甲州選挙(こうしゅうせんきょ)は、山梨県における選挙戦の特徴のことを指す。“甲州”は山梨県の古名「甲斐国」から。山梨県は基本的に内向的社会と言われており、町内会や無尽会などの内向的コミュニケーションが活発である。また山梨県は地縁血縁や近所の結び付き強く、経済的・社会的後見を受けるために擬似的な親子関係を結ぶ親分子分慣行が残り、地域によっては集落全体が親戚というところもある。選挙に出馬する候補者はこの内向的コミュニケーションを利用し、県内各所にある町内会や無尽会、地縁血縁をとりまとめて選挙戦を行なうことが多い。戦後には親分子分慣行は衰退するものの、1955年の第3回統一地方選挙を契機に再び同族意識が活性化し、山梨県選挙管理委員会では「話し合い活動」を展開し、甲州選挙の撲滅に努めている。この方法をいち早く行なったのが金丸信である。金丸は数多くの仲人親となり、地元有力者や政治家との間にも心情的な親子関係があり、選挙に際してはこの組織を駆使し山梨県内において強固なる地盤を築き上げ、国政においても影響力を持ち「政界のドン」と言われるまでにのぼり詰めていった。その後山梨県選出の国会議員や山梨県知事、山梨県議会議員もこの方法を取り入れていき、確固たる地盤を築き上げていくケースが多い。事前にある程度の票がまとまりさえすれば選挙運動をしなくても当選することが多いため、マニフェストなど方針を定めない選挙運動を行なうケースが多い。告示後も地縁血縁のみを集めて決起集会を行なう、ポスターの掲付を行なわない、選挙カーではただ名前を連呼するだけという運動がよく見られる。極端な例になると集落ごとに集会で候補者を決めたり、代表者同士で話し合いをして選挙戦にならないようにする地域もある。このため政治知識をあまり持たなかったり方針を明確にしない候補者が当選することもあり、当選後も活動が明確でない首長・議員がいる。地元紙の調査では2009年度議会において一般質問を丸一年行わなかった県議・市町村議が3割以上に達している。票を取りまとめるために贈賄罪や公職選挙法に抵触すると承知しながらも組織ぐるみで平然と選挙違反を行なうケースが後を絶たず、選挙終了後に運動人や支持者逮捕・立件されることが風物詩と化してしまっている。21世紀に入っても以下の公選法違反などで逮捕者や当選無効、失職などが相次いている。21世紀になった現在でも上記のように甲州選挙が続いているが、長らく県内の景気が低迷し続けている状況でこれといった対策をしなかったため混乱が発生したり住民生活に影響が出るようになったため、県民の意識変化などによりただ組織票を集めるだけでは当選できなくなってきている。そのため近年では衆参議院議員選挙や県知事選挙、市町村長選挙においてはマニフェストを掲出し、政治方針を明確にする候補者が増えてきている。また青年会などが主催して合同演説会を行なうなど変化しつつある。しかし県議選や市町村議選などでは未だに方針を明確にしない甲州選挙を行なっているところが多々ある。衆参両議院選挙や山梨県知事選挙、統一地方選挙の時期になると全国紙などの広域マスメディアでは必ずといっていいほど取り上げられ、組織ぐるみの集票活動や常態化している選挙違反などを持ち出しては山梨県における社会構造を問題視する記事が書かれることが多い。山梨日日新聞やテレビ山梨など県内に影響のある地元マスメディアも近年この用語を用いるようになり、変わらない体質を批判している。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。