カ(蚊)は、ハエ目(双翅目)糸角亜目カ科(学名: )に属する昆虫である。ナガハシカ属、イエカ属、ヤブカ属、ハマダラカ属など35属、約2,500種が存在する。ヒトなどから吸血し、種によっては各種の病気を媒介する衛生害虫である。英語の という単語は、スペイン語もしくはポルトガル語に由来し、「蝿」を意味する に指小辞のついたものである。この語の使用された記録は1583年にさかのぼる。カの最も古い化石は、1億7,000万年前の中生代ジュラ紀の地層から発見されている。一生のうちで、卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態する。卵から蛹までの期間は種や温度によって変わる。イエカの一種 は、20℃の環境では14日で生活環を完成させる。25℃の環境では10日である。カは人類にとって最も有害な害虫である。メスが人体の血液を吸い取って痒みを生じさせる以外に、伝染病の有力な媒介者ともなる。カによって媒介される病気による死者は1年間に75万人にもおよび、2位の人間(47万5000人)を押さえて「地球上でもっとも人類を殺害する生物」となっている。マラリアなどの原生動物病原体、フィラリアなどの線虫病原体、黄熱病、デング熱、脳炎、ウエストナイル熱、チクングニア熱、リフトバレー熱などのウイルス病原体を媒介する。日本を含む東南アジアでは、主にコガタアカイエカが日本脳炎を媒介する。地球温暖化の影響で範囲が広くなっている問題もある。カによる病気の中で最も罹患者及び死者の多い病気はマラリアであり、2015年には2億1400万人が罹患して438000人が死亡した。こうしたカによる伝染病はカの多く生息する熱帯地方に発生するものが多く、マラリアをはじめ黄熱病やデング熱などはほぼ熱帯特有の病気となっている。また、カが媒介する伝染病は特定の種類のカによって媒介されることが多く、マラリアはハマダラカ、黄熱病やデング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカ、ウエストナイル熱はイエカ、ヤブカ、ハマダラカによって媒介される。蚊によって媒介される伝染病は、感染源によって3つのタイプに分かれる。家畜や野生動物などからしか人間に感染しないもの、家畜や野生動物、および感染した人間から人間に感染するもの、そして人間の間でしか感染しないものである。最初のタイプは日本脳炎などが該当し、野生動物(日本脳炎の場合は水鳥)や家畜(日本脳炎の場合はブタ)から吸血した蚊がウイルスを保持するようになり、その蚊が人間から吸血することでその人間に感染する。このタイプの場合、感染した人間から他の人間や動物には感染しない。2番目のタイプには黄熱病やデング熱などが該当し、野生動物(黄熱病やデング熱の場合はサル)およびそれらに感染した人間から吸血した蚊がウイルスを保持するようになり、その蚊が人間から吸血することでその人間に感染する。3番目のタイプにはマラリアなどが該当するが、これらの病原菌は動物は保持しておらず、感染した人間から蚊が吸血することによってのみ病原体が広まる。このため、周囲にマラリア感染者がまったく存在しない場合は、マラリアに感染する可能性はない。一方前二者のタイプにおいては感染経路において人は一部のみ、または全く関与していないので、感染者がいなくとも流行が起きることはありうる。国立感染症研究所によると、蚊の駆除作業を大規模に行う場合は、生息密度調査の結果に基づき、まず成虫が潜伏している可能性の高い場所を確認する。また駆除後にも同じ場所で生息密度を調べて、駆除効果の判定を行う。2015年現在即効性の高い成虫駆除方法としては、殺虫剤の散布以外にないが、散布する際には周辺住民への周知を徹底する。ヒトスジシマカは藪を潜伏場所としていることが多い。木陰の中・低木の茂みや生垣などの場合、ハンドスプレイヤーのノズルの先を茂みの中に突っ込み、吹き出し口を上に向けて殺虫剤を茂みの下から散布して、潜んでいる蚊に吹き付けるようにする。広い緑地や大きな公園で広範囲に下草や中・低木が密に茂っているような場合、炭酸ガス製剤の駆除効果が高いと言われる。成虫の潜伏場所の状況にあわせて適切な薬剤と散布方法を選択し、環境への悪影響を極力小さくするような配慮が必要である。下記にはさまざまな種類の駆除・忌避・防除について紹介するが、とりわけ殺虫剤の使用による環境汚染問題は先進国から開発途上国に広がっており、より安全で効果の高い代替の駆除技術が望まれ研究が進められている。除虫菊に殺虫効果があるとみられることは古くから経験的に知られていた。また、蚊の一部の種は柑橘系の樹木・果実を嫌う習性があり、夏みかん等の果実の皮汁・果汁を人体に塗布する地方もある。「墓地の花入れに10円玉を入れておくと、蚊が湧かない」という言い伝えがあるが、実際に水の中に銅片を入れておいたり、水を銅製容器に張っておいたりすることでボウフラの発生を防ぐ効果があるらしいことが分かり、2006年6月ごろから社団法人日本銅センターが中心となって実証実験をする。現代的な駆除は、家庭内では蚊取線香や蚊取りリキッドなどを夜間に使用して駆除を行う。日本において蚊に用いる殺虫剤は医薬品医療機器等法に則り、厚生労働省が承認した、医薬部外品として取り扱われる。蚊のための殺虫剤は以下のとおり。かつて日本においては、ヨモギの葉、カヤの木、スギやマツの青葉などを火にくべて、燻した煙で蚊を追い払う蚊遣り火という風習が広く行われていた。また、こうした蚊を火によって追い払う道具は蚊遣り具、または蚊火とよばれ、全国的に使用されており、大正時代まではこれらの風習が残っていた。現代において蚊の駆除器具として一般的に使用されているものとしては、蚊取り線香がある。ただしその歴史自体は非常に新しいものであり、和歌山県出身の上山英一郎が線香に除虫菊の粉末を練りこんだものを1890年に開発したのがその始まりである。蚊取線香の防虫能力は高く、大正時代末には蚊遣り火や蚊遣り具にとってかわった。ただし蚊取線香も火を用いることには変わりなく、安全性を高め灰の処理を容易にするために蚊遣器と呼ばれる陶製の容器に入れて使用することも多かった。やがて1963年には防虫成分を電気によって揮発させ防虫効果を得る電気蚊取が開発され、煙や灰が出ないことなどから1970年代には普及し、従来の蚊取線香にとってかわった。また、同時期にはスプレー型の殺虫剤や防虫剤も開発され、これも蚊の対策として広く使用されるようになった。上記のような蚊の駆除器具の代表的なメーカーとしては、上山英一郎の興した金鳥(大日本除虫菊)や、アース製薬、フマキラーなどがある。蚊を食べる特別な動物を使う(天敵用法)ことでも駆除を行うことができる。トンボやクモはよく知られた蚊の捕食者であり、効果的に蚊の駆除を行う。トンボの幼虫のヤゴは水中で蚊の幼虫を食べ、成虫のトンボは成虫の蚊を食べる。昼行性の蚊、たとえばヒトスジシマカなどにとってトンボは有力な捕食者となりうる。自然保護地域でもメダカとカダヤシ(特定外来生物に指定)とウナギの稚魚等によって蚊の駆除が行われている。ボウフラは淡水に住む肉食性の小型魚類にとって格好の餌となり、屋外の池などにはフナなどを生息させて捕食させる。デング熱等への対応の必要性から遺伝子を組み換えた蚊を自然界に放ってネッタイシマカを減らす対策も実施されているが環境への影響を指摘する声もある。蚊を殺す伝染病を感染させることで駆除を行うことができる。蚊の侵入を防ぎながら空気の通りを妨げない物として、窓に網戸、屋内で蚊帳がある。いずれも目が1mm程度の細かな網を蚊の侵入方向に張り巡らせて侵入を防ぐものであり、人間の寝所等の周りに吊るして防御するものが蚊帳、それを推し進めて窓に網を張り家全体への家の侵入を防ぐものが網戸である。この成り立ちからも推測できる通り、使用の歴史としては蚊帳の方がはるかに古く、古代から世界中で使用されていた。日本においても中国から伝来し、すでに江戸時代には一般庶民の日用品となっていた。その後、昭和時代後期に入りガラス窓とそれを乗せるサッシが普及して気密性が大幅に向上し、蚊の侵入する隙間が窓以外なくなったことから窓での蚊の防御に意味が生まれ、網戸が誕生して急速に普及した。現代においては網戸は、ほぼ日本中の家で採用されていると思われるが、蚊帳は現代の日本ではあまり用いられていない。ただし日本以外の国々、とくに熱帯地域の諸国においては蚊帳は現在でも非常によく使用される。蚊帳の使用は熱帯地域における伝染病の感染を減少させる有効な手段とされ、特に2000年ごろに5年間ほど効果が持続するピレスロイド系の殺虫剤を練りこんだ蚊帳が開発されると世界保健機関(WHO)や多くのNPOがこれを採用して無償配布や援助を行うようになった。家の中に入ってしまった蚊を物理的に排除する方法としては、手でパチンと叩き殺すのが普通であり、ハエに対するハエたたきのような物は蚊には特に無かった。しかし最近は電気ショックで蚊をショック死させるラケット形状の器具が売られるようになった。なお当然であるが、蚊を捕るためなら虫捕り網が効果的である。家の中で使えるように柄を短くすると使いやすい。殺虫剤によらない方法としては、誘蛾灯のような照明(紫外線)で蚊を含む虫を誘引し、高電圧による電気ショックを与えて駆除する電気捕虫機(電撃殺虫器とも)が使われる場合がある。ボウフラの棲家となる「水溜り」を、可能な限り作らないことが重要である。また、逆にバケツに水を張っておいて、蚊に卵を産ませボウフラになってから殺虫剤で殺し、蚊の繁殖行動を邪魔して蚊を減らす対策もある。ボウフラでいる期間は10日ほどなので、それ以内にボウフラを殺すのが肝心である。期間を過ぎて羽化してしまうとそこから数メートルが蚊の行動範囲な為、家の近くで行った場合は、蚊に大量に刺されてしまうので注意が必要となる。なお、殺虫剤でなく、バケツ表面を油で覆いボウフラの呼吸を妨げたり、バケツの水をコンクリートの道路に撒いても良い。なお、側溝内で蚊になる可能性があるので、水が側溝には行かないようにすべきである。この水面を油で覆うカの予防法はかつてパナマ運河建設の際に、マラリアに悩まされたアメリカが取った手段のうちのひとつであり、湖や水たまりなどに油を流すことでカが激減し、そのカの媒介していたマラリアや黄熱病の患者も激減したことで、パナマ運河は完成へと大きく前進することとなった。また、蚊に卵を産ませる罠も売られている。蓋の付いたバケツ状の罠で、水に蚊が卵を産みボウフラになるが、成虫が出ていく出口がなく、蚊の繁殖行動が失敗に終わるというものである。同じような罠を、ペット・ボトルなどで作成することもできる。NHKで紹介された、タイで考案された物が簡単である。また、水面を揺らして波を作ることにより、ボウフラが生育できないようにすることで、これを何度か繰り返すことで、ほぼ死滅させる方法もある。。水に銅ファイバー、繊維状のものを入れることで、9割が羽化せずに死滅するとの実験結果もある。また、東京ディズニーランドでは、特殊な「水」を使用することで、蚊が発生しないような工夫がなされている。蚊の幼虫のボウフラは水中の有機物を分解し、バクテリアを食す。バクテリアも有機物を分解するが、排泄物で水を汚すため、バクテリアが増えすぎると水中の酸素が少なくなり生物が住めなくなってしまう場合がある。ボウフラはバクテリアを食べ、呼吸は空気中から行うことで、水環境を浄化する作用がある。蚊は吸血だけでなく花の蜜を吸って生きており、結果として植物の受粉を手助けしている。蚊がいなくなると十分に受粉できない植物が出てくることとなる。
出典:wikipedia
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