『アルミーダ』("Armida")は、トルクヮート・タッソー原作の『解放されたエルサレム』を基に、ロッシーニが1817年11月11日にナポリのサン・カルロ劇場で発表した三幕のオペラセリア。台本はジョヴァンニ・シュミットによる1816年、ナポリのサン・カルロ劇場は、火災により焼失した。その後、修復工事が行われ、1817年11月11日にそのこけら落としとして、上演されたのが、本作品であった。初演のキャストは以下の通りである。イサベラ・コルブランがロッシーニが作曲した中で、最も長くそして最も厳しい歌唱技術(あらゆる種類の至難なコロラトゥーラのパッセージを含む)を要求されるこの役を歌った。特筆すべき楽曲は、アルミーダがリナルドを誘惑しながら歌う第2幕の「甘き愛の帝国では"D'amore al dolce impero" 」と第3幕におけるアルミーダとリナルドの二重唱である。また、リナルドを初めとする十字軍の騎士たちはテノールが当てられており、第3幕第1場のリナルド、カルロ、ウバルドの三重唱は、テノールだけで歌われるという非常に珍しい構成になっている。さらに、テノールのいくつかの役は1人2役になるように、楽譜上設定されているため1人の歌手にかかる負担が非常に大きくなっている。初演後、1818年にヴェネツィアで1817年初演版より簡略化されたものが上演されている。また、1819年と1823年にはナポリにおいても再演された。1821年にはドイツ語ヴァージョンがウィーンで出版された。1827年と1836年にはハンブルクで1832年にはベルリンで上演された。1836年のハンブルクでの上演以後、長らく上演が途絶えていたが20世紀に入り復活上演が行われた。1952年4月26日のフィレンツェ五月音楽祭での上演がそれである。この時、タイトルロールを歌ったのがマリア・カラスで彼女は師であるトゥリオ・セラフィンの指揮のもとわずか5日間の練習期間でこの役をマスターしている。カラス以後においては、1988年のエクサンプロヴァンス音楽祭での上演(ジャンフランコ・マシーニ指揮)が知られる。この時のタイトルロールは、ジューン・アンダーソンで、十字軍騎士たちには、ロックウェル・ブレイク、ラウル・ヒメネスなど当時を代表するロッシーニ・テノールたちがキャスティングされた。さらに、1993年のロッシーニオペラフェスティバルでは、ダニエレ・ガッティの指揮の元、ルネ・フレミング、グレゴリー・クンデらが出演した。十字軍のとある軍団。そこでは、隊長のドゥドーネが死に、後継者選びが行われようとしていた。(導入"喜ばしく、輝かしい" )騎士たちのまとめ役であるゴッフレードを中心に後継者を協議しようとしていると、ゴッフレードの弟エウスターツィオが現れる。彼は、高貴な女性が供を連れてやってきたことを告げる。そこへアルミーダが現れる(合唱"暁の光でさえ、")。その美しさに、騎士たちは見とれる中、彼女はダマスクスの女王としての地位を叔父のイドラオテが狙っているので、十字軍の勇士を私のために貸してくれと頼む(四重唱"みじめな!望みは絶たれました")。 しかし、これは十字軍への復讐をもくろむイドラオテとアルミーダの陰謀であり当のイドラオテ自身がアルミーダの伴に変装して、この場に来ている。ゴッフレードは、当初難色を示すがアルミーダに魅了された騎士たちと弟エウスターツィオの願いに根負けして、これを引き受ける。ただし、ドゥドーネの後継者選びを終えてからという条件をつけた。アルミーダが退出すると、後継者選びが始まる。エウスターツィオは、リナルドを推薦し、全員が賛成しリナルドがドゥドーネの後継者となる。しかし、ジェルナンドは、1人だけ自分が推薦されなかったことを恨み、復讐を誓う(アリア"どうして耐えられよう、この侮辱に")。アルミーダは、リナルドとよりを戻そうとし、リナルドを呼び出し誘惑する。リナルドは、十字軍の一員としての義務を果たすことが自分の望みで、愛に溺れている場合ではないと拒もうとするが、アルミーダは巧みに彼を誘惑する(二重唱"愛!力強い名" )。2人が陶然としていると、ジェルナンドと騎士たちが現れ、英雄色を好む、勇士は女を口説くのが仕事かと侮辱する。怒ったリナルドが決闘を申込み、2人は激しく争う(第1幕フィナーレ"その大口に見合う勇気があるなら" )。激しい争いの末、リナルドはジェルナンドを殺してしまう。驚いた騎士たちは、ゴッフレードを呼びに行く。アルミーダは、きっと厳罰に処せられるので、そのぐらいなら一緒に逃げましょうと口説く。しかし、リナルドはきちんと弁明をさせてくれと言い張り、その場に残ろうとする。ゴッフレードは、騎士たちから事情を聞いてやってくる。リナルドは、侮辱されたので名誉のために殺したと主張するが、ゴッフレードは彼を厳罰に処そうとする。見かねたアルミーダは、魔術を使いリナルドを逃がす。アルミーダの手下で妖魔のアスタロッテとその手下たちが歌っている(合唱 "アルミーダの逆らい難い声に惹かれ"及び合唱 "炎と剣を帯び")。そこへリナルドとアルミーダがやって来る。アルミーダは魔術で森を美しい楽園に変える。美しい妖精たちが、歌い踊る中アルミーダが愛を讃え歌う(第2幕フィナーレ "甘い愛の帝国では" )。陶然となる2人の前で祝宴が繰り広げられる("バレエ")。リナルドの仲間である騎士のカルロとウバルドが、美しい庭園に迷い込む。2人は、リナルドを探しにやってきたのだ。庭園の美しさに2人が夢中になっていると(二重唱 "穏やかな風のように" )、妖精たちが現れ彼らを誘惑する(合唱 "ここは穏やかで満ち足りた場所")。しかし、2人は隠し持っていた黄金の棒を取り出し、彼女らを追い払う。そこへアルミーダとリナルドがやってくるので、カルロとウバルドは身を隠す。リナルドは、すっかりアルミーダとの関係に溺れている。しばらくするとイドラオテが現れ、アルミーダを呼び出す。1人残ったリナルドに、カルロとウバルドが現れ、英雄リナルドが何という様だと非難し、魔女の誘惑を克服し、十字軍に戻るよう説得する。リナルドは、2人の甲冑姿に自分の堕落した姿を見比べて情けなく思う(三重唱 "何と恥ずべき姿だ!")。そして、再び十字軍に加わるべくアルミーダへの未練を感じながらも戦場へ戻る決心を固め、庭園を立ち去る。アルミーダが戻ると、リナルドの姿が無いことに衝撃を受けるが、彼を取り戻すために、後を追う。リナルドが2人の騎士と戦場へ向かっていると、アルミーダが現れる。アルミーダは、あなたのためなら奴隷になっても構わないどうか連れて行ってと懇願する(第3幕フィナーレ "とてつもない苦しみ")。リナルドは、心を動かされそうになるが、騎士としての義務があるとこれを拒み去る。衝撃で倒れるアルミーダ。アルミ-ダが気絶している間に、3人は立ち去る。意識を取り戻したアルミーダは、リナルドらが逃げたことに怒る。彼女は、アスタロッテら妖魔を呼び出し、リナルドを追い、自分が受けた苦しみを復讐すべく3人の騎士の後を追う。
出典:wikipedia
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