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本膳

本膳(ほんぜん)は古典落語の演目の一つ。原話は、元和年間(1615~24)に出版された笑話本・「戯言養気集」の一遍である『芋ころがし』。主な演者には、林家彦六や4代目三遊亭金馬などがいる。とある村の、庄屋の家で祝言(結婚式)があり、村人一同が祝物を送った。そのお礼として、今夜、村のおもだった者三十六人がご馳走に招待されることになったが…誰も本膳の作法・礼式を知らなかった。とうとう『夜逃げしよう』なんていう騒ぎになり、困った村の衆は、村はずれに住む手習いの師匠の所へいき、付け焼刃で作法を教えてもらう事に。「今夜では、とても一人ずつ稽古する時間はありません。ですからこうしましょう…」師匠がどこの席についても、自分のすることを真似するようにして下さい。羽織りだけは着ていくように…とアドバイスを受け、いよいよ宴席。主人があいさつをし、盃が回された後、いよいよ本膳がやってくる。なかなかいい器を使っているらしく、開けようとしたら蓋が吸い付いて動かない。ちょっと考えた師匠は、椀のふちをチョコッと握ってふたを開けた。「あれを真似すれば良いだ。一口だぞ。一口一口…全部一息に吸った? 半分戻せ!」ふたを開けてみると、中に入っていたのは里芋の煮っころがし。しかも箸が塗箸だから、ヌルヌルしてはさめない。はさんで持ち上げようとした所、不覚にもつるっと箸がすべって、膳の上に転がり出た。仕方なく箸で突っ付いていると、あちらでもこちらでも芋をコロコロコロ…。嫌になった師匠が早く帰ろうとして、焦ったせいか鼻先に飯粒が二粒くっついた。一同、さあ、食うだけでは礼式を違えると、一斉に飯粒を鼻へ。間違って五粒くっつけてしまった男が、あわてて三粒食ってしまう大騒ぎ。『いい加減にしろ』と言う意味を込め、師匠が隣の脇腹を拳固で突いた。突かれた奴がそれを【礼式】と勘違いし、「真似しろ」と言う伝達つきでその隣をドン。それがまた隣をドン。ドン…。「いてえ、あにするだ」「本膳の礼式だ。受け取ったら次へまわせ」「さあ、この野郎」「そっとやれ」「そっとはやれねえ。覚悟スろ。ひのふのみ」「いててッ」。最後の三十六人目が、思いきり突いてやろうと隣を見ても誰もいない。「先生、この礼式はどこへやるだ?」本膳料理の事。日本料理の正式の膳立てで、普通は「一の膳」から「三の膳」まである。正式なマナーとしては、以下のようなものがあるそうだ。日本の食事作法も参考にせよ。お焼香に参加した外国人が、抹香を食べるものと勘違いして口に入れた…なんていう話もあり、この村人たちの失敗は必ずしも絵空事ではないようだ。しかし、ここに出てくるのはやっぱり落語。同じ勘違いでも物凄い内容のものが登場する。『勘違い』をテーマとした落語の枕として、よく出てくるのが以下の小噺。饅頭を知らない村の往来に、一個の饅頭が落ちている。鍬で突いてみたらポコッと動いたので、思い切りひっぱたいたら割れて餡が出てきた。「このごろ小豆の出来が悪いと思ったら、全部こいつが食っていた!」

出典:wikipedia

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