『平和への弾痕』（へいわへのだんこん）は、秋本治による読切の戦記漫画。創美社発行の同名の短編集に収録されている。時はベトナム戦争末期、主人公・ケリーの属するアメリカ軍部隊は、ベトナムゲリラの潜伏する建物に攻撃をしかけようとしていた。ケリーは自分自身、何のために殺し合いをしなければならないか分からずにおり、上官、同僚もまた、戦いの中でそれぞれの思いを抱えていた。他方、ベトナムゲリラも人間。侵略するアメリカ軍に身内を殺されるなど、それぞれの憎しみが彼らを戦いへと導いていた。この物語は、極限状態にあって己の信念のために戦うものたちを、命の儚さ、戦争のむごさを通して描いている。この作品は、作者・秋本治がデビュー前に描いた作品で、本来であればデビュー作『こちら葛飾区亀有公園前派出所』ではなく、こちらを雑誌に投稿するはずだった。しかし、あまりに「重い」内容のために作品を変更した。秋本は作画当時入院していたこともあり、完成までに2年以上かかったという。また本作である『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の30巻「デビュー!の巻」にはそのようなことが記述されている。また、登場する武装等の考証・描写に間違いがある事を秋本は後年認めている。

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