『レジェンド・オブ・レギオス』 (LEGEND of REGIOS) は、雨木シュウスケによる日本のライトノベル。Style-F(富士見書房)より2007年7月から2008年9月にかけて刊行された。『リグザリオ洗礼』『イグナシス覚醒』『レギオス顕現』の全3巻構成。雨木シュウスケの3作目にして、同作者が富士見ファンタジア文庫で発表しているライトノベル『鋼殻のレギオス』の過去の世界を舞台にしたSF作品。鋼殻のレギオスと比べるとハードボイルドな雰囲気の作品として仕上がっており、人間の死など鋼殻のレギオスではぼかされている点も描写されている。イラストは鋼殻のレギオス同様、深遊が担当しているが、レーベルのStyle-Fの特徴により挿絵やカバーイラストは無く、イラストは口絵のみとなっている。また、イラストはペン入れをせずに描くことで漫画的な雰囲気を省いている。物語の舞台は、人々が「オーロラ・フィールド」と呼ばれる人工の亜空間の中で生活している世界で、そこで特殊な能力を身につけた男アイレインと謎の少女サヤとの出会いから、オーロラ・フィールドを生み出した科学者との出会いと戦いを経て、鋼殻のレギオスの世界が創世されるに至るまでの顛末が描かれる。鋼殻のレギオスの過去の歴史であると同時に、主人公アイレインの物語でもあり、この作品も鋼殻のレギオスも単独の作品として成立するように描かれている。世界の人口が増加の一途を辿り、宇宙開発計画も失敗したことで、西暦末期に「資源戦争」と呼ばれる世界規模の戦争が勃発する。長く続いた戦争により世界は荒れ果てたが、「アルケミスト」と呼ばれる科学者チームが開発した技術「オーロラ・フィールド」により戦争は終結した。オーロラ・フィールドとは、実質的には0の領域に無限の空間を作り出す技術、およびその技術によって作り出された人工の亜空間のこと。外周は亜空間を固定するためのオーロラで覆われており、亜空間を作る際に空間内の物資も自由自在に作り出せる。この技術の開発により資源不足は解消されたが、その後も人々はオーロラ・フィールドを作り続けたため、増えすぎた亜空間同士が絶縁を起こし、人々は自分が住む亜空間から外に出られなくなった。このため、現在は1つ1つにの亜空間が孤立した1つの国と化しており、亜空間の外は現状の知れない未知の領域となっている。一方、亜空間の絶縁後、同規格のオーロラ・フィールドを用いれば絶縁が起こらないことが判明したため、絶縁化が起きた後も人々はオーロラ・フィールドを増設し続けた。そうして1つのオーロラ・フィールドが拡張され続けた結果、現在は1つのオーロラ・フィールドが本来の惑星の表面積を上回る広大なものとなっている。その分、オーロラ・フィールド内の都市1つ1つも巨大なものとなっており、各都市はほぼ完全な自給自足が成り立ち、都市同士の交流はそれ程盛んではない。また、広がりすぎた国の治安を保つため、中央政府は各都市に巡視官(サーキット)を派遣している。オーロラ・フィールドの元となるのは、マイクロサイズのバネや歯車が詰め込まれた「亜空間増設機」と呼ばれる永久機関が生成する特殊な粒子「オーロラ粒子」から生成される。オーロラ粒子は「人の思念に反応して新しい世界を形成する」と言う性質を持ち、亜空間増設機に対して思念波によってデータの入出力を行うことでオーロラ粒子が反応し、新たな亜空間を形作る。人間がオーロラ粒子の影響を受けると、オーロラ粒子がその人間の願望に反応し、その人間を願望に基づく「異世界法則」(新しい世界の法則)を宿した人間「異民」へと変貌させる。その人間そのものが新しい1つの世界と化す、と言い換えることもできる。新しい世界の法則は元の世界の法則とはかけ離れたものであり、異世界法則を宿した人間は元の世界の法則ではありえない特殊能力を発揮する。また、異世界法則を宿した人間は、その人間自身が1つの新しい世界であり、自分でオーロラ粒子を発生させるようになる。「絶縁空間」とは、亜空間同士の相互干渉により生まれたとされる、亜空間を包むオーロラの「向こう側」にある空間のこと。この空間が生まれたことにより、人々は別の亜空間に移動することができなくなった。絶縁空間はオーロラ粒子が充満した空間で、ここに踏み込んで帰還した者はほとんどおらず、帰還した者の証言も一致しない。また、探査機械などを送り込んでも故障してしまい中の様子が分からない、謎の領域。「ゼロ領域」とは、人の思念に反応して亜空間(1つの世界)を形成する前の、オーロラ粒子のみが充満している空間のこと。ゼロ領域には時間や距離の概念が無く、ただオーロラ粒子のみが充満しており、絶縁空間もゼロ領域の一種である。絶縁空間に踏み込んだ者の証言が一致しないのは、絶縁空間内に踏み込んだ個々人の願望にオーロラ粒子が反応し、それぞれに全く別の世界を見せる(それぞれの世界を「創造する」)ため。機械を送り込んだ場合も、その機械の製作者の残留思念が新たな世界を創造する。機械では新たな世界の創造には耐え切れず壊れてしまうため、絶縁空間に機械を送り込んで探査を行うには、人の思念が全く残っていない機械が必要である。亜空間増設機の故障によりオーロラ・フィールドが崩壊すると、オーロラ・フィールドを形成する前の段階、ゼロ領域へと逆戻りする。崩壊したオーロラ・フィールドの住人は強制的にゼロ領域へと取り込まれる。オーロラに空いた穴(後述)から絶縁空間に入る、住んでいた亜空間が崩壊するなどしてゼロ領域に入った人間のほとんどは、オーロラ粒子により願望を剥き出しにされ、自我も肉体も失った魂だけの状態となってゼロ領域を漂い続けるが、稀にゼロ領域に入り込んでも自我を保つ者もおり、そうした人間は自身の願望が創造した世界の法則を宿した異民となって元いた亜空間に帰還するか、あるいは絶縁空間を越えて元いた亜空間とは別の亜空間へと辿り着く。オーロラ・フィールドの技術を開発した科学者チーム。現在はアルケミストと言えば、オーロラ・フィールドを開発した科学者チームを前身とする科学者の組織を指すが、この組織は初代アルケミストの正当な後継者ではなく、オーロラ・フィールドの原理等を理解していない。そのため、現在のアルケミストは設計図に従って亜空間増設機を作ることは出来るが、増設機内の部品がどのように作用しているかを理解しておらず、修理などは行うことが出来ない。そのため、現在、亜空間増設機の不具合により外周のオーロラに穴が空き、絶縁空間から流れ込んでくるオーロラ粒子により住人が異民化する問題が各地で多発しており、異民問題に対処する「サイレント・マジョリティ」と言う組織を結成している。ナノマシンの集合体である機械。周辺のオーロラ粒子を収集し、それをエネルギーに変換して作動する。一部が欠損しても他の部分が機能を代替し、さらに自己増殖により修復するため、完全な破壊が難しい。自己増殖を繰り返して古いナノマシンを廃棄する、と言うプロセスを繰り返し人の思念を完全に廃することを目的とした絶縁空間探査用の機械として、初代アルケミストにより開発された。現在は絶縁空間の探査だけでなく、対異民用の兵器としての目的を兼ねた機械として、サイレント・マジョリティにより開発されている。物語は未知の領域となったオーロラ・フィールドの外側を調査する「絶界探査計画」から始まる。探査メンバーの1人として絶縁空間に入ったアイレインは、そこで妹のニルフィリアに酷似した少女サヤと出会い、サヤを連れて元いたオーロラ・フィールドへと帰還する。アイレインは記憶を失ったサヤが安全に暮らせる場所を探すために計画の実験施設を脱出し、その道中でオーロラ・フィールドを開発した科学者チーム「アルケミスト」の1人エルミ・リグザリオと出会い、サヤとエルミと共にオーロラ・フィールドの中を旅することになる。それから5年間、アイレインはエルミの夫である巡視官ドミニオのエージェントとして、様々な都市で怪異をもたらす異民フェイスマンを追いつつ、絶縁空間に入ったことで自身も異民と化していたアイレインは、異民問題を解決するために結成された組織「サイレント・マジョリティ」に追われることとなる。その中でアイレインは、アルケミストのリーダーであった科学者イグナシス、かつて絶縁空間へと消えた妹ニルフィリアと対面する。2人の手によってドミニオを殺され、サヤを奪われたアイレインとエルミは、サヤを取り返すため、ドミニオの復讐のためにサヤが連れ去られた首都へと向かう。その末、イグナシスの手によって全てのオーロラ・フィールドは崩壊してゼロ領域と化し、住民はすべて魂だけの状態となってゼロ領域に叩き込まれる。その中で、サヤは自らの存在意義、オーロラ・フィールドの崩壊に巻き込まれた人間を救済する「楽土」としての役割を思い出す。アイレインは自身の存在意義を果たそうとするサヤの願いを叶えるため、エルミはイグナシスへの復讐のため、新たな亜空間を作り出す。サヤはゼロ領域に叩き込まれた人々の魂を自らの中に納め、エルミは新たに作り出した亜空間の中でサヤの中にある魂の器となる肉体と、彼らが暮らすための「移動する都市」を建設する。アイレインはそれを阻止せんとするイグナシスを異民能力によって自らの右目に封印し、サヤを見守るために亜空間の月となって昇っていく。エルミが建設した移動する都市の動力源となったサヤは、都市の人々の生活を見守りながら、アイレインの帰りを待ち続ける。物語の終盤にエルミによって作られた亜空間が、『鋼殻のレギオス』の舞台となる世界であり、ストーリーは『鋼殻のレギオス』や『聖戦のレギオス』の物語に続いていく。声は映像特典、レギオス外伝『レジェンド・オブ・レギオス』完全版から。『書名』、初版発行年月日(初版発売年月日)、ISBNの順に記す。アニメ『鋼殻のレギオス』中に挿入され、DVD映像特典としてレギオス外伝『レジェンド・オブ・レギオス』完全版が全3話収録された。
出典:wikipedia
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