び、手順書に「水圧逃がしバルブを開く」という手順が記載されていなかったことの複合が原因だったとされている。国への臨界事故の報告は直ちにおこなわれておらず、2007年3月15日になってこの事故の存在が明るみに出たために、臨界に至った事故を隠蔽したと批判を受けている。経済産業省はこの事故を重大事故と見て、事故の発覚時に北陸電力の社長であった永原功を同日16時に呼び出し、志賀原発1号機の運転停止を命令した。北陸電力は同日18時から運転停止作業に入った。臨界事故の隠蔽が発覚してから北陸電力は、信頼回復の一環として、これまで富山県富山市の本店にあった組織の一つ「原子力部」を発電所のある志賀町に移転させて「原子力本部」を新たに設置。同時に、石川県金沢市に「地域共生本部」を設ける機構改正を2007年6月27日付で実施した。2012年7月、原子力安全・保安院の専門家会議において、発電所敷地内のシーム(亀裂)が活断層である疑いが指摘され敷地内破砕帯の追加調査の指示を受ける。2016年3月3日、原子力規制委員会の有識者調査団は、2015年7月の調査報告書で「活動性は否定できない」としたが、別の専門家から意見をも踏まえ「活動したと解釈するのが合理的」とする新たな報告書案をまとめた。。2016年4月27日、原子力規制委員会は有識者会合の1号機原子炉建屋直下の断層について「活断層と解釈するのが合理的」とした報告を受理した。この報告書がくつがえらなければ1号機は再稼働できず、2号機も大幅な耐震工事が必要となる。
出典:wikipedia
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