幽霊指揮者(ゆうれいしきしゃ、)は、レコードやCDなどに記されている実在しない指揮者・架空の指揮者を総称する俗語である。幽霊指揮者と同時に実在しない「幽霊オーケストラ」も存在する。低価格で販売されているクラシック音楽CD(それも一般の音楽CDとは違ったルート、例えば駅前の出店や大型スーパーなどで売られているもの)の中には、CDに記されている演奏者名が偽りのものがあると言われている。さらには、そこで使われている演奏者名(指揮者名)が、実在しない架空の名前であることもあるとされる。一般的にはこの意味で「幽霊指揮者」の用語が使われることが多い。低価格のCDが全て幽霊指揮者による演奏というわけでは、決してない。後述のような、特定の音源がこれに該当する。これに該当するCDを「PILZ系CD」「バッタもん系CD」などと総称する人もいる。これら、幽霊指揮者やそのCDについての情報は、香港の HNH internationalのサイトを発端としている。これは1998年前後の短期間のみ公開されていたページである。HNH international社のサイトにこれらの情報が公開された理由や、これらの情報の真偽については明らかではない。当時このページを見たファンが、パソコン通信やインターネットを介して私的に(独自研究も交えて)、これらの情報を引き継ぎ流布して現在に至っている。それ以外の、信頼できる媒体からの情報源の存在が不明であることもあり、クラシックCDの世界の都市伝説の一つにもなっている。本記事の情報も、これらに沿ったものである。なおHNH international社は、1998年ごろから現在に至るまで、自社の保有する膨大な録音をNaxosレーベルからリリースしており、これらはもちろん信頼のおける演奏者データを持つ。幽霊指揮者の演奏とされる音源を取り扱っていたわけではない。このような「架空の指揮者による録音」は、LPレコードの時代から存在する。アメリカのAllegro Eliteというレコードレーベルは「フリッツ・シュライバー()指揮、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団演奏」と称して多数の海賊盤を販売していたが、フリッツ・シュライバーという指揮者は実在しない。シュライバー名義のレコードのうち、実際の演奏者が判明しているものも多い(例えばワーグナーの『神々の黄昏』の場合、カイルベルト指揮バイロイト祝祭管弦楽団の演奏)が、未だに正体がわからないものもある。特にベートーヴェンの交響曲第3番のレコードは、「実はフルトヴェングラー指揮のラジオ放送用録音なのではないか」という憶測を呼び、中古レコード市場で1万円を超える値がついたこともあったという。ドイツの指揮者兼音楽プロデューサーであるアルフレート・ショルツ()は、オーストリア放送協会の放送用録音を大量に買い取り、PILZというレーベルを設立して、自身が指揮したもの、あるいは架空の演奏家のものとして大量に売りさばいた。幽霊指揮者の演奏とされるCD音源の多くは、この流れを汲んでいるとされる。これらの中に、ショルツ自身の演奏による録音が存在する可能性は否定できないが、概して演奏者データが信頼できないため、検証できない。PILZはその後倒産し、POINT、ONYX、MEDIAPHONなどに分化した。以下は、前記の意味での「幽霊指揮者」の例である。アドルフ、ペトロショフ、リッツィオは特に有名である。廉価盤においては、実在する、知名度の高くない指揮者の名前を騙っているケースもある。なお、CDに全く演奏者名が書かれていないものも存在する(幽霊オーケストラの記事参照)。これら、幽霊指揮者の演奏とされるCDの、実際の演奏者の追求・検証を試みているクラシック音楽ファンが存在する(後述の関連リンク参照)。いくつかの録音について、実際の演奏家を突き止めることに成功したと語る人もいる。彼らによると、スロベニアのアントン・ナヌート、クロアチアのミラン・ホルヴァートなどによる演奏は、最も多用されている録音であるとのことである。実際の演奏者・指揮者としてナヌート、ホルヴァートの他に下記の人物がいる。ヤンスク・カヒッゼ演奏による廉価盤CDは、演奏者名がまったく記されていないことで知られている。
出典:wikipedia
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